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ナスダックPER推移|ITバブル73倍からAI相場25倍まで、割高を見抜く読み方

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NASDAQ 100の予想PER(株価収益率)は2026年9月時点で約25倍、実績PERは約34倍です(2026年9月11日時点で予想24.6倍・実績33.9倍、株式マーケットデータ)。ITバブル期の1999年末には実績PERが73倍に達していました。AI相場で最高値を更新し続ける現在も、当時とは異なり利益の裏付けがある水準です。

本記事ではNASDAQ 100のPERを、ITバブル・リーマンショック・コロナショック・AI相場の4つの局面で振り返ります。S&P500との比較を通じて「ナスダックは割高なのか」を読み解くためのデータをまとめています。

ナスダックのPERとは——NASDAQ 100とNASDAQ総合の違い

ナスダックには主に2つの指数があり、PERを議論するときはどちらの指数を見ているかで数字がまったく変わります

指数

構成銘柄数

特徴

NASDAQ総合指数

約3,000社

NASDAQ市場に上場する全銘柄。赤字の小型株も含まれるため、PERが極端に振れやすい

NASDAQ 100

100社

金融を除く時価総額上位100社。Apple・Microsoft・NVIDIAなど大型テック株中心で、投信・ETFのベンチマークに広く採用

投資信託やETF(iFreeNEXT NASDAQ100インデックスや QQQ など)のベンチマークとして使われるのはNASDAQ 100です。本記事のPERデータもNASDAQ 100を基準に解説します。

予想PER(Forward PE)と実績PER(Trailing PE)

PERには「実績PER(Trailing PE)」と「予想PER(Forward PE)」の2種類があります。

  • 実績PER(Trailing PE):過去12ヶ月の確定利益で計算。実績ベースなので客観的だが、将来の成長を反映しない

  • 予想PER(Forward PE):アナリストの今後12ヶ月の利益予想で計算。成長期待を含むため、ハイテク株が多いNASDAQでは実績PERより低くなることが多い

たとえば2026年6月末時点のNASDAQ 100は、実績PERが35.2倍に対して予想PERは25.2倍と約10ポイントの差があります(Siblis Research)。EPS成長率が高い局面ほど両者の差は開きます。

NASDAQ 100 PER推移——2016年以降の全体像

以下のチャートは、Siblis Researchが公表する各年末時点の実績PER(Trailing PE、TTM)の推移です。2016年以降だけでも、20倍から39倍まで大きく動いています。

NASDAQ 100 実績PER推移(各年末時点)

出典:Siblis ResearchよりKabuGraph作成。各年末の実績PER(TTM)。2026年は6月末時点。中央値24.65倍はGuruFocus(2026年9月11日時点)

NASDAQ 100の実績PERは長期中央値24.65倍・長期平均28.99倍、過去の変動幅は12.42倍〜38.78倍です(GuruFocus、2026年9月11日時点)。S&P500の実績PER(1871年以降の長期平均16.2倍・中央値15.1倍、multpl.com)よりつねに高めで推移する傾向があります。これはNASDAQ 100の構成銘柄が高成長のテクノロジー企業中心であるためです。

4つの局面で読むナスダックPER

① ITバブル(1998〜2000年)——NASDAQ 100でもPER 73倍

1999年のNASDAQ総合指数のPERは90倍を超え(International Banker)、2000年3月のピーク時には算出方法により100倍超〜200倍とされます(BenzingaWikipedia)。利益が出ていない赤字企業の株価が高騰し、指数全体のPERを押し上げた結果です。NASDAQ総合指数は2000年3月10日の5,048.62から2002年10月9日には1,114.11まで78%下落し(いずれも終値ベース)、終値で高値を更新したのは2015年4月23日と約15年かかりました(Fox Business)。

② リーマンショック(2008〜2009年)——PERは10倍台前半へ

2008年の金融危機では利益の急減と株価の急落が同時に起き、NASDAQ 100のPERは10倍台前半まで低下しました(GuruFocus系列の史上最低は12.42倍)。その後は株価の回復が利益の回復に先行してPERは20倍台に戻り、2016年末は24.07倍でした(Siblis Research)。

③ コロナショック(2020年)——PER 39倍の金融緩和相場

2020年3月にコロナショックで株価は急落しましたが、FRBの大規模金融緩和とテック企業の業績好調を背景にPERは急上昇。2020年末にはNASDAQ 100の実績PERが39.46倍に達しました(Siblis Research)。これはITバブル期の1999年末(73.3倍)の半分程度で、しかもGAFAMを中心に実際の利益成長が伴っていた点が決定的に異なります。

2022年には利上げ局面でPERが23.72倍まで縮小(2021年末38.00倍→2022年末23.72倍、Siblis Research)。金利が上昇すると将来利益の割引率が上がるため、成長株中心のNASDAQは金利に敏感にPERが動く傾向があります。

④ AI相場(2023年〜現在)——利益が追いついた25倍

2023年以降のAIブームでNASDAQ 100は最高値を更新し続けていますが、予想PERは23〜28倍の範囲で推移しており(Siblis Research四半期値)、2026年9月11日時点では24.6倍です(株式マーケットデータ、WSJ集計)。実績PERの長期中央値(24.65倍、GuruFocus)と同水準にとどまっています。

野村證券の分析では、ITバブルと異なりAI相場ではEPS(1株利益)の成長がPERの上昇を抑えていると指摘されています。Apple・Microsoft・NVIDIAなどの主要銘柄がAI投資と並行して高い利益成長を実現しているため、株価が上がってもPERが急騰しないのです。

NASDAQ 100 予想PER vs 実績PER(2023〜2026年)

出典:Siblis ResearchよりKabuGraph作成。各四半期末時点、2026年は6月末まで

実績PERが29〜35倍で推移する一方、予想PERは23〜28倍に収まっています。この差はアナリストが今後12ヶ月のEPSを現在より約40%高く見積もっていることを意味します(2026年6月末: 予想EPS 216.28÷実績EPS 154.48=1.40、Siblis Research)。AIによる業績拡大への強い期待が読み取れます。

S&P500とのPER比較——ナスダックはどれだけ割高か

ナスダックが割高かどうかは、S&P500と比較すると見えてきます。2026年9月11日時点の主な指標を並べます。

指標

NASDAQ 100

S&P500

実績PER

33.9倍

26.2倍

予想PER

24.6倍

20.3倍

長期平均PER(実績)

平均29.0倍・中央値24.65倍

平均16.2倍・中央値15.1倍(1871年〜)

CAPE(景気循環調整PER)

60.4倍

41.1倍

2026年9月11日時点(NASDAQ 100のCAPEのみ2026年6月末)。出典:実績PER・予想PERは株式マーケットデータ(WSJ集計)、S&P500の実績PER・CAPE・長期平均はmultpl.com(1871年〜)、NASDAQ 100の長期平均・中央値はGuruFocus、NASDAQ 100のCAPEはSiblis Research よりKabuGraph作成

NASDAQ 100の予想PERはS&P500より約4ポイント(2割程度)高い水準で推移しています。この差は「ナスダックが割高」というよりも、構成銘柄の成長期待の差を反映したものです。

なぜNASDAQ 100はPERが高いのか

NASDAQ 100は情報技術セクターが時価総額の約60%を占めます(GICS基準、ChartRow、2026年9月11日時点で59.8%)。S&P500では38.0%です(SPYファクトシート、2026年6月30日時点)。なおNasdaq公式ファクトシートはICB基準でTechnology 68.5%(同日)と、分類基準で数字は変わります。テクノロジー企業は利益成長率が高い分、将来利益を織り込んだ高いPERで取引されるため、指数全体のPERが押し上げられます。

加えて、「マグニフィセント7」(Apple・Microsoft・Alphabet・Amazon・NVIDIA・Meta・Tesla)の7社でNASDAQ 100の約39%を占めており(2026年9月10日時点、Invesco QQQ構成比の合算、KabuGraph算出)、これら大型テック株のPERが指数全体のPERを左右します。

出典:Invesco QQQ 保有銘柄構成比(2026年9月10日時点)、株式マーケットデータ(予想PER、2026年9月11日)よりKabuGraph作成

PERが動く3つの要因

ナスダックのPERを動かす主な要因を理解しておくと、指数の割安・割高を判断しやすくなります。

① 金利(FRBの金融政策)

金利が上がると将来利益の現在価値が低下するため、PERは縮小します。2022年のFRB利上げ局面ではNASDAQ 100の実績PERが38.00倍から23.72倍へ約4割縮小しました(2021年末→2022年末、Siblis Research)。逆に2020年のゼロ金利政策ではPERが39.46倍まで拡大しています。テクノロジー企業は遠い将来の利益に価値の源泉があるため、金利変動の影響をS&P500以上に受けます。

② EPS成長率

EPSの伸びが株価の上昇に追いつけば、PERは安定します。AI相場ではNASDAQ 100のEPS(TTM)が2023年末から2026年6月末までに約54%成長(100.00→154.48、Siblis Research)しており、株価上昇にもかかわらずPERが長期中央値付近にとどまっている理由はこのEPS成長です。

③ リスクプレミアム(市場心理)

恐怖が支配する局面(リーマンショック、コロナショック)ではリスクプレミアムが上昇し、PERは急低下します。楽観が支配する局面(ITバブル、コロナ後の金融緩和)ではPERが過大になります。野村證券が紹介するイールドスプレッド(米国10年国債利回り − S&P500の株式益回り、12ヶ月先予想ベース)は、プラスが大きいほど株式が債券より割高、マイナスなら割安側を示す目安です。2026年5月1日時点のS&P500は−0.326%で、まだ割高域には入っていません。

日本の投資家がナスダックPERを見る意味

ナスダックのPERは、日本の個人投資家にとっても3つの実用的な意味があります。

投信・ETFの割安度判断

日本で買えるNASDAQ 100連動商品には、投信のiFreeNEXT NASDAQ100インデックス(大和アセットマネジメント)、ETFのNEXT FUNDS NASDAQ-100(為替ヘッジなし)連動型上場投信(1545、野村アセットマネジメント)、米国ETFのQQQなどがあります。こうした商品に積立投資している場合、PERが長期中央値(実績24.65倍)を大幅に上回っていないかを定期的にチェックすることで、追加投資のタイミング判断に役立ちます。

日本のハイテク株への波及

NASDAQのPERが縮小する局面(利上げ時など)では、日本の半導体・AI関連銘柄(東京エレクトロン、レーザーテック、ソフトバンクグループ等)も連れ安する傾向があります。ナスダックPERの方向感は、日本のグロース株の地合いを読むための先行指標になります。

為替を加味した実質リターン

ナスダックのPERが高い局面は米国金利が低い局面と重なることが多く、円高ドル安に振れやすくなります。逆にPER縮小局面は金利上昇=円安ドル高で、株安を為替がある程度カバーします。PERと為替は逆相関の傾向があるため、円建てでは米ドル建てほど極端な振れにならないケースがあることも押さえておきましょう。

現在のナスダックPERをどう読むか

2026年9月11日時点のNASDAQ 100は、予想PERが24.6倍、実績PERが33.9倍です(株式マーケットデータ)。この水準をどう評価するか、ポイントを整理します。

チェックポイント

現在の状況

評価

PER vs 長期水準

予想24.6倍・実績33.9倍 vs 実績PERの中央値24.65倍・平均29.0倍

予想ベースでは平均的、実績ベースではやや高め

CAPE(景気循環調整PER)

60.4倍

歴史的に高水準

イールドスプレッド

−0.33%(S&P500の値)

割高域には入っていない

EPS成長率(前年比)

+22%(TTM EPS 126.45→154.48)

利益がPERを支えている

出典:株式マーケットデータ・GuruFocus・Siblis Research・野村證券よりKabuGraph作成(2026年9月11日時点。CAPEとEPSは2026年6月末、イールドスプレッドは2026年5月1日)

結論としては、予想PERで見る限りNASDAQ 100は長期中央値付近で「とくに割高ではない」が、CAPEが60倍と歴史的に高い水準にある点には注意が必要です。CAPEは過去10年の平均利益で計算するため、コロナ前の低利益期を含んでいる影響が大きいですが、EPS成長が期待に届かなければ予想PERも切り上がるリスクがあります。

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まとめ

ナスダックPERの推移と、現在の水準を評価するポイントをまとめます。

  • NASDAQ 100の実績PERは長期中央値24.65倍・長期平均28.99倍(GuruFocus)。S&P500(長期平均16.2倍、multpl.com)よりつねに高いが、テック企業の利益成長力を反映したもの

  • 過去の変動幅は12倍台〜39倍(2020年末)。金利局面とリスク心理で大きく動く

  • 2026年9月の予想PERは約25倍で長期中央値付近。AI相場は株価もEPSも伸びているため、ITバブルのようなPER暴騰は起きていない

  • 予想PERだけでなく、CAPEやイールドスプレッドも併用すると、多角的な割安・割高判断ができる

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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