日経平均PERの推移|バブル60.9倍・リーマン9.5倍から2026年17倍までの読み方

日経平均のPER(株価収益率)は、日本株市場全体が「割安か割高か」を測るバロメーターです。2026年9月11日時点の日経平均PERは加重平均ベースで約17.0倍。過去5年平均の15.5倍(日次平均、KabuGraph算出)をやや上回る水準にあります。
本記事では、バブル期の60倍超から現在に至るまでのPER推移を振り返り、各局面で何が起きていたのか、そして「14〜16倍が適正」とされる根拠を解説します。
この記事の内容(目次)
日経平均PERとは——2つの計算方法
日経平均のPERには「加重平均PER」と「指数ベースPER」の2種類があり、数値が大きく異なります。ニュースで「日経平均PER」と書かれている場合、どちらを指しているかで解釈が変わるため、違いを押さえておく必要があります。
加重平均PER | 指数ベースPER | |
|---|---|---|
計算方法 | 構成銘柄の時価総額合計÷予想純利益合計 | 日経平均株価÷日経平均EPS |
特徴 | 時価総額の大きい銘柄の影響が大きい | 株価の高い値がさ株の影響が大きい |
2026年9月11日時点 | 約17.0倍 | 約21.3倍 |
加重平均PERはトヨタやソニーのような大型株の利益が反映されやすく、指数ベースPERはファーストリテイリングのような株価の高い値がさ株の影響を受けます。
日本経済新聞朝刊に掲載されているのは加重平均PERです(日経平均プロフィル「ユーザーズ・ガイド」)。本記事も断りがない限り加重平均PERを使います。指数ベースPERは日経平均の水準感(何倍で買われているか)を直感的に示します。

PER(株価収益率)とは|計算式・15倍の目安と東証プライム業種別データで読む割安判断
PER(Price Earnings Ratio・株価収益率)の計算式・15倍の目安・業種別の水準差を解説。JPXの東証プライムPER・PBR推移データと業種別比較チャートで、割安・割高の判断方法がわかります。
日経平均PERの推移チャート(2004年〜2026年)
以下は、日経平均の加重平均PERを各年末時点で並べたものです。日本経済新聞社が公開する公式データは2004年10月以降なので、チャートは2004年から始めています。
日経平均PER(加重平均)の推移
バブル期を含めると、日経平均PERの歩みは大きく分けて3つの局面に整理できます。
第1期:バブル期〜2003年——公式データ以前の60倍時代
1989年12月29日に38,915円の最高値をつけた時の日経平均は、PER60.9倍・PBR5.6倍(株探)。世界の常識(10〜20倍)をはるかに超えた水準でした。
1990年代〜2003年の日経平均PERは日本経済新聞社の公式データがないため(公表は2004年10月以降)、本記事のチャートには含めていません。
第2期:構造改革〜リーマン・ショック(2004〜2012年)——16〜23倍から9.5倍、そして100倍超へ
小泉構造改革期(2004〜2007年)は企業収益の回復で、年末のPERは16〜23倍で推移しました。2008年のリーマン・ショック後は、PERが両極端に振れます。
2008年10月27日:9.53倍。株価の急落が先行し、公式データの最低値を記録
2009年3月27日〜5月15日:100倍超。予想利益がほぼ消え、20営業日にわたり100倍超。4月23日には285.81倍
2009年末:35.82倍。翌2010年末に15.92倍へ戻るまで異常値が続いた
分母のEPSがほぼゼロに近づいたことで、株価が安いのにPERが跳ね上がった典型例です。
第3期:アベノミクス以降(2013年〜現在)——概ね12〜19倍、中心は14〜16倍
2013年のアベノミクス開始以降、日銀の大規模金融緩和と円安を背景に企業利益が拡大。年末PERは概ね12〜19倍に収まり、2013〜2025年の日次平均は15.3倍、中央値は14.8倍です(KabuGraph算出)。
目立つ例外は3つです。
2018年末:11.22倍。米中貿易戦争で12月25日には10.71倍まで低下
2020年:5月19日に36.94倍。3月16日に10.60倍まで下げた後、コロナ禍で予想利益が急減して跳ね上がり、年末も25.26倍と高止まり
2025年末:18.99倍。株価上昇がEPSの伸びを上回り、レンジ上限に到達
2026年は2月27日に20.92倍まで上昇した後、9月11日時点では16.97倍に戻っています(年内最低は8月19日の16.84倍)。
日経平均株価とEPSの推移
PERは「株価÷EPS」なので、株価とEPSの動きを分けて見ることで、PER変動の原因がわかります。
日経平均株価とEPS(加重平均)の推移
注目すべきポイントは2つあります。
EPSはコロナ禍の2020年を除き、2013年以降おおむね右肩上がり。アベノミクスの円安効果に加え、コーポレートガバナンス改革による資本効率の改善が寄与し、2013年末の980円は2025年末に2,651円へ。2026年9月11日時点では3,772円と過去最高水準です。
株価の上昇はEPSの成長に支えられている。日経平均は2024年に34年ぶりの最高値を更新し、2025年末には50,000円台に到達。年末PERは2024年の16.1倍から2025年には19.0倍へ上がりましたが、EPSの伸びが追いつき、2026年9月11日時点では17.0倍に戻っています。バブル期のようにPERの拡大(期待先行)だけで株価が上がっているわけではありません。
なぜ「14〜16倍」が適正水準なのか
ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏は2018年12月のレポート「なぜ、日経平均のPERは"15倍が適正"なのか」で、PER14〜16倍に相当する益回り(6〜7%程度)が「日本株のリスクを負担する対価として投資家が求める利回り」だと述べています。
益回りから見た適正PER
PERの逆数が「益回り(Earnings Yield)」です。PER15倍なら益回りは約6.7%、PER14倍なら約7.1%。日本の長期金利が1%前後の環境では、株式にはリスクプレミアム分として5〜6%上乗せした利回りが求められ、結果として益回り6〜7%(=PER14〜16倍)に落ち着きます。
PER | 益回り | 市場の評価 |
|---|---|---|
12倍以下 | 8.3%以上 | 割安圏(過度な悲観) |
14〜16倍 | 6.3〜7.1% | 適正レンジ |
17倍以上 | 5.9%以下 | やや割高(楽観寄り) |
20倍以上 | 5.0%以下 | 割高警戒圏 |
適正PERが変わる条件
ただし、14〜16倍はあくまで「過去の平均的な環境」での適正値です。以下の条件で適正PERは上下します。
金利が上がればPERは下がる。長期金利が上昇すると、株式に要求される益回りも上がり、PERの適正水準は低下します。日銀の利上げ局面では注意が必要です。
成長期待が高まればPERは上がる。企業利益の成長率が高まると、将来のEPS拡大を織り込んで現在のPERが高くなります。AI関連銘柄やDX投資拡大などの構造的テーマが追い風の場合、17倍超でも「割高」とは限りません。
為替が動けばEPSが動く。日経225構成銘柄には輸出企業が多く、円安はEPSを押し上げてPERを下げます。逆に急激な円高はEPSを圧縮してPERを上げます。
現在のPER水準をどう読むか(2026年9月時点)
2026年9月11日時点の日経平均は64,011円。加重平均PERは約17.0倍で、過去5年平均(15.5倍)を上回っています。
指標 | 値 |
|---|---|
日経平均株価 | 64,011.34円 |
PER(加重平均) | 17.0倍 |
PER(指数ベース) | 21.3倍 |
EPS(加重平均) | 約3,772円 |
過去5年平均PER | 15.5倍 |
過去10年平均PER | 15.5倍 |
現在の水準をどう読むか、ポイントは以下のとおりです。
適正レンジ(14〜16倍)をやや上回っている。PER17倍は過去の推移と比べると「やや楽観寄り」の水準です。ただし、AI・半導体需要の拡大やインバウンド回復による構造的な利益成長が背景にあり、成長期待分を考慮すると直ちに「割高」とは言い切れません。
EPSが過去最高水準にある。EPS約3,772円は前年同日(2025年9月11日)の約2,461円から約5割増(終値÷加重平均PERでKabuGraph算出)。利益の裏付けがある株高であることがPERの水準に現れています。
日銀の金融政策に注意。日銀が利上げを進めれば、株式の要求利回りが上がりPERは低下圧力を受けます。金利動向とPERの関係は常にセットで確認する必要があります。
日経平均PERを投資判断に使う3つの視点
1. 過去レンジとの比較で「温度感」を測る
アベノミクス以降の安定期(2013〜2025年)における加重平均PERのレンジは概ね12〜19倍(2020〜21年の利益急減期は25倍超)。このレンジの上限に近づけば「市場は楽観的」、下限に近づけば「悲観的」と読めます。ただし、米中貿易戦争時の10.7倍(2018年12月25日)のように外部ショックで一時的にレンジを逸脱することもあるため、単一の数値で判断せず、その背景を必ず確認してください。
2. EPSの「方向」と合わせて見る
PERだけを見ると誤解が生じます。例えば「PER17倍で割高」に見えても、EPSが年20%成長しているなら翌年のPERは14倍相当に低下します。PERの水準と同時にEPSの成長トレンドを確認することが重要です。
3. 海外指数との比較で「相対的な割安感」を確認する
日経平均PERは今期予想利益ベースなので、海外指数とも予想PER同士で比べます。2026年9月11日時点の水準は次のとおりです(株式マーケットデータ、multpl.com)。
指数 | 予想PER | 実績PER |
|---|---|---|
日経平均(加重平均) | 17.0倍 | — |
S&P500 | 20.3倍 | 26.2倍 |
NASDAQ100 | 24.6倍 | 33.9倍 |
日経平均の17倍前後は米国の主要指数と比較して低い水準です。ただし、成長率や利益構成が異なるため、単純な高低比較はできません。あくまで「相対的な投資魅力度」の参考として活用してください。
まとめ
日経平均PERの推移を振り返ると、バブル期の60.9倍、リーマン・ショック後の9.5倍と100倍超を経て、現在は17倍前後。市場の成熟と企業利益の回復が鮮明に見て取れます。
加重平均PERと指数ベースPERの2種類がある。日本経済新聞朝刊に載るのは加重平均
アベノミクス以降、14〜16倍が適正レンジとして機能している
現在のPER約17倍はやや楽観寄りだが、EPSが過去最高水準で裏付けあり
PERだけで判断しない。EPSの成長率・金利動向・海外比較と組み合わせて使う
日経平均PERの推移は、日本経済新聞社の「日経平均プロフィル ヒストリカルデータ」で2004年以降の日次データを確認できます。









