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PER(株価収益率)とは|計算式・15倍の目安と東証プライム業種別データで読む割安判断

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PER(Price Earnings Ratio・株価収益率)は「株価がEPS(1株あたり利益)の何倍で買われているか」を示すバリュエーション指標で、株式投資で最も広く使われる割安・割高の判断基準です。

一般的に15倍前後が目安とされますが、業種や成長期待によって適正水準は大きく異なります。本記事ではPERの計算式・目安に加え、JPXが公開する東証プライムの業種別PER・PBR推移データを使った実践的な活用法を解説します。

PER(株価収益率)とは

PERは「株価÷EPS」で計算し、株価が1株利益の何倍で取引されているかを示す指標です。英語では Price Earnings Ratio、日本語では「株価収益率」と呼ばれます。

PERの計算式

たとえば、株価が1,500円でEPSが100円の企業なら、PERは15倍です。「この企業の株価は年間利益の15倍の水準で取引されている」と読みます。

PERの逆数が「益回り」(Earnings Yield)です。益回り = EPS ÷ 株価 = 1 ÷ PER で計算します。PER 15倍なら益回りは約6.7%となり、債券利回りと比較する際に使います

2つの読み方

読み方1: 利益の何倍で買われているか — PER 15倍なら「年間利益の15年分の値段がついている」と読めます。値が大きいほど市場からの評価(期待)が高く、小さいほど控えめな評価を意味します。

読み方2: 投資回収年数の目安 — 利益水準が変わらないと仮定した場合、投資額を利益だけで回収するのに何年かかるかの目安です。PER 15倍なら回収に15年かかる計算になります。

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PERの目安 — 15倍の根拠と業種別の水準差

なぜ15倍が目安とされるのか

「PER 15倍前後」という目安は、日経平均の予想PER(今期予想利益ベース)が長期的に14〜16倍で推移してきたことに由来します。2013〜2025年の日次平均は15.3倍、中央値は14.8倍です(日経平均プロフィルよりKabuGraph算出)。

益回りに換算すると約6.7%で、新発10年国債利回り(2026年9月15日時点3.03%、財務省「国債金利情報」)を約3.7ポイント上回ります。この差が株式に投資するリスクに対する上乗せ分(エクイティ・リスクプレミアム)です。長期金利が上がるほどこの差は縮むので、金利水準によって「適正なPER」も動きます。

一方、本記事で使うJPXの統計は直近本決算の実績ベースで、東証プライムの加重平均PERは2013年以降の中央値が17.9倍(2013年1月〜2026年8月の月末値、KabuGraph算出)と、予想PERの目安より2〜3ポイント高く出ます。「15倍」は予想PERの話、次の業種別・推移データは実績PERの話、と基準を分けて読んでください。

指標

分母の利益

長期の水準

日経平均PER(予想)

今期の予想利益

平均15.3倍・中央値14.8倍(目安の「14〜16倍」)

東証プライム加重平均PER(実績・JPX)

直近本決算の実績利益

平均18.5倍・中央値17.9倍(最低13.1倍・最高28.7倍)

出典:日経平均プロフィル・日本取引所グループ「規模別・業種別PER・PBR(連結)」長期データよりKabuGraph算出。日経平均は2013〜2025年の日次、東証プライムは2013年1月〜2026年8月の月末値(2022年3月以前は市場第一部)

ただし、2020〜2021年はコロナ禍で利益が落ち込む一方、金融緩和で株価が先に回復したため実績PERが20倍を超えるなど、局面によって大きく変動します。15倍も18倍もあくまで長期の平均的な水準であり、常に正しい基準ではありません。

業種別PER比較(2026年8月末、東証プライム)

PERの適正水準は業種によって大きく異なります。以下はJPXが公開する東証プライム市場の業種別PER(連結・加重平均)です。JPXの統計は各社の直近本決算の実績値で計算されているので、前セクションの区分では「実績PER」にあたります。証券会社の予想PERと比べるときは、分母の利益が違うことに注意してください。

東証プライム 業種別PER(2026年8月末・連結加重平均・実績)

出典:日本取引所グループ「規模別・業種別PER・PBR(連結)」よりKabuGraph作成。2026年8月末時点、プライム市場33業種と総合の加重平均PER(直近本決算の実績ベース)

電気機器(44.2倍)が最も高く、空運業(9.2倍)が最も低いという結果です。電気機器には東京エレクトロン・アドバンテスト・キオクシアホールディングスなど半導体製造装置・メモリの大型成長株や日立製作所が含まれ、AI需要への期待が加重平均PERを押し上げています。

重要なのは、同じ「PER 20倍」でも、電気機器では割安、建設業では割高と判断される点です。PERによる割安・割高の判断は、必ず業種内での相対比較で行います。

なお加重平均は時価総額の大きい銘柄に左右されます(情報・通信業は加重12.5倍に対し単純平均19.3倍)。個別銘柄を業種内で比べるときは、同じ統計の単純平均も確認してください。

東証プライムのPER・PBR推移データ

JPX(日本取引所グループ)は東証プライム市場全体のPER・PBRを月次で公開しています(連結・直近本決算の実績ベース)。過去のPERレンジを知ることで、現在の市場全体が割高か割安かを判断する材料になります。

東証プライム PER推移(加重平均・連結・実績)

出典:日本取引所グループ「規模別・業種別PER・PBR(連結)」よりKabuGraph作成。各月末、連結・加重平均(直近本決算の実績ベース)。2022年3月以前は市場第一部、2022年4月以降はプライム市場

2020〜2021年はコロナ禍で利益が落ち込む一方、金融緩和で株価が先に回復したため、PERが20倍を超えました。2022年6月に2022年3月期の業績回復が統計に反映されると14倍台に低下し、2023年以降はおおむね15〜22倍(月末値)で推移しています。2026年に入ってからは20倍前後が続いています。

次にPERとPBRの推移を重ねたチャートを見てみましょう。

東証プライム PER・PBR推移(加重平均・連結・実績)

出典:日本取引所グループ「規模別・業種別PER・PBR(連結)」よりKabuGraph作成。各月末、連結・加重平均(直近本決算の実績ベース)。2022年3月以前は市場第一部、2022年4月以降はプライム市場

PERは変動が大きい一方で、PBRは2023年以降じわじわと上昇しています。これは東証のPBR1倍割れ改善要請を受けた企業の資本効率改善(ROE向上)が背景にあります。

PER × ROE = PBRの関係

PER・PBR・ROEの3指標は以下の関係式でつながっています。

たとえば、PERが15倍でROEが8%の企業の場合、PBR = 15 × 0.08 = 1.2倍になります。同じPER 15倍でもROEが12%なら PBR = 15 × 0.12 = 1.8倍です。PBRが上昇している背景にはROEの改善があります。東証のPBR1倍割れ改善要請(2023年3月)以降、日本企業のROE改善が進み、PBRが上昇傾向にあります。

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PERが高い・低い理由

PERの水準は企業ごとに大きく異なります。なぜPERが高いのか・低いのかの理由を理解することが、投資判断の精度を上げるポイントです。

PERが高い(30倍以上)理由

  • 高い利益成長が期待されている — 将来EPSが大きく伸びると市場が予想しているため、現在の利益に対して高い値段がつきます。AI・半導体関連銘柄などが典型例です。

  • 安定した収益基盤がある — 景気変動に左右されにくいディフェンシブ銘柄(食品・医薬品・日用品等)は、利益の安定性が評価されPERが高くなる傾向があります。

  • 市場のテーマ性 — AI・半導体・DX・脱炭素など注目テーマに属する銘柄は、資金が集中しPERが高くなりやすい傾向があります。

PERが低い(10倍以下)理由

  • 成長期待が低い — 成熟産業で利益の伸びが見込めない企業は、将来の利益拡大が織り込まれずPERが低くなります。

  • 業界固有のリスクがある — 規制リスク・コモディティ価格変動リスク・地政学リスクなどが意識されている業界(海運・鉱業・電力等)はPERが低い傾向にあります。

  • 一時的な特別利益でEPSが膨らんでいる — 資産売却益等で一時的にEPSが高くなると、PERが低く見えることがあります。翌期にEPSが正常化すればPERは上昇します。

PERがマイナス(赤字企業)の場合

EPSがマイナス(当期純損失)の場合、PERは算出できません。マイナスのPERは「投資回収年数がマイナス」という意味になり、指標として機能しないためです。

赤字企業のバリュエーションにはPSR(株価売上高倍率)やEV/EBITDAなど、利益以外の指標を使います。

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PERの正しい使い方と注意点

同業他社比較(横の比較)

同じ業種内の競合企業とPERを比較し、相対的な割安・割高を判断する方法です。たとえばA社のPERが12倍、同業のB社が18倍なら、A社が相対的に割安に見えます。ただし、成長率や収益の質も考慮する必要があります。

過去推移比較(縦の比較)

同じ企業の過去5年程度のPER推移と比較し、現在のPERがヒストリカルレンジのどこにあるかを確認する方法です。過去レンジの上限に近ければ割高感あり、下限に近ければ割安の可能性があります。

EPSの質を確認する

特別利益・特別損失で歪んだEPSをベースにしたPERは実態を反映しません。たとえば、保有不動産の売却益で一時的にEPSが跳ね上がった場合、PERは低く見えますが、翌期にはEPSが元に戻りPERも上昇します。

営業利益・経常利益の推移や、企業が開示する調整後EPSと見比べることで、一時要因に左右されない本業の収益力に基づいた判断ができます。

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PERと他のバリュエーション指標の比較

PERは万能な指標ではありません。他のバリュエーション指標と併用することで、より多角的な投資判断が可能になります。

指標

計算式

何を測るか

適する場面

弱点

PER

株価÷EPS

利益に対する株価の倍率

黒字企業の割安度

赤字企業に使えない、成長率未考慮

PBR

株価÷BPS

純資産に対する株価の倍率

資産価値ベースの評価

無形資産の多い企業に不向き

PSR

株価÷SPS

売上に対する株価の倍率

赤字の成長企業

利益率を無視

PEGレシオ

PER÷EPS成長率

成長率調整済みPER

成長株の相対比較

成長率の予測が困難

EV/EBITDA

EV÷EBITDA

事業価値に対するキャッシュフロー倍率

資本構成が異なる企業の比較

設備投資の違いを反映しない

1つの指標に頼らず、複数の指標を組み合わせて多角的に判断することが投資の精度を上げるポイントです。

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まとめ

PERの要点を整理します。

  • PERは「株価÷EPS」で計算するバリュエーション指標。15倍前後は日経平均予想PERの長期的な目安で、JPXの実績ベースでは東証プライムの中央値は約18倍

  • 業種によってPERの適正水準は大きく異なる(電気機器44倍 vs 空運9倍、2026年8月末・実績)

  • 同業他社比較(横)と過去推移比較(縦)の2軸で判断する

  • PERが低い=割安とは限らない。なぜ低いかの理由を確認する

  • 成長率を加味するにはPEGレシオ、赤字企業にはPSRなど、PERの弱点を補う指標と併用する

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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