積水ハウス(1928)の企業分析|MDC買収で売上4.2兆円、累積建築275万戸で国内首位・配当利回り4.3%
2027年1月期 第2四半期決算まで反映

積水ハウス(1928)は、累積建築275万戸と累積建築戸数で国内首位の住宅メーカーです。
2026年1月期は売上高4兆1,979億円(前期比+3.4%)、営業利益3,414億円(同+3.0%)と売上高・営業利益ともに過去最高を更新。2024年4月に完了したM.D.C. Holdings(約7,500億円)の買収により、全米トップ5のホームビルダーグループとなりました。
続く2027年1月期は、中間期(2026年2月〜7月)の営業利益・経常利益・中間純利益がいずれも過去最高を更新。会社は2026年9月10日に通期予想を売上高4兆2,600億円・純利益2,240億円へ修正しました(売上高は下方修正、経常利益・純利益は上方修正、営業利益は据え置き)。
この記事では、積水ハウスの請負型・ストック型・開発型・国際の4つのビジネスモデル、MDC買収の戦略的意義、業績推移と投資判断のポイントを、個人投資家の視点から解説します。
この記事の内容(目次)
会社概要 — 「わが家」を世界一幸せな場所にする
積水ハウスは1960年、積水化学工業のハウス事業部が分離独立して設立されました。グローバルビジョン「『わが家』を世界一幸せな場所にする」を掲げ、戸建住宅・賃貸住宅・マンション・都市再開発・リフォーム・不動産管理など住宅の「建てる」から「暮らす」までをワンストップで提供する企業です。

項目 | 内容 |
|---|---|
会社名 | 積水ハウス株式会社(Sekisui House, Ltd.) |
証券コード | 1928(東証プライム・名証プレミア) |
設立 | 1960年8月1日 |
代表者 | 代表取締役兼CEO 社長執行役員 仲井 嘉浩 |
従業員数 | 32,186名(連結)/14,178名(単体)(2026年1月31日現在) |
本社 | 大阪市北区大淀中一丁目1番88号(梅田スカイビル タワーイースト) |
累積建築戸数 | 約275万戸(2,749,520戸。うち海外約7万戸、2026年1月31日現在) |
決算期 | 1月期(1月31日) |
ビジネスモデル — 4つの事業領域
積水ハウスは「請負型」「ストック型」「開発型」「国際」の4つのビジネスモデルに分類して事業を展開しています。2026年1月期の営業利益構成は、請負型41%、ストック型25%、開発型24%、国際10%と、国内3事業でバランスよく利益を稼ぐ構造です。

ビジネスモデル別営業利益構成比(2026年1月期)
ビジネスモデル別売上高・営業利益(2026年1月期)
4つのビジネスモデルを理解する
請負型ビジネス — 戸建住宅と賃貸・事業用建物の建築
請負型ビジネスは、注文住宅「ISシリーズ(IS ROY+Eなど)」「SHAWOOD(シャーウッド)」などの戸建住宅の設計・施工と、アパート「シャーメゾン」などの賃貸住宅・事業用建物の建築請負を行います。積水ハウスの原点である事業領域であり、鉄骨造と木造の両方の技術を持つ点が競合との差別化要因です。
2026年1月期の売上高は1兆3,460億円(前期比△0.2%)、営業利益は1,579億円(同+10.4%)。住宅業界全体で新築着工数が減少傾向にある中、減収ながら高付加価値提案(ZEH=ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの推進、邸別自由設計)と単価上昇により、営業利益率は10.6%から11.7%へ改善しています。
ストック型ビジネス — 275万戸の顧客基盤から生まれるリカーリング収益
ストック型ビジネスは、リフォームと賃貸住宅管理の2つで構成されます。積水ハウスが創業以来建築してきた約275万戸の住宅がそのまま顧客基盤となり、リフォーム需要や管理手数料を安定的に生み出すストック型のビジネスモデルです。
2026年1月期は売上高9,005億円、営業利益969億円(前期比+16.2%)と大幅増益。賃貸住宅「シャーメゾン」の管理戸数拡大とリフォーム受注の増加が牽引しました。景気変動の影響を受けにくく、利益の安定性という観点で最も重要なセグメントです。
開発型ビジネス — マンション・都市再開発で利益率急上昇
開発型ビジネスは、分譲マンション「グランドメゾン」の開発・販売と、オフィスビル・ホテル・商業施設の大型都市再開発プロジェクトを手がけます。2026年1月期は売上高6,819億円、営業利益949億円(前期比+35.1%)と大幅増益。好立地の都市再開発物件の売却が利益を押し上げました。
ただし、開発型ビジネスは大型物件の引き渡し・売却タイミングに業績が左右されるため、四半期ごとの変動が大きい点には注意が必要です。
国際ビジネス — MDC買収で全米トップ5に、ただし統合は道半ば
国際ビジネスは、米国・豪州・シンガポールを中心に海外で住宅・不動産開発を展開するセグメントです。2024年4月にM.D.C. Holdings(米国16州で戸建住宅を供給。2025年9月にSEKISUI HOUSE U.S., Inc.へ商号変更)を約7,500億円で買収し、全米トップ5のホームビルダーとなりました。買収直後は年間約1.5万戸規模でしたが、2026年1月期の米国戸建住宅事業の引渡戸数は11,712戸(前年14,860戸)に減少しています。
しかし2026年1月期の国際ビジネスは営業利益391億円(前期比−50.5%)と大幅減益でした。会社が挙げる減益要因は次の3点です。
住宅ローン金利は低下傾向にあるものの、関税政策等による先行き不透明感から顧客の様子見姿勢が継続し、需要が鈍化したこと
様子見姿勢の継続を受けた販売インセンティブの増加
米国戸建住宅事業の販売用不動産で135億円(全社では197億円)の評価損を計上したこと
(出典:積水ハウス 2026年1月期決算短信・決算説明資料)。今後は日本で培った木造技術(SHAWOOD)の米国展開や、2026年1月にグループビルダー4社を統合して「One Company」体制として始動したSEKISUI HOUSE U.S., Inc.による経営効率化が鍵となります。
業績推移と財務分析
売上高・営業利益・営業利益率の推移
2025年1月期に売上高が約4兆円に跳ね上がったのはMDC Holdings買収の影響です。売上規模が1年で3割増えた後も、営業利益率は8%前後を保っています。
通期業績推移(売上高・営業利益・営業利益率)
純利益・EPSの推移
純利益は2026年1月期に2,321億円と過去最高を更新し、EPSは358円まで拡大しました。2027年1月期の会社予想(2026年9月10日修正後)は純利益2,240億円で、前期比−3.5%の減益となります。
ただし営業利益は3,500億円と+2.5%の増益計画で、減益となるのは経常利益(−3.6%)と純利益の段階だけです。前期に持分法投資利益261億円(前期比+291億円)と投資有価証券売却益124億円を計上しており、その反動が営業利益より下の段で効く構図です。
純利益・EPS推移
2027年1月期の進捗 — 中間期は営業利益・経常利益・中間純利益が過去最高
第1四半期(2026年2〜4月の3ヶ月)は大阪・梅田のタワーマンション引渡しが寄与し、売上高9,089億円(前年同期比+1.7%)、営業利益761億円(同+26.2%)、四半期純利益585億円(同+75.2%)と大幅増益でスタートしました。
2026年9月10日開示の第2四半期決算では、中間期累計の営業利益・経常利益・中間純利益がいずれも過去最高を更新。米国戸建住宅事業の回復が遅れる一方、都市再開発事業の物件売却をはじめとする国内事業が業績を牽引しました。自己資本比率も44.0%へ改善しています。
項目 | 2027/1 中間期(累計) | 前年中間期(累計) | 増減率 |
|---|---|---|---|
売上高 | 1兆9,656億円 | 2兆154億円 | △2.5% |
営業利益 | 1,804億円 | 1,555億円 | +16.0% |
経常利益 | 1,691億円 | 1,366億円 | +23.8% |
中間純利益 | 1,251億円 | 1,016億円 | +23.1% |
1株当たり中間純利益 | 192.90円 | 156.76円 | +23.1% |
これを受けて会社は同日、通期予想も修正しました。米国戸建住宅事業の回復の遅れと中東情勢の変化に伴う資材価格上昇を織り込んで売上高を下方修正する一方、国内外の開発物件売却の進展と国内事業の順調な進捗を踏まえ、経常利益・純利益は上方修正しています。年間配当145円は据え置きです。
項目 | 期初計画(2026年3月5日) | 修正後(2026年9月10日) | 前期比 |
|---|---|---|---|
売上高 | 4兆3,530億円 | 4兆2,600億円 | +1.5% |
営業利益 | 3,500億円 | 3,500億円(据え置き) | +2.5% |
経常利益 | 3,140億円 | 3,160億円 | △3.6% |
純利益 | 2,180億円 | 2,240億円 | △3.5% |
1株当たり当期純利益 | 336.30円 | 345.55円 | △3.5% |
年間配当 | 145円 | 145円(据え置き) | +1円 |
配当推移
積水ハウスは配当性向40%前後を維持しながら継続的に増配を続け、2026年1月期で14期連続増配となりました。同期の配当は1株あたり144円、2027年1月期は145円と増配予想です(減益となった2021年1月期だけは配当性向が46.4%に上がっています)。
配当利回りは4.3%(2026年9月18日終値3,350円・2027年1月期予想年間配当145円で算出)で、大和ハウス工業の3.8%を上回る水準です。第7次中期経営計画では年間配当の下限を145円とする方針も示されています。
1株あたり配当金の推移
指標 | 数値 |
|---|---|
株価 | 3,350円 |
時価総額 | 2兆1,828億円 |
PER(実績) | 9.4倍 |
PER(会社予想) | 9.7倍 |
PBR | 1.01倍 |
配当利回り(会社予想) | 4.3% |
ROE | 11.3% |
自己資本比率 | 44.0% |
各指標の元データは積水ハウス IR情報で確認できます。
投資家が注目すべきポイント
成長ドライバー — MDC統合と第7次中計
積水ハウスは第7次中期経営計画(2026年度〜2028年度)で最終年度2028年度(2029年1月期)に売上高5兆260億円を目標に掲げています(積水ハウス 第7次中期経営計画(2026〜2028))。成長の柱は以下の3つです:
MDC統合と米国での技術展開:米国のグループビルダー4社を統合し、2026年1月に「One Company」体制のSEKISUI HOUSE U.S., Inc.として始動。日本で培った木造住宅技術(SHAWOOD)の導入やZEH技術の展開で差別化を図り、「ゲームチェンジャー」を目指しています。
ストック型ビジネスの深耕:累積275万戸の顧客基盤を「積水ハウス経済圏」として活用し、リフォーム・管理・保険・エネルギーなど顧客接点を拡大。ストック型ビジネスの利益率向上が中計の中心テーマの一つです。
都市再開発の利益拡大:開発型ビジネスの都市再開発事業は2026年1月期の営業利益が459億円・前期比72.5%増(開発型ビジネス全体では35.1%増)と急成長。オフィス・ホテル・住宅の複合施設を開発し、REITへの売却で資本を効率的に回転させるモデルが定着しています。
リスク要因
米国事業の立て直しが最大の課題です。国際ビジネスは売上高1.3兆円と請負型に次ぐ規模ですが、営業利益率は3.0%と極めて低く、米国戸建住宅事業の販売用不動産で135億円(全社では197億円)の評価損を計上するなど足元は苦戦しています。住宅ローン金利は低下傾向にあるものの、関税政策等による先行き不透明感から顧客の様子見姿勢が続いており、需要回復のタイミングは読みにくい状況です。2027年1月期の通期予想でも、会社は米国戸建住宅事業の回復の遅れを織り込んで売上高を下方修正しました。
金利環境は住宅メーカーにとって最も重要な外部要因です。日米ともに金利上昇局面では住宅需要が抑制され、請負型ビジネスの受注減少につながります。ただし積水ハウスはリフォーム・賃貸住宅管理といったストック型ビジネスが営業利益の約4分の1を占めており、新築需要の変動を一定程度吸収できる構造です。
為替リスクも無視できません。国際ビジネスの売上高1.3兆円は連結売上の31%を占めており、円高に振れれば円建ての売上・利益が大幅に圧縮されます。逆に円安は追い風ですが、この為替の不確実性が株価のバリュエーションに影響しています。
まとめ
積水ハウスは、累積275万戸の建築実績とMDC買収で全米トップ5に入った「グローバル住宅メーカー」です。
売上高4.2兆円・営業利益3,414億円と過去最高を更新(2026年1月期実績)。2027年1月期は中間期の営業利益・経常利益・中間純利益がそろって過去最高
請負型・ストック型・開発型・国際の4モデルで利益を分散し、ストック型の安定収益が基盤
配当利回り4.3%・14期連続増配(配当性向40%前後、下限配当145円の方針)のインカム銘柄としての魅力
MDC買収で全米トップ5も、2026年1月期の国際ビジネスは営業利益50.5%減と苦戦
PER(実績)9.4倍・PBR 1.01倍(2026年9月18日終値3,350円基準)で、成長期待と不確実性のバランスが株価に織り込み済み
MDC統合の成否が中期的な株価の方向性を決定づけるため、四半期ごとの米国事業の進捗を注視することが重要です。国内ではストック型ビジネスの安定性がポートフォリオの下支えとなり、配当利回り4%超のインカム面も魅力的な水準です。
積水ハウス
積水ハウスは、国内最大級の住宅メーカー。戸建住宅ブランド「シャーウッド」「イズシリーズ」で知られ、鉄骨造・木造の注文住宅を全国展開する。賃貸住宅「シャーメゾン」の建設・管理、分譲マンション「グランドメゾン」の開発、リフォーム、都市型開発まで…
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