ネオジャパン(3921)の企業分析|desknet's NEO累計540万ユーザー、営業利益率30%超の国産グループウェア

ネオジャパン(3921)は、グループウェア「desknet's NEO」を中核に、ノーコードツール「AppSuite」、ビジネスチャット「ChatLuck」を展開する国産SaaS企業です。
2026年1月期は売上高82.3億円(前期比+13.3%)、営業利益25.0億円(同+28.0%)と過去最高を更新。営業利益率は30.3%に達し、ストック売上比率81.9%という安定した収益基盤を築いています。
この記事では、ネオジャパンの3つのプロダクト、セグメント別業績、中期経営計画、投資判断のポイントを、個人投資家の視点からわかりやすく解説します。
会社概要 — 1999年から四半世紀、グループウェアひと筋
ネオジャパンは、齋藤晶議氏(現代表取締役社長)が1992年に設立したソフトウェア企業です。1999年にグループウェア「desknet's」の提供を開始し、以来四半世紀にわたってグループウェア一筋で事業を展開してきました。
項目 | 内容 |
|---|---|
会社名 | 株式会社ネオジャパン(NEOJAPAN Inc.) |
証券コード | 3921(東証プライム) |
設立 | 1992年2月 |
代表取締役社長 | 齋藤 晶議 |
従業員数 | 連結322名(2026年1月末時点) |
本社 | 神奈川県横浜市西区みなとみらい(横浜ランドマークタワー10F) |
セクター | 情報・通信業 |
決算期 | 1月末 |
沿革 — グループウェアの進化と事業の多角化
1999年 — Webグループウェア「desknet's」を提供開始。国産グループウェアのパイオニアとして市場を開拓
2014年 — 東証マザーズに上場。同年、全面リニューアルした「desknet's NEO」を投入しクラウド版を本格展開
2017年 — ノーコード業務アプリ作成ツール「AppSuite」を提供開始。グループウェアの枠を超えた業務改善ツールへ進化
2019年 — ビジネスチャット「ChatLuck」を発売。コロナ禍のリモートワーク需要を捉え急成長
2022年 — 東証プライム市場に移行。子会社Pro-SPIREのシステム開発サービスとの二本柱体制を確立
2025年 — 東大松尾研発スタートアップneoAIとの業務提携で生成AIプラットフォーム「neoAI Chat for desknet's」を提供開始。AIエージェント時代への対応を加速
3つのプロダクトを理解する
ネオジャパンのソフトウエア事業は、desknet's NEO(グループウェア)、AppSuite(ノーコード)、ChatLuck(ビジネスチャット)の3プロダクトで構成されています。これらを組み合わせることで、情報共有・業務アプリ・コミュニケーションを一元化できる点が、単体製品にはない競争優位です。
desknet's NEO — 累計540万ユーザーの国産グループウェア

desknet's NEOは、スケジュール管理・掲示板・ワークフロー・文書管理など27の業務アプリケーションを標準搭載したグループウェアです。1999年の初版リリースから四半世紀で累計540万ユーザーを突破しました(2026年1月末時点)。
特に強いのが官公庁・自治体向けで、導入実績は1,250団体以上。2025年6月には「ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)」対応のクラウド基盤オプションを開始し、政府系の需要も取り込んでいます。クラウド版とオンプレミス(パッケージ)版の両方を提供している点が、セキュリティ要件の厳しい公共・金融セクターでの強みです。
AppSuite — クラウドユーザー数が前期比37.5%増のノーコードツール

AppSuiteは、プログラミング不要で業務アプリを作成できるノーコードツールです。日報・経費精算・在庫管理など、Excel管理されていた社内業務をそのままアプリ化でき、desknet's NEOと連携して使えるのが最大の特徴です。
2026年1月期はクラウドユーザー数が前期比37.5%増、クラウド売上は前期比43.2%増と急成長を見せています。desknet's NEOユーザーのセット利用率は約20%にとどまっており、会社は30%以上への引き上げを目標としています。既存顧客へのアップセルだけで大きな成長余地がある点が、投資家にとって注目すべきポイントです。
ChatLuck — セキュリティに強いビジネスチャット

ChatLuckは、クラウド・オンプレミス両対応のビジネスチャットです。Slackなどの競合が多い分野ですが、ChatLuckの差別化ポイントはオンプレミス対応と細かなアクセス制御。外部ユーザーを招待できるゲストルーム機能や、メッセージの既読確認・端末制限など、企業のセキュリティポリシーに沿った運用が可能です。desknet's NEOとの連携により、グループウェアの通知をチャットで受け取るといったシームレスな運用ができます。
セグメント別業績と財務分析
ネオジャパンの連結業績はソフトウエア事業、システム開発サービス事業、海外事業の3セグメントで構成されています。利益の大半はソフトウエア事業が稼いでおり、高利益率のSaaS型ビジネスモデルが全体の収益性を押し上げています。
通期業績推移
通期業績推移(売上高・営業利益・営業利益率・売上高成長率)
売上高は2020/1期の37.4億円から2026/1期の82.3億円へ6年間で2.2倍に成長しました。特筆すべきは営業利益率の改善で、2020/1期の18.7%から2026/1期は30.3%へ大幅に向上。クラウドシフトによるストック収入の積み上がりと、Pro-SPIRE(システム開発子会社)の外注費削減が寄与しています。
セグメント別売上構成(2026年1月期)
セグメント別売上構成比(2026年1月期)
セグメント | 売上高 | 前期比 | 営業利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|
ソフトウエア事業 | 62.3億円 | +19.5% | 25.2億円 | 40.4% |
システム開発サービス | 19.6億円 | −3.5% | 0.7億円 | 3.8% |
海外事業 | 0.8億円 | +114.4% | △0.9億円 | — |
ソフトウエア事業が連結売上の75.5%を占め、営業利益では実質100%をこのセグメントが稼いでいます。同事業の営業利益率40.4%はSaaS企業としても高水準で、クラウドサービスの売上構成比が69.7%まで高まったことが背景です。
ソフトウエア事業の売上構成
ソフトウエア事業 売上構成の推移
ソフトウエア事業の成長はクラウドサービスが牽引しています。クラウド売上は43.3億円(前期比+26.5%)と大幅に伸びた一方、プロダクト(オンプレ)は17.3億円(同+1.6%)と横ばい。クラウド構成比は65.8%→69.7%へ拡大しており、ストック型収益への転換が着実に進んでいます。
配当推移 — 上場来増配を継続
1株配当と配当性向の推移
ネオジャパンは上場以来、一度も減配なく増配を継続しています。2026/1期の年間配当は52円(前期40円から+30%増配)、配当性向は40.3%。会社は「累進配当を基本方針とし、配当性向40%を目安」としています。2027/1期の予想配当は年間54円(中間27円+期末27円)で、さらなる増配が見込まれます。
成長戦略と注目ポイント
中期経営計画 — 2029/1期に売上100億円を目指す
ネオジャパンは新たな3カ年の中期経営計画を開示しており、2029年1月期に売上高100億円(年平均成長率7.0%)、営業利益約31億円(同8.0%)を目標としています。前中計の営業利益目標は1年前倒しで達成しており、実績に基づいた現実的な計画といえます。
成長の柱は以下の3つです。
AppSuiteのセット率向上 — desknet's NEOユーザーの約20%にとどまるAppSuiteのセット利用率を30%以上に引き上げ。既存顧客からのARPU向上が主エンジン
AI機能の組み込み — 東大松尾研発neoAIとの提携による「neoAI Chat for desknet's」やAIエージェント搭載の「NEOPORT 2.0」を投入。グループウェア×AIの差別化で顧客単価を引き上げる
ASEAN展開の加速 — マレーシア・タイ・フィリピンの3拠点で日系企業と現地企業への販売を強化。日本式の業務慣習に近いASEAN市場を優先的に攻める戦略
AI戦略 — 「誰もが安心してAIを使えるグループウェア」
ネオジャパンのAI戦略は「AIアシスタントの作成者と利用者の分離」がコンセプトです。IT部門がneoAI Chat上でAIアシスタントを作成し、現場の社員はdesknet's NEOやChatLuck上でそのAIを使うという運用モデルにより、管理負担を軽減しつつAI活用を全社に広げます。
また、メール対応業務の完全自動化を目指す「NEOPORT 2.0」のベータ版も提供を開始。グループウェアの膨大なデータを活用したAIエージェントの実用化は、ARPU向上と解約率の低減の両面で寄与する可能性があります。
まとめ
ネオジャパンは、国産グループウェアで四半世紀の実績を持ち、官公庁・自治体を中心とした強固な顧客基盤を武器に、ストック型収益を着実に積み上げているSaaS企業です。
投資家にとっての魅力は「成長と割安さの両立」にあります。PER 12.3倍・配当利回り3.26%というバリュエーションは、営業利益率30%超・ROE 24%超の高収益SaaS企業としては割安です。上場来増配を継続する株主還元姿勢も評価できます。
一方で、国内グループウェア市場の成熟化やMicrosoft・Googleとの競争、海外事業の赤字といったリスクも存在します。AppSuiteのセット率向上とAI機能の差別化が、中期的な成長の鍵となるでしょう。時価総額225億円と機関投資家のカバーが薄い銘柄ですが、SaaS×高配当の組み合わせは個人投資家にとって注目に値する投資先です。
ネオジャパン
グループウェア『desknet's NEO』を中核とするクラウドサービスの提供企業。業務アプリ作成ツール『AppSuite』、ビジネスチャット『ChatLuck』も展開。北米市場向けSaaS販売やシステムインテグレーションで、エンタープライ…










