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じげん(3679)の企業分析|M&Aで30超のメディアを統合、営業利益率20%超のロールアップ成長モデル

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じげん(3679)は、「生活機会の最大化」をミッションに、求人・不動産・自動車・旅行・エネルギーなどライフイベント領域の比較メディアを30以上運営するインターネット企業です。

2026年3月期は売上収益292億円(前期比+14.8%)、営業利益59億円(同+4.5%)と、いずれも過去最高を更新。2026年8月に発表した2027年3月期第1四半期も売上収益78億円(前年同期比+16%)と好調に推移しています。

この記事では、じげんのM&Aロールアップ戦略の仕組み、2つの事業領域の構造、業績推移、第3次中期経営計画の成長シナリオ、投資判断のポイントを個人投資家向けに解説します。

会社概要 — M&Aで30超のメディアを束ねるプラットフォーム企業

じげんは2006年創業のインターネット企業で、2013年に東証マザーズに上場、現在は東証プライム市場に所属しています。求人・不動産・自動車・旅行・エネルギー・保険といった「人生の大きな意思決定」に関わる領域で、比較・マッチングメディアを複数展開しています。

項目

内容

社名

株式会社じげん(ZIGExN Co., Ltd.)

証券コード

3679(東証プライム)

設立

2006年6月

代表者

平尾丈(代表取締役社長 CEO)

時価総額

約477億円

会計基準

IFRS(国際会計基準)

PER / PBR

10.4倍 / 1.91倍

配当利回り

2.53%

事業領域

求人(アルバイト・人材紹介)、不動産、自動車、旅行、エネルギー、保険

出典:2027年3月期第1四半期決算説明資料・有価証券報告書よりKabuGraph作成(2026年9月10日時点)

ビジネスモデル — 「ZIGExN Matching Agent(ZMA)」

じげんのビジネスモデルの核は「ZIGExN Matching Agent(ZMA)」と呼ばれるマッチングプラットフォームです。求職者と企業、住宅の借り手と貸し手、自動車の買い手と売り手など、ライフイベントにおける「探す人」と「提供する人」を効率的にマッチングし、成約や送客に応じて報酬を得る仕組みです。

収益モデルは大きく2つに分かれます。メディアへの広告掲載料や月額利用料による「積み上げ型収益」(FY26/3: 152億円、全体の52%)と、人材紹介の成約報酬など「非積み上げ型収益」(同: 140億円、48%)です。タイズを中心とする人材紹介事業の急成長により、非積み上げ型の比率が年々上昇しています。

セグメント構成

FY27/3より事業セグメントが再編され、従来の3セグメント(Vertical HR・Living Tech・Life Service)から2セグメント(Vertical HR・Life Service)に統合されました。

セグメント別売上収益構成比(2026年3月期・新区分)

出典:2026年3月期決算説明資料よりKabuGraph作成。新セグメント区分(FY27/3以降)に基づく組替値
  • Vertical HR(売上収益126億円、43%) — 製造業特化の人材紹介「タイズ」、美容・ヘルスケア業界向け求人「リジョブ」、アルバイト求人一括検索「アルバイトEX」など。人材紹介事業(タイズ)の高成長がセグメント全体を牽引

  • Life Service(売上収益166億円、57%) — 不動産(スモッカ)、自動車(中古車EX)、旅行(海外旅行代理店)、エネルギー(エネピ)、保険(保険マンモス)など。多数のメディアで構成される安定収益基盤

セグメント別売上収益推移(新区分)

出典:決算説明資料よりKabuGraph作成。FY27/3は会社予想。FY24/3・FY25/3は新セグメント区分への組替値

事業を理解する — M&Aで獲得した30超のメディア群

じげんの最大の特徴は、各ライフイベント領域に特化したメディアをM&Aで次々と獲得し、ZMAモデルのもとで収益最大化を図る「ロールアップ戦略」です。ここでは主要なサービスを紹介します。

アルバイトEX — 求人一括検索の草分け

約200万件の求人情報を30以上の求人サイトから一括検索できるアルバイト求人メタサーチです。マイナビバイト、タウンワーク、バイトル、リジョブなど主要求人サイトの情報を集約し、求職者は1つのサイトで比較検討ができます。「お祝い金」制度により、アルバイトEX経由での応募・採用で入社祝い金が受け取れる点が差別化ポイントです。

アルバイトEXのトップページ。30サイトの求人を一括検索できるメタサーチサービス
出典:アルバイトEX公式サイト

タイズ — 製造業特化の転職エージェント

関西発の製造業特化型転職エージェントで、じげんグループの成長エンジンです。取引先の約80%が大手メーカーで、「メーカー専門」を掲げることで求人企業・求職者の双方から高い信頼を獲得しています。Vertical HRセグメント全体ではFY26/3に前年比+26%を達成。Q1 FY27/3でもVertical HR全体の前年比+41%成長を牽引しました。成約から入職までのリードタイムは平均約3ヶ月で、2026年3月末時点の受注残高がFY27/3上期の売上収益に計上される見通しです。

リジョブ — 美容・ヘルスケア業界の求人プラットフォーム

美容師・エステティシャン・柔道整復師・鍼灸師など、美容・ヘルスケア業界に特化した求人サイトです。業界特化により求人の質と求職者のマッチング精度が高く、リピート率の高い掲載顧客基盤を持っています。FY26/3では新規顧客の獲得ペースが拡大し、安定成長を続けています。

スモッカ — 賃貸不動産の比較サイト

全国の賃貸物件情報を掲載する不動産ポータルサイトです。SUUMO・HOME'Sなどの大手に対し、「入居決定でキャッシュバック」という差別化戦略で集客しています。Living Tech(旧セグメント)の中核サービスのひとつで、不動産領域の積み上げ型収益に貢献しています。

エネピ — LPガス・電力の比較サービス

プロパンガスや電力料金を比較・切り替えできるサービスです。中東情勢に伴う光熱費高騰により「家計の費用の見直し機運」が高まっており、FY26/3・FY27/3 Q1ともにエネルギー領域のクロスセルが好調に推移しています。

その他の主要サービス

  • 中古車EX — 中古車の一括検索・比較サイト。自動車領域のメディア

  • 保険マンモス — 保険の無料相談サービス。FY26/3にじげんに吸収分割され、意思決定の迅速化を実現

  • オーサムエージェント — 人材系サービス。旧三光アドを吸収合併して誕生

  • 旅行関連事業 — 海外旅行の決済代行・手配代行事業。業務渡航需要が堅調

業績推移と財務分析

じげんはIFRS(国際会計基準)を採用しているため、売上高ではなく「売上収益」、経常利益の概念がなく「営業利益」が最終的な事業利益の指標となります。FY21/3(コロナ影響で減損計上)を除き、一貫して右肩上がりの成長トレンドを描いています。

通期業績推移(売上収益・営業利益・営業利益率・売上収益成長率)

出典:決算短信・決算説明資料よりKabuGraph作成。FY27/3は会社予想

業績のポイント

  • 5期連続の売上収益過去最高更新(FY22/3以降)。営業利益もFY23/3以降4期連続で過去最高を更新。FY17/3の76億円からFY26/3の292億円へ、9年間で約3.9倍に拡大

  • 営業利益率は20%前後で安定。M&Aによるポートフォリオミックスの変化や先行投資の影響でFY26/3は20.2%とやや低下しましたが、メディア事業の低コスト構造により高水準を維持

  • FY21/3は例外的な赤字。コロナ影響による旅行事業の急減と減損損失の計上で営業損失10.6億円を計上。翌期にはV字回復し、成長軌道に復帰

キャッシュ・フローと株主還元

調整後営業CF(旅行決済代行事業の預り金変動を除いた正常収益力の指標)はFY26/3に54億円と高水準を維持しています。第3次中計期間(FY27/3〜FY31/3)の累計で約400億円の調整後営業CFを計画しています。

資本配分は「事業投資 ≧ 戦略投資 > 株主還元」の優先順位で、営業CFの約40%を事業投資、約40%を戦略投資(M&A)、約20%を株主還元に充てる方針です。配当性向30%以上を目安に増配を続けており、FY27/3は1株当たり13.5円(前期11円から増配)を計画しています。

1株当たり配当金の推移

出典:決算短信よりKabuGraph作成。FY27/3は会社予想。株式分割調整済み

FY27/3 Q1の進捗状況

2026年8月13日に発表されたFY27/3第1四半期は、売上収益78億円(前年同期比+16%)、営業利益16億円(同+13%)、通期予想に対する進捗率は売上収益23%、営業利益25%と概ね想定通りの着地です。

指標

Q1実績

前年同期比

通期予想進捗率

売上収益

78.1億円

+16%

23%

EBITDA

19.9億円

+10%

24%

営業利益

16.0億円

+13%

25%

EPS

10.73円

+11%

24%

出典:2027年3月期第1四半期決算説明資料よりKabuGraph作成

セグメント別では、Vertical HRが前年同期比+41%と大幅成長を達成。タイズのオーガニック成長とM&A効果が寄与しています。一方、Life Serviceは前年同期比-2%と横ばい。ミラクスの人材紹介・派遣事業からの完全撤退など、ノンコア事業のダイベストメント(事業売却・縮小)を進めている最中であり、一時的な影響と会社は説明しています。

第3次中期経営計画と成長戦略

2026年5月に発表された第3次中期経営計画(FY27/3〜FY31/3の5年間)では、最終年度のFY31/3に売上収益500億円超、EBITDA 120億円超、ROE 20%以上を目標として掲げています。

4つの戦略軸

  1. 事業戦略 — 「集客」から「業務プロセス全体への深耕」へ。ZMAを軸に、法人顧客数と顧客単価の両軸で成長を目指す

  2. 投資戦略 — 第3次中計期間で調整後営業CF約400億円を原資に、事業投資とM&A(戦略投資)を継続。財務レバレッジも積極活用

  3. 財務戦略 — 営業CFの約20%を株主還元に充当。配当性向30%以上を維持しつつ、自己株式取得による追加還元も実施

  4. 組織戦略 — バーチャルカンパニー制の導入による経営効率化。AX/AI・セキュリティ推進室を新設し、グループ全体のAI活用と生産性向上を推進

FY27/3 通期業績予想

指標

FY26/3 実績

FY27/3 予想

前年比

売上収益

292億円

335億円

+15%

EBITDA

76億円

83億円

+10%

営業利益

59億円

64億円

+9%

出典:2026年3月期決算説明資料よりKabuGraph作成

FY26/3の売上収益292億円からFY31/3の500億円超に到達するには、5年間でCAGR(年平均成長率)約11%が必要です。FY27/3の会社予想が前年比+15%であることを考えると、M&Aによる上乗せも含めて射程圏内の目標と言えます。一方、第2次中計では全社業績目標が未達に終わっており、中計目標の達成確度は今後の実績で見極める必要があります。

まとめ

じげん(3679)は、ライフイベント領域の比較メディアをM&Aで次々と獲得し、ZMAモデルで収益最大化を図るロールアップ型のインターネット企業です。

  • PER 10.4倍と、5期連続で売上収益の過去最高を更新し続ける成長企業としては割安な水準

  • 営業利益率20%超、調整後営業CF年間50億円超の高い収益性とキャッシュ創出力

  • 第3次中計で売上収益500億円超(FY31/3)を目標に、M&AとAI活用で更なる成長を計画

  • リスクはのれん減損、M&A依存度、人材紹介事業の景気感応度。第2次中計が未達だった点にも注意

タイズの急成長と第3次中計の実行状況が、今後の株価を左右する最大のカタリストです。四半期決算でのセグメント別売上収益と利益率の推移を継続的にチェックしていくことが重要です。

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「生活機会の最大化」をミッションに、求人・不動産・自動車・旅行などライフイベント領域の比較メディアを多数運営するインターネット企業。M&Aを積極的に活用し、各領域の特化型メディアをグループに加えてポートフォリオを拡充するロールアップ戦略で成…

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

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