KabuGraph

ブロードリーフ(3673)銘柄分析|自動車アフター市場シェア8割・クラウド移行で営業利益V字回復

Cover Photo

ブロードリーフ(3673)は、自動車整備工場・鈑金工場・部品商など自動車アフターマーケット向けに業務支援クラウドシステムを提供するIT企業です。

国内の自動車整備業向け業務システムで約8割のシェアを握り、業界の「インフラ」的存在として高い参入障壁を持っています。現在、従来のパッケージ売り切り型からクラウド(SaaS)月額課金モデルへの大転換を進めており、2022〜2023年に投資先行で赤字を計上したものの、2024年に黒字転換を果たしました。2026年12月期の会社予想では営業利益48億円と、移行前の水準に回帰するV字回復の軌道に乗っています。

この記事では、ブロードリーフの事業構造、クラウド移行の進捗、業績推移、投資判断のポイントを個人投資家の視点から解説します。

会社概要 — 自動車アフター市場のインフラを担うIT企業

ブロードリーフは2005年に設立され、東証プライム市場に上場しています。代表取締役社長は大山堅司氏。自動車の整備・鈑金・部品流通・車両販売など、いわゆる「自動車アフターマーケット」を主なターゲットとし、業務支援ソフトウェアとデータプラットフォームを一体で提供しています。

項目

内容

社名

株式会社ブロードリーフ(Broadleaf Co., Ltd.)

証券コード

3673(東証プライム)

設立

2005年12月

代表者

代表取締役社長 大山 堅司

本社

東京都品川区

従業員数

924名(2025年12月期末、連結)

会計基準

IFRS(国際財務報告基準)

決算期

12月

セグメント

ITサービス事業(単一セグメント)

出典:ブロードリーフ 有価証券報告書・IR資料よりKabuGraph作成

ブロードリーフは単一セグメント(ITサービス事業)ですが、売上収益をクラウドサービス・パッケージシステム・その他の3区分で開示しています。近年はクラウドサービスの構成比が急速に拡大しており、2025年12月期にはクラウドサービスが売上全体の59%を占めるまでに成長しました。

売上収益の構成比(2025年12月期)

出典:ブロードリーフ 2025年12月期 決算短信よりKabuGraph作成

クラウドサービスには、月額課金のソフトウェアサービス(.cシリーズなど)と、自動車部品の受発注プラットフォームなどのマーケットプレイスが含まれます。パッケージシステムは従来型の売り切り型ソフトウェア(.NSシリーズなど)と保守サポートです。クラウド移行が進むにつれ、パッケージの構成比は低下傾向にあります。

事業紹介 — 「クラウド × 自動車アフターマーケット」の3つの柱

ブロードリーフの事業は、大きく「クラウドサービス(ソフトウェアサービス+マーケットプレイス)」「パッケージシステム」「その他」の3つに分かれます。中核となるのは自動車整備業・鈑金業向けのクラウド型業務支援システムです。

1. クラウドサービス — Broadleaf Cloud Platform

ブロードリーフは独自開発の「Broadleaf Cloud Platform」上に、整備工場・鈑金工場・サービスステーション・ディーラー向けの各種業務アプリケーションを展開しています。「Maintenance.c」をはじめとする「.cシリーズ」は、顧客車両管理・伝票発行・見積作成・部品発注をブラウザ上で完結できるクラウド型業務支援システムです。

ブロードリーフ クラウド型業務支援システムのトップページ
ブロードリーフのクラウド型業務支援システム。整備業・鈑金業・サービスステーション向けにブラウザベースで業務を効率化する

クラウドの特長は、場所や端末に依存せずに利用できる点です。従来のパッケージシステムでは店舗に設置したPCでしか使えませんでしたが、クラウド版ではタブレット端末「CarpodTab」やスマートフォンからも操作が可能になり、出張整備や現場での即時見積りといった新しい業務スタイルに対応しています。

2. マーケットプレイス — 部品流通のデジタルインフラ

クラウドサービスにはもう一つの柱として、部品の電子受発注プラットフォーム「BLパーツオーダーシステム」やリサイクル部品の取引ネットワーク「パーツステーションNET」があります。これらは整備工場と部品商・リサイクル業者をつなぐマーケットプレイスであり、取引ごとの手数料や決済代行収入を生み出しています。

業界シェアの高さから、ブロードリーフのプラットフォーム上に多くの工場と部品商が集まるネットワーク効果が働いており、新規参入者が容易には追いつけない構造になっています。2026年9月には、トラック・バス向けリサイクル部品の販売トライアルを開始するなど、対象領域の拡大も進めています。

3. パッケージシステム — レガシーだが安定収益を支える基盤

「.NSシリーズ」に代表されるパッケージシステムは、オンプレミス型の業務ソフトウェアです。AI機能を搭載した「SF.NS3Ai」など高機能版もありますが、クラウドへの移行が進む中で売上は縮小傾向にあります。ただし、パッケージに付帯する運用・サポートサービス(保守契約)は安定した継続収入として機能しています。

ブロードリーフの商品情報ページ。整備業・鈑金業・車両販売業など業種別にシステムを提供
ブロードリーフの商品ラインナップ。整備業・鈑金業・車両販売業・サービスステーションなど幅広い業種向けにシステムを展開

サービス区分別売上推移

以下のグラフは、クラウドサービス・パッケージシステム・その他の3区分の売上推移です。クラウドサービスの急成長とパッケージシステムの縮小が対照的に表れています。

サービス区分別 売上収益推移

出典:ブロードリーフ 決算短信・IR資料よりKabuGraph作成

2022年に売上収益が大きく落ち込んでいるのは、パッケージシステムの新規販売を意図的に絞り、クラウドへの移行を優先したためです。クラウドサービスは2020年の約36億円から2025年には約123億円へと3倍以上に拡大しています。

業績推移 — パッケージ→クラウド移行が生んだV字回復

ブロードリーフの業績は、クラウド移行の進捗を映してV字を描いています。パッケージ全盛期の2019年に売上収益226億円・営業利益45億円のピークをつけた後、クラウド移行に伴う売上認識の変化(売り切り→月額)と先行投資で2022〜2023年に赤字に転落。2024年に黒字復帰し、2025年は営業利益21億円まで回復。会社予想では2026年に営業利益48億円と過去最高水準を目指しています。

通期業績推移(売上収益・営業利益)

出典:決算短信・有価証券報告書・IR資料よりKabuGraph作成。会計基準はIFRS。2026/12期は会社予想

業績のポイント

  • 2019/12期まで:パッケージ販売中心で営業利益率20%前後の高収益体質。売上収益は226億円、営業利益は45億円のピークを記録

  • 2022〜2023/12期:クラウド移行の「谷」。パッケージの新規販売を絞り、クラウドの初期投資を先行した結果、売上は138億円まで縮小し営業赤字29億円を計上。クラウドの月額課金は積み上がるまで時間がかかるため、一時的に収益が大きく落ち込みました

  • 2024/12期〜:黒字転換(営業利益7億円)。クラウドサービスの積み上がりで売上は180億円に回復。2025/12期は営業利益21億円へ拡大し、回復基調が鮮明に

  • 2026/12期(会社予想):売上収益238億円、営業利益48億円、当期利益32億円。営業利益率は20.2%と、移行前の2019年水準に回帰する見通しです

直近四半期の進捗(2026/12期 Q2)

2026年12月期の上半期(Q2累計、2026年8月12日開示)は、売上収益108億円(前年同期比+9.8%)、営業利益15億円(同+91.6%)と好調に推移しています。通期の会社予想(営業利益48億円)に対する営業利益の進捗率は30.8%ですが、同社は下半期に売上が偏重する傾向があるため、上半期の進捗率としては概ね計画通りの水準です。

2025/12 Q2

2026/12 Q2

前年同期比

売上収益

98億円

108億円

+9.8%

営業利益

8億円

15億円

+91.6%

当期利益

4億円

10億円

+140.1%

出典:ブロードリーフ 2026年12月期 第2四半期決算短信(2026年8月12日開示)よりKabuGraph作成

投資ポイント — クラウド移行の成否が株価を左右

強み・成長ドライバー

  1. 業界シェア約8割の圧倒的ポジション:自動車整備業向け業務システムでは国内トップシェア。30年以上かけて蓄積した自動車部品データベースと全国の営業・サポート拠点が強固な参入障壁となっています。既存ユーザーのスイッチングコストが高く、クラウド移行しても顧客基盤は維持されています。

  2. クラウドのストック型収益が本格化:クラウドサービスの売上収益は2020年の約36億円から2025年の約123億円へ3倍以上に成長。月額課金の積み上がりにより、売上の安定性と予測可能性が向上しています。クラウド移行率の向上に伴い、利益率の改善が加速するフェーズに入っています。

  3. マーケットプレイスのネットワーク効果:部品の電子受発注プラットフォームは、参加する工場・部品商が増えるほど利便性が高まるネットワーク効果を持ちます。リサイクル部品の取引ネットワークなど、クラウド上でのエコシステム構築が競争優位を強化しています。

  4. 車齢の長期化が追い風:日本の自動車の平均車齢は伸び続けており、整備・修理の需要は構造的に拡大傾向にあります。車検制度のもとで定期的な整備は必須であり、不況に左右されにくいディフェンシブな需要特性を持っています。

リスク・注意点

  1. 高バリュエーション:PER 64.4倍(2026年9月時点)と、V字回復期待を大きく織り込んだ株価水準です。2026/12期の会社予想純利益32億円をベースにしたフォワードPERでも約25倍と、利益の急回復を織り込んだ水準です。業績が予想を下回った場合、バリュエーション調整のリスクがあります。

  2. 自動車アフター市場への集中リスク:売上の大部分が自動車アフターマーケットに依存しています。長期的にはEV化の進展で従来型エンジン車の整備需要が変化する可能性があります。ただし、EVでも車体修理や車検は必要であり、短期的な影響は限定的と見られます。

  3. クラウド移行完了後の成長戦略:既存パッケージユーザーのクラウド移行が一巡した後、どのように成長を持続するかが中長期の課題です。機械工具業や旅行業など非自動車分野への横展開を進めていますが、主力市場ほどのシェアは確立されていません。

  4. 配当利回りは低水準:配当利回りは0.68%(2026年9月時点)と低水準です。クラウド移行期は投資を優先しているため、インカム目的の投資には不向きです。

まとめ

ブロードリーフは、自動車アフターマーケットという「ニッチだが堅固な市場」で圧倒的シェアを持ち、パッケージからクラウドへのビジネスモデル転換を着実に遂行している企業です。

2022〜2023年の赤字は戦略的なクラウド移行投資の結果であり、足元では売上・利益ともにV字回復の軌道に乗っています。2026/12期の会社予想では営業利益48億円と、クラウド移行前の最高水準に回帰する見通しです。投資判断にあたっては、クラウド移行率の進捗、ARPUの推移、マーケットプレイス事業の拡大に注目しましょう。

KabuGraphで銘柄詳細を確認する
3673情報通信・サービスその他

ブロードリーフ

モビリティ産業(自動車アフターマーケット)を中心に業務支援クラウドサービスを提供するIT企業。自社開発のクラウド基盤「Broadleaf Cloud Platform」上で、整備工場・鈑金工場・部品商・リサイクル業者向けの見積・受発注・在庫…

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

関連記事