良品計画(7453)の企業分析|「第二の創業」で売上9,000億円突破、MUJIブランドで世界1,474店舗を展開

良品計画(7453)は、「無印良品」ブランドで生活雑貨・衣服・食品を日本を含む28の国と地域で展開する小売企業です。2025年8月末時点で国内717店舗、海外757店舗の計1,474店舗(Café&Meal MUJI・IDÉEを含む)を構え、「感じ良いくらし」を提案するライフスタイルブランドとして国内外で支持を集めています。
2021年9月に前社長の堂前宣夫氏(元ファーストリテイリング)のもとで「第二の創業」を掲げて成長が加速し、2024年11月に就任した清水智社長が同路線を継承しています。2025年8月期は売上・利益ともに過去最高を更新し、2026年8月期は営業収益9,070億円(+15.6%)、営業利益980億円(+32.7%)の会社予想(上方修正後)。第3四半期時点で営業利益808億円と進捗率82%を超える好調ぶりです。
この記事では、良品計画の事業構造、海外成長戦略、業績推移、投資判断のポイントを個人投資家の視点から解説します。
この記事の内容(目次)
会社概要 — 西友のPBから世界ブランドへ
「無印良品」は1980年に西友のプライベートブランドとして誕生しました。「わけあって、安い」をコンセプトに、過剰な包装や装飾を省いた商品で支持を集め、1989年に良品計画として独立。以来、シンプルで機能的なデザインと合理的な価格で「MUJI」ブランドは世界に広がっています。
項目 | 内容 |
|---|---|
会社名 | 株式会社良品計画 |
証券コード | 7453(東証プライム) |
設立 | 1989年6月(登記上は1979年5月)/西友から独立 |
代表者 | 代表取締役社長 清水 智(2024年11月就任) |
従業員数 | 約28,432名(連結、臨時含む) |
本社 | 東京都文京区後楽(住友不動産飯田橋ファーストビル) |
決算期 | 8月 |
出典:決算短信・有価証券報告書・IR資料よりKabuGraph作成、良品計画 会社概要
事業を理解する — 3カテゴリー×グローバル出店の成長モデル
商品カテゴリーと店舗展開

良品計画の商品は大きく3つのカテゴリーに分かれます。生活雑貨(収納用品、文房具、キッチン用品等)が売上の46.9%と最大で、衣服・雑貨が36.4%、食品が13.3%を占めます。「日常の必需品」として複数カテゴリーを横断する購買が生まれやすく、来店頻度の向上に寄与しています。
商品別営業収益構成(2025年8月期)
地域別セグメント — 東アジアが高収益の成長エンジン
良品計画は国内、東アジア、東南アジア・オセアニア、欧米の4セグメントで事業を展開しています。2025年8月期(通期)のセグメント別実績を見ると、収益構造の特徴が鮮明です。
セグメント | 営業収益 | 前期比 | セグメント利益率 |
|---|---|---|---|
国内事業 | 4,701億円 | +20.9% | 11.1% |
東アジア事業 | 2,222億円 | +14.2% | 19.3% |
東南アジア・オセアニア | 501億円 | +28.0% | 11.1% |
欧米事業 | 421億円 | +7.9% | 16.4% |
出典:良品計画 第47回定時株主総会招集通知 事業報告(2025年8月期)。セグメント利益率は各事業のセグメント利益÷営業収益。
特に注目すべきは東アジア事業のセグメント利益率19.3%で、国内事業(11.1%)を大きく上回ります。中国本土を中心に「MUJI」ブランドがプレミアムなライフスタイルブランドとして定着しており、高い収益性を実現しています。ただし高収益なのは東アジアだけではありません。欧米事業も前期の構造改革で不採算店を整理した効果で利益率16.4%まで改善しており、2026年8月期第1四半期には欧米22.6%が東アジア20.9%を上回りました(出典:良品計画 決算サマリ)。
「第二の創業」と2030年ビジョン
会社が掲げる2030年ビジョンは「日常生活の基本を担う/コミュニティセンターとしての店舗」という定性的なもので、その実現に向けて個店経営・コオウンド経営の実践、感じよいオンラインの提供、ESG経営のトップランナーを掲げています。数値計画は3ヶ年ローリング計画として示されており、2028年8月期に営業収益1兆円・営業利益1,000億円・営業利益率10%が目標です(出典:良品計画 経営方針)。出店は年平均純増で国内45店舗・海外70店舗(合計115店舗)を計画し、国内では「生活圏」に密着した立地、海外では中国に加えて東南アジアの積極展開を推進しています。
業績推移と財務分析
通期業績推移(5年分+会社予想)
良品計画は2020年に決算期を2月から8月に変更しており、以下は8月期ベースの業績推移です。2022〜2023年には中国のゼロコロナ政策や原材料高の影響で利益率が低下しましたが、2024年以降は内製化による原価低減と値下げ抑制でV字回復を遂げています。
通期業績推移(営業収益・営業利益・営業利益率)
配当推移
良品計画は2025年9月1日に1株→2株の株式分割を実施しました。分割後換算の配当金は増配基調で、2026年8月期は年間32円の予想(前期比+7円)です。配当利回りは約0.7%と低く、成長投資を優先する姿勢が反映されています。
1株あたり配当金と配当性向の推移(分割後換算)
主要財務指標
指標 | 2024/8 | 2025/8 | 2026/8(予) |
|---|---|---|---|
営業収益 | 6,617億円 | 7,846億円 | 9,070億円 |
営業利益 | 561億円 | 738億円 | 980億円 |
純利益 | 416億円 | 508億円 | 670億円 |
ROE | — | 16.3% | 15.1%(会社計画) |
出典:決算短信・有価証券報告書・IR資料よりKabuGraph作成、良品計画 決算サマリ・経営方針
投資家が注目すべきポイント
強み — 「第二の創業」で業績成長が加速
良品計画の投資魅力は、成熟した小売ブランドでありながら20%近い増収ペースを維持している点です。生産の内製化による原価低減、値下げ抑制による粗利率改善が進み、利益成長は売上成長を上回っています。2025年8月期のROEは16.3%、ROAは13.5%と資本効率も高水準で、会社は3ヶ年ローリング計画でもROE15%以上の水準維持を目標に掲げています。
海外事業では特に東アジア(中国本土中心)の利益率19.3%が際立ちます。「MUJI」が現地でプレミアムブランドとして認知されていることが高マージンの背景です。東南アジア・オセアニアもセグメント利益が前期比21.4%増と伸び、利益率16.4%の欧米事業と合わせて地域分散が進んでいます。
リスク — 高バリュエーションと中国依存
投資判断で最も留意すべきは株価の割高感です。
PER45倍超(2025年8月期実績EPSベース)の高バリュエーション — 2026年8月期の会社予想EPS126.19円ベースでは約34倍、PBRは6.78倍(2025年8月期末BPS基準)と、小売セクターの中でもかなりのプレミアム水準。営業収益1兆円に向けた成長期待が株価に相当織り込まれており、期待を下回る四半期が出た場合の調整リスクが大きい。
中国市場への依存度 — 東アジア事業の大半が中国本土。2022〜2023年にはゼロコロナ政策で利益率が大きく低下した経験があり、中国の景気変動や地政学リスクに業績が連動しやすい。
出店加速による執行リスク — 年100店舗以上の純増ペースは投資負担が大きく、好立地の確保が困難になるリスクや、既存店売上の希薄化(カニバリゼーション)の可能性がある。
まとめ
良品計画は、「無印良品」ブランドの強みを活かし、国内外で力強い成長を続ける小売企業です。投資のポイントをまとめます。
「第二の創業」で業績急拡大。2026年8月期は売上9,070億円・営業利益980億円の会社予想(3Q進捗82%超)
東アジア事業の利益率19.3%が収益を牽引。欧米も16.4%まで改善し、東南アジア・オセアニアは利益+21.4%と伸長
2028年8月期に営業収益1兆円・営業利益1,000億円を目指し、年平均で国内45店舗・海外70店舗の純増を計画
PER45倍(実績ベース、会社予想EPSベースでは約34倍)・PBR6.8倍の高バリュエーションが最大のリスク。中国依存や出店リスクにも注意
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良品計画
生活雑貨・衣服・食品を扱う「無印良品」「MUJI」ブランドを世界展開する製造小売(SPA)企業。商品の企画開発から素材調達・流通加工・直営店販売までを一貫して手がけ、シンプルで実質本位なデザインの日用品を幅広く提供する。国内では駅ビル・商業…










