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プログリット(9560)の企業分析|シャドテン・スピフルのサブスク急成長とイングリッシュカンパニー買収で広がる英語学習市場

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プログリット(9560)は、短期集中型の英語コーチングサービスと、シャドテン・スピフル・ディアトークなどのサブスクリプション型英語学習アプリを展開する英語学習企業です。

2025年8月期は売上高57.5億円(前期比+29.0%)、営業利益12.0億円(同+45.9%)と大幅な増収増益を達成。2026年4月にはイングリッシュカンパニー(旧スタディーハッカー)をグループインし、通期連結売上高予想を76.0億円(前期比+32.2%)に引き上げています。

この記事では、プログリットの事業構造、サブスクアプリの成長性、業績推移、M&A戦略、投資判断のポイントを個人投資家の視点から解説します。

会社概要 — マッキンゼー出身の起業家が挑む英語学習の構造改革

プログリットは、マッキンゼー・アンド・カンパニー出身の岡田祥吾氏が2016年9月に設立した英語学習企業です。「世界で自由に活躍できる人を増やす」をミッションに掲げ、創業6年で2022年9月に東証グロース市場への上場を果たしました。

項目

内容

会社名

株式会社プログリット(PROGRIT Inc.)

証券コード

9560(東証グロース)

設立

2016年9月

代表取締役社長

岡田 祥吾

従業員数

272名(2026年5月末時点、有期雇用者を除く)

本社所在地

東京都港区浜松町一丁目30番5号 浜松町スクエア11階

上場市場

東証グロース(2022年9月上場)

決算期

8月期

時価総額

約115億円(2026年9月17日時点)

沿革

岡田氏はマッキンゼー時代に「英語ができれば世界が広がるのに、日本人の多くが効果的な学習法に出会えていない」という課題意識を持ち、2016年に起業しました。当初は「TOKKUN ENGLISH」としてサービスを開始し、2018年5月に「プログリット」へ改称。2019年10月には社名も株式会社プログリットに変更しました。

  1. 2016年9月 — 銀座にて設立。「TOKKUN ENGLISH」として英語コーチング開始

  2. 2018年5月 — サービス名を「プログリット」に変更

  3. 2020年6月 — リスニング特化アプリ「シャドテン」リリース

  4. 2022年9月 — 東証グロース市場に新規上場

  5. 2023年12月 — スピーキング特化アプリ「スピフル」リリース

  6. 2024年7月 — AI英会話アプリ「ディアトーク」リリース

  7. 2026年4月 — 英単語アプリ「プロワーズ」リリース

  8. 2026年4月 — イングリッシュカンパニー(旧スタディーハッカー)をグループインし連結決算へ移行

事業構造を理解する — コーチング×サブスクの二本柱

プログリットの売上高は、英語コーチングサービス(56%)とサブスクリプション型英語学習サービス(44%)の二本柱で構成されています(2026年8月期Q3累計)。

サービス別売上構成比(2026年8月期Q3累計)

出典:2026年8月期第3四半期決算説明資料よりKabuGraph作成

1. 英語コーチングサービス「プログリット」

専任のコンサルタントが受講者一人ひとりに12週間のオーダーメイドカリキュラムを設計し、毎日の学習進捗をチャットで管理する短期集中型の英語コーチングです。

プログリット英語コーチングサービスの公式サイト
出典:プログリット公式サイト
  • ビジネスモデル:初回カウンセリング→12週間プラン(受講料約45万円〜)→卒業後は継続コース「NEXTコース」またはサブスクアプリへ

  • 高い継続率:卒業生の継続コース入会率は72〜74%で推移。5段階の満足度アンケートは4.5と高水準

  • 法人研修の拡大:導入企業は396社(2026年5月末、前年同期比+70社)。売上高1兆円以上の企業195社のうち44社が導入済みで、カバー率は23%

  • 校舎展開:関東9校舎、関西3校舎、東海1校舎の計13校舎(オンライン受講も可)

2. シャドテン — リスニング特化の月額制アプリ

シャドーイング(音声を聞きながら影のように復唱するトレーニング)に特化した月額制アプリです。ユーザーが録音した音声をプロの添削者がフィードバックする仕組みで、AIだけでは実現しにくい精度の高い矯正が強みです。

シャドテンのサービス画面
出典:シャドテン公式サイト
  • 有料会員数:約11,673人(2026年5月末、前年同期比+32.5%)

  • 月間売上高:約2.2億円(2026年8月期Q3時点)

  • 月額料金:21,780円(税込)

3. スピフル — スピーキング特化の月額制アプリ

ビジネス英語のスピーキングに特化したトレーニングアプリです。AIが発話内容を評価し、実践的なビジネスフレーズの定着を支援します。2023年12月のリリースから約3年で、急速に会員数を伸ばしています。

スピフルのサービス画面
出典:スピフル公式サイト
  • 有料会員数:約15,199人(2026年5月末、前年同期比2.5倍)

  • 月間売上高:約0.6億円(2026年8月期Q3時点)

  • 月額料金:5,478円(税込)

4. ディアトーク — AI英会話アプリ

2024年7月にリリースされたAI英会話アプリです。「ロールプレイングモード」では、商談・交渉・プレゼンなどのビジネスシーンをAIが再現し、実務に直結した英会話トレーニングが可能です。業界・職種・自社の文化まで細かく設定でき、「自分の仕事で通じる英語」を鍛えるコンセプトが特徴です。

ディアトークのサービス画面
出典:ディアトーク公式サイト

5. プロワーズ — 英単語学習アプリ

2026年4月にリリースされた英単語アプリです。「0.5秒で単語が出てくる瞬発力トレーニング」と、発話の正誤判定を含む多彩なトレーニングモードが特徴です。今後はプログリットの各サービスと連携し、学習中にわからなかった単語が自動的にプロワーズに追加される仕組みや、共通ポイントによるエコシステムの構築を目指しています。

6. イングリッシュカンパニー(2026年4月グループイン)

2026年4月にベネッセコーポレーションから全株式を取得し、完全子会社化しました。社名を「スタディーハッカー」から「イングリッシュカンパニー」に変更し、プログリット代表の岡田祥吾氏が取締役会長に就任しています。

イングリッシュカンパニー公式サイト
出典:イングリッシュカンパニー公式サイト
  • 第二言語習得研究(SLA)に基づく「科学的トレーニング」を特徴とする英語コーチングスクール

  • のれん2.94億円(11年均等償却)が発生。グループイン後のQ3は単体黒字を確保

  • PMIとして不採算スタジオの閉鎖・設備投資・AI活用に向けたITインフラ整備を推進中

業績推移と財務分析

プログリットは上場後も売上高で年率30%前後の高成長を続けています。2026年8月期はイングリッシュカンパニーのグループインにより連結決算へ移行し、通期予想を上方修正しました。

通期業績推移

通期業績推移(売上高・営業利益・営業利益率・売上高成長率)

出典:決算短信よりKabuGraph作成。2026/8期は連結ベースの会社予想(2026年7月9日修正)

2025年8月期は売上高57.5億円(前期比+29.0%)、営業利益12.0億円(同+45.9%)を達成しました。営業利益率は20.9%と初めて20%を超え、売上高の成長とともに利益率も改善しています。2026年8月期の連結業績予想は売上高76.0億円(前期比+32.2%)、営業利益14.5億円(同+20.6%)。M&A効果を含むとはいえ30%超の増収を見込んでいます。

通期業績の詳細

決算期

売上高

営業利益

経常利益

純利益

EPS

2022/8

22.5億円

3.3億円

3.2億円

1.9億円

18.14円

2023/8

30.2億円

5.0億円

4.9億円

3.6億円

31.31円

2024/8

44.5億円

8.2億円

8.2億円

6.1億円

49.89円

2025/8

57.5億円

12.0億円

12.1億円

8.9億円

71.15円

2026/8(予)

76.0億円

14.5億円

14.4億円

9.8億円

78.33円

出典:決算短信よりKabuGraph作成。2026/8期は連結ベースの会社予想(2026年7月9日修正)

サービス別売上推移

四半期ごとのサービス別売上推移です。サブスクサービスの売上比率が四半期を追うごとに上昇しており、ストック型収益の積み上がりが確認できます。

四半期別サービス別売上推移

出典:2026年8月期 第3四半期決算説明資料よりKabuGraph作成。プログリット単体ベース(イングリッシュカンパニーを含まない)。サブスクはシャドテン・スピフル・ディアトークなどサブスクリプション型英語学習サービスの合算

2026年8月期Q3(2026年3〜5月)は、英語コーチングの売上高9.7億円(前年同期比+13.9%、前四半期比+7.4%)に対し、サブスクサービスは8.4億円(同+48.0%、前四半期比+11.4%)と高い伸びを維持しています。英語コーチングはQ1 +6.5%、Q2 +3.2%と一桁成長にとどまっていましたが、コンサルタントの純増ペースが回復し(Q3末166名、Q2末比+15名)、Q3で2桁成長に戻りました。売上総利益率は75%と高水準で推移しており、サブスクの構成比上昇が利益率改善に寄与しています。

サービス

25/8 Q3

26/8 Q3

前年同期比

前四半期比

英語コーチング

853百万円

972百万円

+13.9%

+7.4%

サブスクサービス

564百万円

836百万円

+48.0%

+11.4%

合計

1,418百万円

1,808百万円

+27.5%

+9.2%

出典:2026年8月期 第3四半期決算説明資料よりKabuGraph作成。プログリット単体ベース(イングリッシュカンパニーを含まない)

配当の推移と方針

プログリットは配当性向30%を目安に安定的・継続的な配当を実施する方針です。2024年8月期に初配当(年間13円)を開始し、2025年8月期は19円、2026年8月期は中間11円+期末11円=年間22円を予定しています。

決算期

年間配当

EPS

配当性向

2023/8

0円

31.31円

2024/8

13円

49.89円

26.1%

2025/8

19円

71.15円

26.7%

2026/8(予)

22円

78.33円

28.1%

出典:決算短信・決算説明資料よりKabuGraph作成。EPSは各期の開示値(2022/8・2023/8は分割前基準)

財務健全性

2026年8月期Q3末(連結)の自己資本比率は47.7%、純資産は26.8億円です。イングリッシュカンパニーの連結によりのれん2.9億円が計上されましたが、有利子負債は限定的で財務は健全です。現金及び預金は37.2億円と潤沢で、M&Aの原資は十分に確保されています。

成長戦略と競合環境

成長戦略の3本柱

プログリットの成長戦略は以下の3つで構成されています。

  1. 英語コーチング:高い収益性を維持した成長 — ブランディング広告による認知拡大と、コンサルタントの採用強化による供給力拡大を同時に推進。マーサージャパンとの業務提携で大手グローバル企業への販路を開拓中

  2. サブスクサービス:学習が習慣化するアプリへの進化 — 各アプリの解約率改善とアプリ間連携の強化。プロワーズの共通ポイント機能によるエコシステム構築

  3. M&A:事業領域の拡大 — 数億〜数十億円規模を中心に検討。対象は成人向け英語学習・留学・幼児向け英語学習・グローバル人材育成領域

ターゲット市場の規模

プログリットは中長期のターゲット市場を3段階で定義しています(矢野経済研究所のデータをもとに同社作成)。

市場

規模

具体的な領域

短期ターゲット

約1,700億円

成人向け語学スクール

中期ターゲット

約5,000億円

語学学習関連(幼児・子供向け、教材、オンライン、留学等)

長期ターゲット

約1.3兆円

教育研修市場(eラーニング、法人研修含む)

出典:2026年8月期第3四半期決算説明資料よりKabuGraph作成。矢野経済研究所「2025 語学ビジネス市場の実態と展望」等をもとに同社推計

競合環境 — 英語コーチング市場は群雄割拠

英語コーチング市場には複数の有力プレイヤーが存在します。プログリットの差別化ポイントは「コーチングの品質」と「サブスクアプリによるLTVの最大化」ですが、各社がそれぞれの強みで市場を分け合っています。

サービス

特徴

期間

料金帯

プログリット

専任コンサルタントによる学習管理。サブスクアプリでLTV最大化

2〜6ヶ月

約45万円〜

トライズ(TORAIZ)

1年1,000時間の学習。ネイティブ講師レッスン込み

6〜12ヶ月

約100万円〜

ライザップイングリッシュ

RIZAPブランドの英語版。結果にコミット型

2〜4ヶ月

約44万円〜

イングリッシュカンパニー

第二言語習得研究ベース。現在はプログリットグループ

3〜6ヶ月

約56万円〜

ベルリッツ

140年以上の歴史。通学型レッスン主体

任意

レッスン単価制

出典:各社公式サイトよりKabuGraph作成(2026年9月時点)

加えて、AI英会話アプリ(Duolingo、スピークバディ等)の台頭が市場全体の価格帯を押し下げる構造的なリスクとなっています。プログリットはこの流れに対し、AI英会話アプリ「ディアトーク」を自ら投入しつつ、コーチングの「人によるサポート」を差別化軸として維持する両面戦略を採っています。

株価指標

指標

数値

株価

900円

時価総額

約115億円

PER(実績)

12.6倍

PBR

4.93倍

配当利回り

2.11%

ROE

38.9%

出典:東証株価・決算短信よりKabuGraph算出(2026年9月17日時点)

PER 12.6倍は、年率30%超の売上成長率に対して割安感があります。一方でROE 38.9%は自己資本が小さいため見かけ上の高さである点に留意が必要です。会社予想ベース(EPS 78.33円)のPERは約11.5倍であり、成長率を勘案すれば市場から過小評価されている可能性があります。ただし、時価総額115億円の小型株であり流動性リスクは織り込む必要があります。

まとめ

プログリットは、英語コーチングとサブスクアプリの二本柱で年率30%超の売上成長を続けている英語学習企業です。

  • 強み:卒業生の72〜74%が継続コースに入会する高い顧客ロイヤルティ、シャドテン・スピフルの急成長によるストック収益の積み上げ、マーサージャパンとの提携やイングリッシュカンパニーのM&Aによる法人・中価格帯市場の開拓

  • 注意点:AI英会話アプリの台頭による主力コーチング事業の構造的リスク、イングリッシュカンパニー買収のPMI進捗、時価総額115億円の流動性制約

  • バリュエーション:PER 12.6倍(実績)は年率30%成長に対して割安感があるが、小型株のため流動性リスクを含む。配当性向30%方針で年間22円(予想利回り2.1%)と、グロース株としては配当も出しています

英語学習は景気後退期に需要が落ち込みやすいセクターですが、グローバル人材の不足は日本の構造的課題であり、法人研修の拡大余地は大きいです。短期集中コーチングからサブスクアプリへの導線を確立し、さらにM&Aでサービス領域を広げる戦略が実行できるかが、今後の株価のカギとなるでしょう。

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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