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村田製作所(6981)の企業分析|MLCC世界シェア首位、AIサーバー需要で初の売上2兆円突破へ

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村田製作所(6981)は、積層セラミックコンデンサ(MLCC)で世界シェア首位の電子部品のグローバルリーダーです。スマートフォン・自動車・AIサーバーなど、ほぼすべての電子機器に搭載されるMLCCは「電子部品の米」とも呼ばれ、村田製作所はその最大手として圧倒的な技術力と生産規模を誇ります。

2026年3月期は売上高1兆8,309億円で過去最高を更新。AIサーバー向けMLCC需要の爆発的拡大を受け、2027年3月期の通期予想は売上収益2兆1,100億円(上方修正後、前期比+15%)、営業利益4,300億円(+53%)と、会社は過去最高の売上収益・営業利益を見込んでいます(売上高2兆円は同社にとって初の大台となります)。

この記事では、村田製作所のMLCC事業の競争力、用途別の成長構造、業績推移、投資判断のポイントを個人投資家の視点から解説します。

会社概要 — 「電子部品の米」MLCCの王者

村田製作所は1944年に京都で創業した電子部品メーカーです。セラミック技術を核に、コンデンサ・インダクタ・フィルタ・センサー・通信モジュールなど幅広い製品を展開。MLCC(積層セラミックコンデンサ)で世界シェア首位のほか、チップインダクタ、Wi-Fiモジュール、セラミックフィルタなど多数の製品で世界トップシェアを持っています。

項目

内容

会社名

株式会社村田製作所(Murata Manufacturing Co., Ltd.)

証券コード

6981(東証プライム)

本社

京都府長岡京市東神足1丁目10番1号

代表取締役社長

中島 規巨

従業員数

77,581名(連結、2026年3月期)

業種

電気機器(電子部品)

決算期

3月

時価総額

約14.3兆円(2026年9月1日時点)

セグメント別売上構成比(2026年3月期実績)

出典:村田製作所 2026年3月期決算短信

売上の約63%を占めるコンポーネント事業はMLCC・インダクタ・フィルタなど受動部品が中心で、同事業が全社利益の大半を稼ぎます。デバイス・モジュール事業(36%)は高周波モジュール、リチウムイオン電池、センサーなどを展開していますが、2026年3月期にセグメント赤字に転落するなど構造改革が課題です。

セグメント別売上推移

出典:村田製作所各期決算短信、村田製作所 2026年度第1四半期 決算説明会資料(2026年7月31日開示)「事業別セグメント売上予想」。2027/3(予)は会社のセグメント別通期予想(2026年7月時点)

MLCC事業の競争力と成長ドライバー

MLCC(積層セラミックコンデンサ)は、電圧の安定化・ノイズ除去・エネルギー蓄積を担う受動部品で、ほぼすべての電子機器に搭載されています。スマートフォン1台に約1,000個、EV1台に約10,000個、AIサーバー1台には10,000個以上のMLCCが使われます。

出典:村田製作所 公式サイト

MLCC世界シェアランキング

順位

企業名

シェア

特徴

1位

村田製作所(日本)

40%以上

高容量・小型品で独走

2位

Samsung Electro-Mechanics(韓国)

約24%

AIサーバー向けで急伸

TDK・Yageo・太陽誘電など大手

合計10〜20%

車載グレード・通信向けに強み

中国メーカー計

約10%

汎用品で急成長

出典:Passive Components.eu「China's MLCC makers reach 10% market share」(2024年下半期時点の市場推計)。村田製作所は自社の市場シェアを開示しておらず、決算短信では中期方針として「コンデンサ、インダクタ・EMIフィルタで市場シェアNo.1を獲得する」と述べるにとどまります。

AIサーバー向け — 急拡大する新市場

AIサーバー向けMLCC市場は急成長しています。村田製作所のデータセンター関連売上は2025年度(2026年3月期)実績1,767億円から、2026年度は3,706億円(+109.7%)へ倍増する計画です。2026年度第1四半期時点で既に697億円(前年同期比+81.1%)と急拡大しています(出典:村田製作所 2026年度第1四半期 決算説明会資料(2026年7月31日開示))。AIサーバーはGPUの消費電力が数百ワットに達するため、電源安定化のために大容量MLCCが大量に必要です。

用途別売上構成

用途別売上構成比(2026年3月期実績)

出典:村田製作所 2026年度第1四半期 決算説明会資料(2026年7月31日開示)「用途別売上収益」。2026年3月期通期実績(通信6,530億円/モビリティ4,745億円/コンピュータ3,104億円(うちデータセンター関連1,767億円)/産業・その他2,503億円/家電1,427億円)

用途別では通信(スマートフォン)が35.7%で最大ですが、2026年度予想の伸び率はコンピュータ+61.7%、モビリティ+8.6%、通信+1.7%と、AI・データセンター向けへの構成シフトが進んでいます。2026年度第1四半期の実績では既にコンピュータが20.5%(うちデータセンター関連13.9%)まで拡大しました。

車載MLCC — EV化で搭載量10倍

車載向けMLCC市場では村田製作所がシェア約50%で圧倒的首位。EVはガソリン車に比べてMLCC搭載量が約10倍になるとされ、ADAS・電動化の進展がMLCC需要の構造的拡大をもたらしています。車載グレードの高信頼性MLCCは参入障壁が高く、村田製作所とTDKの2社で85%以上のシェアを占めています。

業績推移と財務分析

村田製作所の業績はスマートフォン出荷台数と半導体サイクルに連動してきましたが、近年はAIサーバー・車載向けMLCC需要の構造的拡大により、従来のサイクル以上の成長を見せています。

通期業績推移(売上高・営業利益・営業利益率)

出典:決算短信・有価証券報告書・IR資料よりKabuGraph作成。2027/3(予)は会社通期予想(上方修正後、2026年7月時点)

2027年3月期は売上+15%、営業利益+53%と大幅な増益を予想。Q1(2026年4-6月)の売上収益は当社過去最高の5,023億円(前年同期比+20.7%、為替影響除きで+12.6%)、営業利益は985億円(+59.8%)と好調に発進しており、会社は7月に通期予想を上方修正しました。上方修正幅は4月予想比で売上+1,500億円(+7.7%)・営業利益+500億円(+13.2%)ですが、AIサーバー向けを中心としたデータセンター関連需要の拡大に加え、為替前提を第2四半期以降155円/USDに見直したことが主因で、為替影響を除いた修正幅は売上+4.8%・営業利益+5.9%にとどまります。コンデンサがデータセンター・モビリティ向けで好調に推移し、営業利益率も20%台への回復が見込まれます。

EPS・配当金の推移

EPS・1株配当金の推移

出典:決算短信・有価証券報告書・IR資料よりKabuGraph作成。2027/3(予)は会社予想。EPS・配当金は株式分割(2023年10月、1:3)調整済み

株主還元では、2026年度の年間配当金を前回公表値(70円)どおり据え置く一方、当年度に予定している1,500億円の自己株式取得も当初方針どおり実施する予定としています(出典:村田製作所 2026年度第1四半期 決算説明会資料(2026年7月31日開示))。

投資家が注目すべきポイント

強み① MLCC世界首位の技術力と規模

村田製作所はMLCCで世界シェア首位。特に超小型・高容量品(0201サイズや100μF超)ではシェア50%超と圧倒的です。セラミック材料の配合技術、数百層の積層技術、焼成制御技術は数十年の蓄積に基づくものであり、参入障壁はきわめて高い。車載グレードでは村田とTDKの2社で85%以上を占め、品質認証の壁がさらに競争を制限しています。

強み② AIサーバーが構造的な成長ドライバー

データセンター関連売上は2025年度1,767億円から2026年度予想3,706億円(+109.7%)へ倍増する計画で、AIサーバー1台あたりのMLCC搭載量はスマートフォンの10倍以上。ハイパースケーラー各社のAI投資拡大により、構造的な需要増が見込まれます。2027年3月期Q1ではコンデンサの売上が前年同期比+30.0%と好調に推移しています。

強み③ 営業利益率の回復ドライバー

2027年3月期の営業利益率は15.4%から20.4%へ回復する見通しです。会社が増益要因として挙げているのは生産高の増加に伴う操業度益と円安効果で、材料費の高騰や固定費の増加が減益要因となります。製品価格については「値下がりは緩やかに」との前提を置いており、AI・データセンター向けを中心とした数量拡大と操業度の改善が、収益性回復の主なドライバーです。


リスク① スマートフォン市場の成熟化

売上の約36%を占める通信(スマートフォン)向けは成熟市場です。世界のスマホ出荷台数は年間12億台前後で頭打ち傾向にあり、中国メーカーの価格競争も激しい。村田は高付加価値品(5Gミリ波・UWB対応など)へのシフトを進めていますが、汎用品の価格下落圧力は根強く残ります。

リスク② デバイス・モジュール事業の構造問題

売上の36%を占めるデバイス・モジュール事業が2026年3月期にセグメント赤字に転落しました。高周波モジュール分野ではQualcommの統合チップ化、リチウムイオン電池では中国メーカーとの競争激化が収益を圧迫しています。同事業の立て直しが遅れれば、全社の営業利益率回復の足かせとなります。

リスク③ 中国メーカーの台頭

中国MLCCメーカーのシェアが合計で10%に到達。現時点では汎用品が中心ですが、政府の補助金を背景に生産能力を急拡大しており、中級品セグメントへの浸食が加速する可能性があります。村田は高付加価値品へのシフトで差別化を図る方針ですが、価格下落圧力は長期的なリスク要因です。

リスク④ 高いバリュエーション

株価7,290円(2026年9月1日)に対する実績PERは57.1倍、会社予想EPS185.68円ベースの予想PERでも39.3倍と高い水準にあります。PBR4.91倍・ROE8.6%・配当利回り0.89%で、AI・データセンター需要の拡大がすでに株価に相応に織り込まれているとみられます。受注面でも会社は「長納期案件の増加に加え、一部用途では供給逼迫を懸念した前倒し受注の懸念もある」と注意を促しており、AI関連需要が変調すれば株価の下押し要因になり得ます。

まとめ

村田製作所は、MLCC世界シェア首位のポジションを軸に、AIサーバー・車載・5Gの3つの構造的成長テーマを同時に捉えている電子部品のグローバルリーダーです。

2027年3月期は会社予想で売上2兆1,100億円と過去最高を更新し(売上高2兆円は初の大台)、営業利益も+53%の4,300億円と大幅な増益予想。増益の主因は生産高の増加に伴う操業度益と円安効果で、営業利益率は20.4%まで回復する見通しです。

一方で、デバイス・モジュール事業の赤字転落、スマートフォン市場の成熟化、中国メーカーの台頭は構造的なリスクです。コンポーネント事業の「量から質」への転換がどこまで進むかが、中長期の投資判断の鍵となるでしょう。

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6981電機・精密

村田製作所

積層セラミックコンデンサ(MLCC)で世界シェア首位を誇る電子部品メーカー。コンデンサ・インダクタ・EMI除去フィルタ等のコンポーネント、通信モジュール・リチウムイオン二次電池・センサ等のモジュール製品を幅広く展開する。スマートフォン・自動…

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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