KabuGraph

コメダホールディングス(3543)の企業分析|FC比率97%・定額ロイヤリティで稼ぐ名古屋発カフェの成長戦略

Cover Photo

コメダホールディングス(3543)は、名古屋発のフルサービス型喫茶チェーン「コメダ珈琲店」を中核に、FC比率97%超(国内コメダ珈琲店ベース)のビジネスモデルで安定成長を続ける外食グループです。

2026年2月期は売上収益572億円(前期比+21.6%、うち約41億円は2025年3月に連結化したシンガポールPOON社の寄与)、営業利益94億円(同+6.8%)と増収増益を達成。グループ総店舗数は1,160店舗(国内1,079・海外81、2026年7月末)に達し、コメダ珈琲店を含む14ブランドを展開する多角化フェーズに入っています。

この記事では、コメダHDの定額ロイヤリティ×食材卸売の二重収益モデル、14ブランド戦略、業績推移、中計「CONNECT 2030」、投資判断のポイントを個人投資家の視点から解説します。

会社概要 — 名古屋から全国へ、日本最大級のフルサービス型喫茶チェーン

コメダホールディングスは、1968年に名古屋で創業した「コメダ珈琲店」を起源とする持株会社です。「くつろぐ、いちばんいいところ」をコンセプトに、郊外ロードサイドを中心にフルサービス型の喫茶店チェーンを全国展開しています。

項目

内容

会社名

株式会社コメダホールディングス

証券コード

3543(東証プライム・名証プレミア)

創業

1968年(コメダ珈琲店1号店)

設立

2014年(株式移転により持株会社設立)

代表取締役社長CEO

甘利 祐一

本社

愛知県名古屋市東区葵3-12-23

資本金

6億7,300万円(2026年2月末時点)

グループ店舗数

1,160店舗(国内1,079店 / 海外81店、2026年7月末時点)

セクター

卸売業

出典: コメダホールディングス 会社概要

「コメダ珈琲店」が築いた独自ポジション

コメダ珈琲店の最大の特徴は「フルサービス型」の業態です。セルフサービスが主流のカフェチェーン(スターバックス、ドトール等)とは異なり、席までの案内・注文取り・配膳をすべてスタッフが行う「喫茶店」スタイルを貫いています。名古屋の「モーニング文化」を全国に持ち込み、ドリンク注文だけでトースト・ゆで卵が無料で付く「モーニングサービス」は、来店動機の強力なフックとなっています。

客単価は800〜1,000円と一般的なカフェチェーンより高く、滞在時間も長い傾向にあります。一見すると回転率が低く非効率に見えますが、フードメニュー(シロノワール、サンドイッチ等)による客単価の引き上げと、ロードサイド大型店舗による広い席数で売上を確保する構造です。

ビジネスモデル — 定額ロイヤリティ×食材卸売の二重収益構造

コメダHDの収益構造を理解するうえで最も重要なのが、FC比率97%超という圧倒的なフランチャイズ主体のビジネスモデルです(2026年2月末の国内コメダ珈琲店ベース。直営が多いシンガポール・台湾を含むグループ全体では約91%)。本部は店舗運営コストをほぼ負担せず、2つの収益源から安定的にキャッシュを得ています。

コメダ珈琲店公式サイト(komeda.co.jp)
コメダ珈琲店公式サイト — 全国1,000店超のフルサービス型カフェチェーン

収益源①:定額ロイヤリティ

コメダのロイヤリティは「1席あたり月額1,500円」の定額制です。たとえば標準的なロードサイド店舗(90席)であれば、月額ロイヤリティは13.5万円。売上の1〜2%程度にとどまります。一般的なFCチェーンの売上歩合型(3〜5%)と比べて極めて低水準で、売上が伸びるほど加盟店の利益率が改善する仕組みになっています。

収益源②:食材卸売(サプライチェーン収益)

コメダ本部の売上の大部分は、FC加盟店向けのコーヒー豆・パン・食材の卸売から生まれています。加盟店は本部から食材を仕入れる義務があるため、店舗数が増えるほど本部の卸売収入が拡大する構造です。自社工場でパンやコーヒー豆の焙煎を行うことで、原材料から加工・販売までのバリューチェーンを内製化し、安定した利益率を確保しています。

FC加盟店オーナー側の視点

FC加盟の初期投資は約8,000万〜1億円と高額ですが、定額ロイヤリティの低さと安定した集客力により、5〜7年での投資回収が目安とされています。加盟金300万円、保証金300万円で、建築・内装・設備費が投資の大部分を占めます。

フランチャイズコンパス(2026年版)によると、年商8,000万〜1億円の店舗で営業利益率14〜20%、年間営業利益は約1,120万〜2,000万円が目安とのことです。

14ブランドへの多角化

コメダグループは「コメダ珈琲店」を核に、多様なブランドを展開しています。

ブランド

業態

特徴

コメダ珈琲店

フルサービス喫茶

1,079店舗(2026年2月末、国内外合計)、グループの中核。モーニング・シロノワールが看板

おかげ庵

和喫茶

抹茶・和甘味の喫茶店。2026年8月に広島本通店(西日本初、20店舗目)を開店、大阪・西宮への出店も予定

KOMEDA is □

プラントベースカフェ

動物性食材不使用。健康志向・サステナビリティ対応の新業態

BAKERY ADEMOK

ベーカリー

コメダの自社工場で培ったパン製造技術を活かした専門店

出典: コメダホールディングス グループ事業の概要(国内主要ブランドを抜粋、2026年8月時点)

このほかにもジェリコ堂(スタンドカフェ)、大餡吉日(和菓子)、おむすび米屋の太郎(おにぎり)など計14ブランドを展開。海外ではシンガポールを拠点にKaffe & Toast、Saap Saap Thaiなどローカルブランドも運営しています。

業績推移 — コロナ禍を除き増収基調、営業利益率は低下傾向で16%台へ

コメダHDの業績推移を見てみましょう。コロナ禍で一時的に落ち込んだ2021年2月期を除き、売上収益はコロナ禍の2021/2期を挟みつつも5期連続で過去最高を更新しています。

通期業績推移(売上収益・営業利益・営業利益率)

出典:コメダHD決算短信よりKabuGraph作成。IFRS基準。2027/2期は会社予想

業績のポイント

  • 売上収益は10年で2.4倍に成長(2017/2期 240億円 → 2026/2期 572億円)。出店による店舗数拡大と既存店売上の成長が両輪。ただし2026/2期の増収約102億円のうち約41億円はシンガポールPOON社(2025年3月連結)の上乗せで、2027/2期予想の伸びが+6.5%に落ち着くのはこの一過性要因が剥落するためです

  • 営業利益率は低下傾向(28.6% → 16.5%)。これは原材料コスト上昇と、利益率が低い海外事業・新ブランドの売上構成比が拡大しているためです

  • コロナ禍(2021/2期)でも営業黒字を維持。FC主体モデルの耐性を証明しました。直営店中心のチェーンでは赤字転落した企業も多い中、コメダの安定性は際立ちます

2027年2月期の業績予想

2026年4月に発表された2027年2月期の会社予想は、売上収益609億円(+6.5%)、営業利益102億円(+8.2%)。営業利益は初の100億円台を見込んでいます。配当予想は年間62円(2円増配)で、2期連続で最高益更新を目指す計画です。

2027年2月期 第1四半期(2026年3〜5月)の実績

2026年7月15日に開示された第1四半期は、売上収益154.1億円(前年同期比+12.7%)、営業利益26.5億円(同+15.5%)の2桁増収増益でした。通期予想(売上収益609億円・営業利益102億円・年間配当62円)は据え置かれています。

項目

2027/2期 Q1

前年同期

増減

売上収益

154.1億円

136.8億円

+12.7%

営業利益

26.5億円

22.9億円

+15.5%

親会社帰属四半期利益

17.6億円

15.4億円

+14.7%

EPS

38.69円

33.75円

+14.6%

国内セグメント利益

31.4億円

27.3億円

+14.8%

海外セグメント利益

1.08億円

1.36億円

−20.6%

出典:コメダHD 2027年2月期第1四半期決算短信よりKabuGraph作成。IFRS基準

営業利益の通期進捗率は25.9%と、前年同期(22.9%)を上回るペースです。国内が2桁増益をけん引した一方、海外セグメントはコーヒー豆の高騰で減益となり、原材料高の影響が海外で先に表面化しました。

成長ドライバー — 中計「CONNECT 2030」で営業利益130億円へ

2026年4月に発表された新中期経営計画「CONNECT 2030」(2027/2期〜2031/2期)では、2031年2月期に営業利益130億円、ROE 13.0%以上の維持、総還元性向50%以上を数値目標に掲げています。

KPI

2026/2期(実績)

2031/2期(目標)

営業利益

94億円

130億円

ROE

13.5%(会社公表)

13.0%以上を維持

店舗数

1,150店(2026年2月末)

1,400店(海外180店含む)

総還元性向

50%以上

出典: コメダHD 中期経営計画「CONNECT 2030」(2026年4月発表)

ドライバー①:国内出店の深耕

国内店舗数は現在1,079店(2026年7月末、おかげ庵など他業態を含む)ですが、中計では国内1,220店体制を目指しています。出店の主軸はこれまでの郊外ロードサイドに加え、駅前・商業施設内への「都市型店舗」も拡大中。地方ではまだ空白エリアが多く、特に東北・北海道エリアの出店余地が大きいとされています。

ドライバー②:おかげ庵の全国展開加速

和喫茶ブランド「おかげ庵」は、2026年7月に国分寺(首都圏)、8月に広島本通店(西日本初、20店舗目)を開店し、2026年冬に大阪府、2027年に兵庫県西宮市への出店を予定するなど全国展開を加速しています(中計では2030年に50店舗以上が目標)。抹茶や和甘味を楽しめる「和のコメダ」として、コメダ珈琲店とは異なる客層を取り込める第2の柱として期待されています。

ドライバー③:海外事業の拡大(目標180店)

海外は現在81店舗(台湾・上海・香港・インドネシア・シンガポール、2026年7月末)を展開中。中計では2031/2期に海外180店・海外セグメント利益10億円を目標としています。グループ営業利益の年率6.6%とは別に、海外は次の2つの伸び率が求められる計算です。

  • 店舗数:83店(2026/2期末)→ 180店。年率約17%の出店ペースが必要(会社資料の記載どおり)

  • 海外セグメント利益:1.4億円(2026/2期実績)→ 10億円。約7倍への積み上げで、2027/2期Q1は1.08億円(前年同期比−20.6%)と減益スタート

2026年内にはタイ・バンコクに初出店予定で、ASEAN地域への展開が新たなフェーズに入ります。

グルメWatch(2026年8月)によると、バンコク中心部アソーク「Exchange Tower」に年内オープン予定で、2026年6月にタイ現地法人を設立済みです。

ドライバー④:SCM強化とDX投資

中計ではサプライチェーンマネジメント(SCM)機能の強化を重点施策に掲げています。自社工場の生産効率化、物流最適化、DX投資による店舗オペレーション改善を通じて、原材料高の影響を吸収しつつ利益率の改善を目指します。

投資リスク — 原材料高・FC依存・海外の3つの課題

安定性が高いコメダHDですが、投資にあたっては以下のリスクを認識しておく必要があります。

リスク①:原材料・エネルギーコストの上昇

コーヒー豆(アラビカ種)の国際価格は2024〜2026年にかけて過去最高水準を更新しています。小麦や卵など食材価格の上昇も続いており、食材卸売が売上の大部分を占めるコメダのビジネスモデルでは、原材料コスト上昇が直接的に利益を圧迫します。営業利益率の低下傾向(28.6% → 16.5%)にはこの影響が含まれています。

リスク②:FC加盟店の経営リスク

FC比率97%超は軽資産モデルとして優れていますが、本部の収益はFC加盟店の存続が前提です。人手不足の深刻化や最低賃金の引き上げにより、加盟店の人件費が増加すれば、閉店リスクが高まります。加盟店が減れば、ロイヤリティ収入と食材卸売の両方が縮小します。

リスク③:海外事業の収益化

海外事業は81店舗と規模がまだ小さく、利益貢献も限定的です(2026/2期のセグメント利益1.4億円、2027/2期Q1はコーヒー豆高騰で−20.6%の減益)。目標の180店を達成するには、各地域でのブランド認知構築、現地パートナーの確保、日本の「くつろぎ文化」をどこまで海外で再現できるかが課題です。シンガポールでは現地ブランド(Saap Saap Thai等)の買収で多角化を進めていますが、コメダブランド単体での拡大力はまだ未知数です。

リスク④:カフェ市場の競合激化

スターバックス、ドトール、タリーズに加え、近年はコンビニカフェ(セブンカフェ等)やサードウェーブ系カフェとの競合が激化しています。コメダは「フルサービス型」という独自ポジションで差別化していますが、テイクアウト需要の拡大やリモートワーク定着による来店頻度の変化には注視が必要です。

投資判断のまとめ — FC型高収益モデルの安定成長株

最後に、投資判断のポイントを整理します。

指標

数値

コメント

時価総額

約1,334億円

外食FCの中で大型の部類

PER

20.3倍

外食チェーンの平均水準。安定成長を考慮すれば妥当

PBR

2.63倍

FC型軽資産モデルのため純資産対比では割高に見えやすい

配当利回り

2.08%

安定配当。総還元性向50%以上が方針

ROE

12.9%(期末自己資本ベース、KabuGraph算出)

東証プライム平均を上回る水準。会社公表(期中平均ベース)は13.5%

出典:東証株価・決算短信よりKabuGraph算出(2026年9月14日終値2,882円時点)。PER・配当利回りは2026/2期実績ベース。

コメダHDに向いている投資家像

  • 安定成長・配当重視の中長期投資家 — FC型の安定したキャッシュフロー、増配傾向、総還元性向50%以上の方針は、配当投資家と相性が良い

  • ディフェンシブ銘柄を探している投資家 — コロナ禍でも営業黒字を維持した耐性は、景気後退局面でのポートフォリオの安定化に寄与

  • 急成長を求める投資家には物足りない可能性 — 中計の営業利益CAGR(94億→130億)は年率+6.6%(会社公表)。グロース銘柄のような高い成長率は期待しにくい

KabuGraphで銘柄詳細を確認する
3543商社・卸売

コメダホールディングス

コーヒー専門カフェチェーン『コメダ珈琲店』の展開・運営が主業。あんトーストや名古屋発祥の喫茶文化を全国・国際市場で展開。モーニング・ランチ等定時利用による安定客層確保。FC加盟店による多店舗拡大戦略で成長を加速。プレミアム商品・限定メニュー…

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

関連記事