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霞ヶ関キャピタル(3498)の企業分析|冷凍倉庫・ホテル・ヘルスケアで利益倍増を続ける不動産プラットフォーム

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霞ヶ関キャピタル(3498)は、冷凍冷蔵倉庫・ホテル・ヘルスケア施設を開発し、ファンドやREITに売却する独自のビジネスモデルで急成長を続ける不動産コンサルティング企業です。

2025年8月期は売上高965億円(前期比+46.9%)、営業利益189億円(同+121.8%)と大幅増収増益を達成し、第1期中期経営計画の純利益100億円目標を1年前倒しでクリアしました。2026年8月期は売上高1,500億円・純利益165億円を計画し、第2期中計では2029年8月期に純利益500億円・AUM1.5兆円という野心的な目標を掲げています。

この記事では、霞ヶ関キャピタルの4つの事業領域の仕組み、業績推移、ファンドビジネスモデルの強み、競合比較、投資判断のポイントを、個人投資家の視点からわかりやすく解説します。

会社概要 — 社会課題を不動産で解決する「コンサルティング型デベロッパー」

霞ヶ関キャピタルは、小川潤之氏(現取締役会長)と河本幸士郎氏(現代表取締役社長CEO)が2011年に設立した不動産コンサルティング会社です。経営理念「その課題を、価値へ。」のもと、社会が必要としているのに供給が不足している不動産を開発し、ファンドを通じて投資家に提供するモデルを構築しています。

項目

内容

社名

霞ヶ関キャピタル株式会社

証券コード

3498(東証プライム)

設立

2011年9月

上場

2018年11月(マザーズ → 2023年10月プライム市場へ移行)

代表者

河本幸士郎(代表取締役社長CEO)

本社

東京都千代田区霞が関3-2-1(霞が関コモンゲート西館28階)

従業員数

398名(単体)/ 727名(連結、2025年8月末)

資本金等

542億円(資本準備金含む、2026年2月末)

事業内容

不動産コンサルティング(物流施設・ホテル・ヘルスケア施設・海外不動産の開発、ファンド組成・運用)

出典:有価証券報告書・会社サイトよりKabuGraph作成(2026年2月末時点)

沿革 — 震災復興から始まり、冷凍倉庫で飛躍

小川・河本の両氏は投資ファンドでの経験を持ち、2011年に東日本大震災で被災した宮城県のショッピングセンター「フォルテ」の再生を目的に会社を設立しました。屋上に太陽光パネルを設置して再生可能エネルギー事業を開始し、その後、不動産開発のノウハウを蓄積していきます。

  • 2011年 — 合同会社フォルテ設立(宮城県のSC再生)

  • 2015年 — 株式会社へ改組、霞ヶ関キャピタルに商号変更

  • 2018年11月 — 東証マザーズに上場

  • 2020年6月 — COVID-19を契機に物流事業部を新設、冷凍冷蔵倉庫の開発開始

  • 2021年12月 — ヘルスケア推進事業部を発足(ホスピス住宅の開発)

  • 2023年10月 — 東証プライム市場へ移行

  • 2025年8月 — 霞ヶ関ホテルリート投資法人の上場、冷凍冷蔵倉庫特化型私募ファンド組成

  • 2025年11月 — 約345億円の公募増資を実施

4つの事業を理解する

霞ヶ関キャピタルは決算上のセグメントは「不動産コンサルティング事業」の単一セグメントですが、実態は物流・ホテル・ヘルスケア・海外の4つの事業領域に分かれています。各領域のビジネスモデルと成長ドライバーを整理します。

物流事業 — 冷凍冷蔵倉庫で最大規模のファンドを組成

冷凍冷蔵倉庫に特化した物流施設の開発が、同社の最大の事業領域です。「LOGI FLAG」ブランドのもと、冷凍冷蔵倉庫「LOGI FLAG COLD」、3温度帯倉庫「LOGI FLAG DRY & COLD」、冷凍自動倉庫「LOGI FLAG TECH」を展開しています。

LOGI FLAG 冷凍冷蔵倉庫の開発イメージ
出典:霞ヶ関キャピタル公式サイト
  • 市場背景 — 冷凍食品の消費拡大、2030年のフロン規制(代替フロンから自然冷媒への転換)による倉庫建て替え需要

  • 差別化 — 冷凍自動倉庫「LOGI FLAG TECH」は省人化・省エネを実現。所沢で冷凍保管サービス「COLD X NETWORK」も開始

  • ファンド — 国内最大級の冷凍冷蔵倉庫特化型私募ファンド「コールドストレージファンド1号」(資産規模820億円、8物件)を2025年5月に組成

  • パイプライン — 物流事業の事業規模は3,411億円(24件、2025年8月末)で前期比+37.8%の拡大

  • 海外展開 — ASEAN初弾としてマレーシア・クアラルンプールで冷凍自動倉庫の開発プロジェクトを開始

ホテル事業 — 日本初のデベロッパー系ホテルREITを上場

多人数・長期滞在型のホテルを全国で開発し、自社で運営ノウハウも蓄積しています。「fav」「FAV LUX」「seven x seven」「BASE LAYER HOTEL」の4ブランドで展開し、IT活用による省人化とデザイン性を両立させています。

霞ヶ関キャピタルのホテルブランド(fav, FAV LUX, seven x seven)
出典:霞ヶ関キャピタル公式サイト
  • REIT上場 — 2025年8月に「霞ヶ関ホテルリート投資法人」を上場(日本初のデベロッパー系ホテル特化型上場REIT)。資産規模492億円、15物件を組み入れ

  • リブランド効果 — 取得したホテルをリブランドすることで、ADR(平均客室単価)が5,900円→10,800円、稼働率は72%→80%に改善した実績あり

  • パイプライン — ホテル事業の事業規模は2,465億円(56件、2025年8月末)で前期比+56.0%の拡大

ヘルスケア事業 — ホスピス住宅「CLASWELL」で高齢化に対応

高齢化に伴う病床不足に着目し、終末医療を担うホスピス住宅「CLASWELL」の開発を2021年12月から開始しました。良い立地に居心地の良い施設を提供するコンセプトで、2025年8月期には6件のホスピス住宅を森トラストに売却し、運用フェーズへの移行が完了しています。

ホスピス住宅「CLASWELL」の施設イメージ
出典:霞ヶ関キャピタル公式サイト
  • 事業規模 — 451億円(17件、2025年8月末)で前期比+21.9%。うち11件が開発中パイプライン

  • 出口戦略 — 森トラストへの売却(資産規模150億円、6物件)で運用フェーズへの移行を完了

海外事業 — ドバイを起点にマイアミへも展開

UAE・ドバイを中心に海外不動産投資を展開しています。大東建託との提携による日系デベロッパー初のドバイ住宅開発プロジェクトを手がけるほか、レジデンスの分譲販売も行っています。2026年8月期Q2時点で売上・利益の約10%を占めています。

  • パイプライン — 海外事業の事業規模は257億円(9件、2025年8月末)で前期比+64.7%の拡大

  • 新規進出 — 2026年にはマイアミ(フロリダ州)でホテル・レジデンス複合プロジェクトを取得し、米国事業にも参入

業績推移と財務分析

霞ヶ関キャピタルの連結業績は上場以来、驚異的な成長を続けています。2026年8月期第3四半期(2026年7月3日開示)時点の進捗と、通期の推移を確認します。

通期業績推移

通期業績推移(売上高・営業利益・売上高成長率・営業利益率)

出典:決算短信よりKabuGraph作成。2026/8は会社予想

上場初年度の2019年8月期から6年間で売上高は18倍、営業利益は27倍に成長しています。特に2025年8月期は営業利益率が19.6%に達し、前期の13.0%から大幅に改善しました。ファンド組成に伴う成功報酬が大きく貢献し、売上総利益率は37.8%(前期28.3%)に上昇しています。

通期業績詳細

決算期

売上高

営業利益

経常利益

純利益

EPS

1株配当

2021/8

143.0億円

13.3億円

10.4億円

7.9億円

60.7円

10円

2022/8

207.8億円

21.4億円

17.3億円

10.2億円

66.4円

15円

2023/8

372.8億円

44.4億円

41.2億円

20.5億円

126.6円

30円

2024/8

656.9億円

85.4億円

78.6億円

50.2億円

270.8円

85円

2025/8

965.0億円

189.3億円

171.3億円

102.5億円

520.4円

120円

2026/8(予)

1,500.0億円

265.0億円

240.0億円

165.0億円

672.4円

165円

出典:決算短信よりKabuGraph作成。EPS・1株配当は株式分割(2019年・2021年・2025年、各1:2)調整後。2026/8は会社予想

2026年8月期Q3(9ヶ月累計)の進捗

2026年8月期第3四半期累計(2025年9月〜2026年5月)の業績は、売上高884.8億円、営業利益82.0億円、純利益45.6億円です。通期予想(純利益165億円)に対する進捗率は約27.6%にとどまりますが、同社は物件売却がQ4に集中する傾向が強く、前期も純利益の60%超がQ4に集中しています。会社は通期予想の純利益165億円を据え置いています。

収益ポートフォリオの多層化

売上総利益の内訳を見ると、同社の収益構造が変化しつつあることがわかります。

売上総利益の収益ポートフォリオ別構成比(2025年8月期)

出典:決算説明資料(2025年10月3日)よりKabuGraph作成
  • 土地売却益 — 約213億円(前期比+86.8%)。仕入れた土地に企画・設計を付加してファンド等に売却する主力収益

  • 成功報酬 — 約104億円(同3.0倍)。ファンド組成時に得られる一時収入で、冷凍冷蔵倉庫特化型ファンドの組成が大きく貢献

  • ストック収入 — 約47億円(同+30.5%)。アセットマネジメント報酬やコンサルティングフィーなど、安定的な継続収入

パイプライン・AUM推移

パイプライン・AUM事業規模の推移

出典:決算説明資料よりKabuGraph作成。2026/8はAUM目標

配当推移

1株配当の推移(分割調整後)

出典:決算短信よりKabuGraph作成。株式分割(2019年・2021年・2025年、各1:2)調整後。2026/8は会社予想

2026年8月期の1株配当予想は165円で、前期の120円(分割調整後)から前期比+37.5%の増配です。配当利回りは1.67%(2026年9月17日終値7,200円、2025年8月期実績120円基準)。成長投資を優先しているため配当性向は期によって変動しますが、利益成長に伴い増配傾向を維持しています。

投資家が注目すべきポイント

バリュエーション — 不動産投資企業との比較

2026年9月17日終値の株価7,200円を基準に、主な投資指標は以下の通りです。

指標

霞ヶ関キャピタル

不動産投資4社平均

PER(実績)

13.8倍

8.6倍

PBR

3.93倍

1.6倍

ROE

26.8%

18.3%

配当利回り

1.67%

3.1%

時価総額

1,772億円

出典:東証株価・決算短信よりKabuGraph算出(2026年9月17日時点)

PER 13.8倍は、年50%超の利益成長を続ける企業としては決して高くありません。同業のいちご(10.4倍)、ロードスターキャピタル(6.0倍)、トーセイ(10.8倍)と比べるとやや高めですが、ROEの高さ(26.8%)と成長率の差を考慮すると、成長プレミアムの範囲内です。大手デベロッパー(ヒューリック11.3倍、三井不動産18.3倍、三菱地所22.6倍)と比較しても遜色ないバリュエーションです。

中期経営計画 — 純利益500億円・AUM1.5兆円への道筋

第2期中期経営計画(2025〜2029年8月期)では、最終年度の2029年8月期に純利益500億円・AUM1.5兆円規模を目標としています。2025年8月期実績の純利益102.5億円・AUM 3,941億円からの逆算で、必要なCAGRは約50%です。

中期経営計画の純利益目標と実績推移

出典:中期経営計画(2024年10月2日公表)・決算短信よりKabuGraph作成。2027/8以降は中計目標のイメージ

競合環境

霞ヶ関キャピタルは複数の事業領域で異なる競合と対峙しています。

領域

主な競合

霞ヶ関Cの優位性

物流(冷凍冷蔵)

CRE、日本GLP、プロロジス、ラサール

冷凍冷蔵に特化。大手はドライ倉庫中心で冷凍自動倉庫のノウハウで差別化

ホテル開発

ヒューリック、東急不動産、星野リゾート

多人数・長期滞在に特化。IT活用の省人化運営で高い利回りを実現

ヘルスケア

日本ホスピスHD、アンビスHD、シーユーシー

施設の「開発と売却」に特化。運営は専門事業者に委託しファンドへ売却

不動産ファンド

ロードスターC、いちご、トーセイ、サンフロンティア

社会課題に着目した領域選定と開発力。REIT・私募ファンド両方の出口を持つ

出典:各社決算資料よりKabuGraph作成

同社の最大の強みは、「社会課題に着目して供給不足の領域に先行参入し、開発から運用まで一気通貫で手がける」独自のビジネスモデルにあります。冷凍倉庫でもホテルでもヘルスケアでも、需要に対して供給が足りない領域を見極め、先行者メリットを確立しています。大手デベロッパーが参入しにくいニッチな領域を選んでいるため、直接的な競合は限定的です。

株式分割の履歴

霞ヶ関キャピタルは成長に合わせて3回の株式分割を実施しています。

  • 2019年9月 — 1:2分割

  • 2021年9月 — 1:2分割

  • 2025年9月 — 1:2分割

上場来の累計で1株が8株になっています。本記事のEPS・1株配当はすべて最新の株数基準(分割調整後)で記載しています。

まとめ

霞ヶ関キャピタル(3498)は、社会課題に着目した不動産開発とファンドビジネスを組み合わせた独自モデルで、上場以来6年間にわたり高成長を持続しています。

  • 物流(冷凍冷蔵倉庫)・ホテル・ヘルスケア・海外の4事業で、それぞれファンドやREITの出口を構築済み

  • 2025年8月期は営業利益189億円(前期比+121.8%)で中計目標を1年前倒し達成

  • 第2期中計で2029年8月期に純利益500億円・AUM1.5兆円を目指す

  • PER 13.8倍は年50%超の利益成長ペースに対して割安感がある水準(2026年9月17日時点)

  • リスクは四半期業績のブレ、増資による希薄化、金利上昇、海外事業の地政学リスク

成長投資を優先するため配当性向は安定しませんが、配当利回りは1.67%を確保しています。高い利益成長と多様な事業ポートフォリオを持つ一方で、不動産市況や金利環境の変化に敏感な銘柄でもあります。業績の四半期バラつきに惑わされず、パイプライン・AUMの積み上がりと中計の進捗を中長期で見ていくことが投資判断のポイントです。

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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