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本田技研工業(7267)の企業分析|二輪世界首位の収益力とEV戦略転換、売上21兆円企業の岐路

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本田技研工業(7267)は、二輪車世界首位・四輪車世界7位のグローバルモビリティメーカーです。二輪事業、四輪事業、金融サービス事業、パワープロダクツ事業の4本柱で、世界30カ国以上に生産拠点を展開しています。

2026年3月期は売上収益21兆7,966億円(前期比+0.5%)ながら、EV関連損失1兆5,778億円を計上して営業損失4,143億円に転落。ただしEV損失を除いた調整後営業利益は1兆393億円と黒字を維持しています(本田技研工業 2026年3月期決算短信)。

この記事では、ホンダの4つの事業の収益構造、EV戦略の転換、日産との統合協議破談後の展望、投資判断のポイントを、個人投資家の視点からわかりやすく解説します。

会社概要 — 二輪から始まったグローバルモビリティ企業

本田技研工業は、1948年に本田宗一郎が創業した日本を代表するモビリティメーカーです。「自転車にエンジンを載せる」という発想から始まり、二輪車で世界首位を築いた後、四輪車・汎用製品・航空機にまで事業を拡大しました。

項目

内容

会社名

本田技研工業株式会社(Honda Motor Co., Ltd.)

証券コード

7267(東証プライム)

設立

1948年9月

代表取締役社長

三部敏宏(2026年8月時点)

従業員数

約19.5万名(連結、2025年3月31日時点)

本社

東京都港区

時価総額

約7.7兆円(2026年8月時点、発行済株式総数ベース。自己株式控除後は約6.6兆円)

セグメント別売上構成(2026年3月期)

セグメント別売上収益構成比(2026年3月期)

出典:本田技研工業 2026年3月期決算短信

売上構成では四輪事業が64%と最大ですが、利益貢献では二輪事業が最も安定しています。2026年3月期はEV関連の巨額損失により四輪事業の収益が大幅に悪化しました。

通期業績推移(売上収益・営業利益)

出典:決算短信・有価証券報告書・IR資料よりKabuGraph作成、2027/3は会社予想

4つの事業を理解する

ホンダは二輪事業・四輪事業・金融サービス事業・パワープロダクツ事業の4セグメントで事業を展開しています。それぞれの特徴と収益性を見ていきましょう。

① 四輪事業 — 売上の6割を占める主力、EV転換の最前線

ホンダの四輪事業(Honda CR-V)
出典:Honda Global Corporate Website

四輪事業は売上収益13兆8,634億円(2026年3月期)とグループ最大のセグメントです。1963年にT360で四輪車市場に参入して以来、シビック・アコード・CR-Vなどのグローバルモデルを展開し、年間約339万台を販売しています。

地域別では北米が最大の販売市場で、CR-V・シビック・アコードが安定した売上を生んでいます。一方、中国市場ではBYDなど地場EVメーカーの台頭により販売台数が減少傾向にあります。

2026年3月期はEV戦略の見直しに伴うEV関連損失1兆5,778億円(うち営業利益ベース1兆4,536億円、持分法ベース1,241億円)を計上し、四輪事業単体では大幅な赤字となりました。次世代EV「Honda 0シリーズ」の一部モデル開発中止を決定し、EV戦略の抜本的な見直しを進めています(本田技研工業 2026年3月期決算短信「重要な後発事象」)。

② 二輪事業 — 世界首位・世界生産累計5億台の成長エンジン

ホンダの二輪事業(Honda Gold Wing)
出典:Honda Global Corporate Website

二輪事業は売上収益4兆188億円(2026年3月期)で、世界シェア首位を堅持しています。1949年の「ドリームD型」による量産開始以来、二輪車の世界生産累計は2025年5月に5億台を突破しました(1958年発売のスーパーカブは累計台数を押し上げた主力モデル。4億台の達成は2019年)。インド・東南アジア・南米を中心に2,210万台(2026年3月期)を販売し、過去最高を更新しました(出典:Honda ニュースリリース(2025年5月22日))。

二輪事業の強みは高い営業利益率にあります。新興国での圧倒的なブランド力と現地生産体制により、四輪事業がEV損失で赤字に陥った2026年3月期でも安定した利益を計上。グループ全体の利益を下支えする「稼ぎ頭」としての地位を確立しています。

電動化では、インド・東南アジア向けの電動スクーターや交換式バッテリー規格の展開を進めており、二輪EVの普及にも先手を打っています。

③ 金融サービス事業 — オートローン・リースで安定収益

金融サービス事業は売上収益3兆5,295億円(2026年3月期)で、全体の約16%を占めます。北米を中心に、ホンダ車購入者向けのオートローン、リース、保険などの金融サービスを提供しています。

このセグメントは四輪販売と連動しますが、金利収入をベースとした安定的な収益構造を持っています。ただし、金利環境の変動や貸倒リスクには注意が必要です。

④ パワープロダクツ事業 — 発電機・芝刈り機の汎用エンジン

ホンダのパワープロダクツ事業(発電機・芝刈り機)
出典:Honda Global Corporate Website

パワープロダクツ事業は売上収益3,849億円(2026年3月期)と全体の約2%。発電機、芝刈り機、耕うん機、除雪機、船外機などの汎用製品を50カ国以上で展開しています。売上規模は小さいものの、ホンダのエンジン技術の応用先として重要な事業です。

近年はポータブルバッテリーや電動パワープロダクツの展開も始まっており、脱炭素トレンドへの対応を進めています。2026年3月期の販売台数は359万台でした。

セグメント別売上収益(2026年3月期)

出典:本田技研工業 2026年3月期決算短信
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業績推移と財務分析

売上収益は21兆円超を維持、2027/3期は24兆円を目指す

ホンダの売上収益は2021年3月期の13.2兆円から2026年3月期の21.8兆円へと5年で約65%成長しました。為替影響(円安)の追い風もありますが、二輪事業の販売台数増加と北米四輪の堅調が主因です。

2027年3月期の会社予想では売上収益24兆1,500億円、営業利益6,500億円と、EV損失の縮小を見込んだ黒字回復を計画しています(Honda IR)。

売上収益と営業利益率の推移

出典:決算短信・有価証券報告書・IR資料よりKabuGraph作成、2027/3は会社予想

主要財務指標(2026年3月期実績)

指標

2025/3期

2026/3期

2027/3予

売上収益

21兆6,888億円

21兆7,966億円

24兆1,500億円

営業利益

1兆2,135億円

▲4,143億円

6,500億円

EPS

178.93円

▲106.06円

102.75円

1株配当

68円

70円

70円

BPS

2,835.96円

3,035.91円

バリュエーション — PBR 0.55倍の割安水準

2026年8月時点の株価1,702円に対し、PBRは0.55倍と解散価値を大きく下回る水準です。配当利回りは4.21%と高水準。赤字転落の影響でPERは算出不能ですが、2027年3月期予想EPSベースでは約16.6倍となります。

東証が推進する「PBR1倍割れ改善」の観点からも、ホンダは資本効率改善の余地が大きい銘柄です。EV戦略の方向性が明確になれば、バリュエーション修正が進む可能性があります。

投資家が注目すべきポイント

成長ドライバー

二輪事業のさらなる拡大:インド・東南アジアの二輪市場は今後も成長が見込まれ、ホンダは圧倒的シェアでこの成長を取り込めるポジションにあります。2026年3月期に販売台数過去最高を記録しており、電動スクーターの投入も新たな成長余地を開きます。

EV損失の縮小と利益回復:2026年3月期のEV関連損失は減損・除却といった非資金項目が大半で、2027年3月期の会社予想では営業利益6,500億円と黒字回復を見込んでいます。ただし会社は2027年3月期にもEV関連損失5,000億円を見通しに織り込んでおり、EV戦略の再構築が軌道に乗るまでは損失計上が続く点には留意が必要です。

ソニーとの合弁「AFEELA」:ソニー・ホンダモビリティが開発するEV「AFEELA」は、エンターテインメント×モビリティの新しい価値提案として注目されています。2025年から予約受付を開始し、差別化されたEV戦略の一角を担います。

リスク要因

米中の通商リスク:ホンダの四輪事業は北米市場への依存度が高く、関税政策の変動が業績に直結します。中国市場ではBYDなどの地場メーカーの台頭によりシェアが低下しており、戦略の再構築が急務です。

EV戦略の方向性が未確定:「Honda 0シリーズ」の一部開発中止に象徴されるように、EV戦略は依然として流動的です。テスラやBYDが先行する中、ホンダ独自のEV戦略が競争力を持てるかは不透明。投資先行期間がさらに長引くリスクがあります。

日産との再統合の不確実性:日産とは2024年8月に次世代SDVプラットフォームの基礎的要素技術に関する共同研究契約を締結しており(日産自動車・Honda 共同リリース(2024年8月1日))、2025年2月に経営統合の協議・検討が終了した後も「知能化・電動化時代に向けた戦略的パートナーシップの枠組み」での連携を継続する方針です(日産自動車・Honda 共同リリース(2025年2月13日))。しかしホンダ自身もEV損失で赤字転落しており、両社の立場が変化する中での提携関係の行方は注目材料です。

為替リスク:海外売上比率が80%を超えるホンダは、円高局面では業績が大きく下振れます。2024年以降の円安メリットが剥落した場合の影響には注意が必要です。

まとめ

ホンダは売上21兆円超のグローバルモビリティ企業であり、二輪世界首位という強固な収益基盤を持っています。

  • 二輪事業は世界首位で販売台数過去最高を更新。安定した高収益源

  • EV関連損失1.6兆円は減損・除却が大半で調整後では営業利益1兆円超を確保。ただし2027年3月期にもEV関連損失5,000億円を織り込み

  • PBR 0.55倍・配当利回り4.2%のバリュー水準で割安感あり

  • リスクはEV戦略の不透明感と米中関税・地政学リスク

EV戦略の再構築という大きな転換点にあるホンダ。二輪事業の安定収益に支えられながら、EV損失の出口が見えてくれば株価の見直し余地は十分にあるでしょう。


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7267自動車・輸送機

本田技研工業

本田技研工業(ホンダ)は世界有数の自動車・二輪車・汎用機械メーカー。乗用車(シビック、アコード)、SUV(CR-V、パイロット)、二輪車、発電機、耕運機など多彩な製品を開発・製造・販売。電動化、自動運転技術に投資。

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

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