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【投資テーマ解説】衛星コンステレーション|防衛省2,831億円事業が始動・Starlinkに挑む日本の衛星群と関連12銘柄

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2026年、衛星コンステレーション(多数の人工衛星を連携運用する衛星群)は投資テーマとして一段と存在感を増しています。SpaceXのStarlinkが衛星1.1万機を突破し、日本でも大手通信3社がStarlinkを使ったスマートフォンの衛星直接通信を始めるなか、防衛省は総額2,831億円の衛星コンステレーション整備・運営事業を始動させました(2026年2月契約締結)。商業衛星コンステレーションの世界市場は2025年の約163億ドルから2030年に約282億ドル(年平均成長率11.5%)へ拡大が見込まれ(The Business Research Company推計)、通信・地球観測・測位の3領域で急速に産業化が進んでいます。この記事では、衛星コンステレーションの仕組みと市場構造を整理したうえで、日本の関連12銘柄の立ち位置と投資指標を解説します。

この記事の内容(目次)

  1. 衛星コンステレーションとは何か——「群」で地球を覆う
    1. 静止衛星との違い
    2. 3つの用途領域
  2. 市場規模——世界で年率11%超の成長
  3. 通信衛星コンステレーション——Starlinkの衝撃と日本の対応
    1. 海外3強の構図
    2. 日本の通信キャリア——衛星直接通信の時代へ
  4. SAR衛星コンステレーション——日本が世界をリードする領域
    1. QPSホールディングス(464A)——36機体制で準リアルタイム観測へ
    2. Synspective(290A)——30機体制で変化検知に特化
    3. QPS研究所 vs Synspective——2社の比較
  5. 光学衛星コンステレーションとアクセルスペース
    1. アクセルスペース(402A)——防衛省事業で光学衛星を担う唯一の企業
  6. 防衛省2,831億円事業——トライサット・コンステレーションの全体像
    1. 事業の概要
    2. スケジュール
    3. 受注額の内訳
  7. 測位衛星——みちびきは6機、7機体制まであと1機
    1. 7機体制が整うと何が変わるか
    2. みちびきの関連企業
  8. 衛星インフラを支える大手企業——スカパーJSAT・三菱重工
    1. スカパーJSAT(9412)——アジア最大級の衛星通信事業者
    2. 三菱重工業(7011)——H3ロケットで打ち上げを担う
    3. その他の関連企業
  9. 関連12銘柄の投資指標一覧
  10. 投資家が注目すべき3つのポイント
    1. 1. 防衛需要という「底堅い受注残」
    2. 2. 衛星データの民生市場はこれから
    3. 3. 通信キャリアの「衛星シフト」

衛星コンステレーションとは何か——「群」で地球を覆う

衛星コンステレーションとは、多数の人工衛星を計画的に配置し、一体的に運用する衛星群を指します。従来の通信衛星は赤道上空約3万6,000kmの静止軌道(GEO)に1機ずつ打ち上げる方式が主流でしたが、コンステレーション方式は高度2,000km以下の低軌道(LEO)に数十〜数千機を展開し、地球全体をカバーします。

KabuGraph作成

静止衛星との違い

項目

静止衛星(GEO)

低軌道コンステレーション(LEO)

高度

約36,000km

2,000km以下

通信遅延

約600ms(往復)

20〜40ms(往復)

衛星数

1〜数機

数十〜数千機

カバレッジ

広域だが極地に弱い

地球全域(極地含む)

1機あたりコスト

数百億円

数千万〜数億円

寿命

15〜20年

5〜7年(交換前提)

KabuGraph作成。通信遅延・コスト・寿命は一般的な目安

低軌道コンステレーションの最大の利点は低遅延と高頻度観測です。通信用途では地上回線に匹敵するレスポンスが得られ、地球観測用途では同一地点を1日に複数回撮影できます。一方、衛星の寿命が短いため継続的な打ち上げが必要で、これがロケットや衛星製造企業への安定的な需要を生んでいます。

3つの用途領域

衛星コンステレーションの用途は大きく通信・地球観測(SAR/光学)・測位の3つに分かれます。通信はStarlinkに代表される衛星ブロードバンド、地球観測はSAR(合成開口レーダー)や光学カメラによる地表の撮影、測位はGPSやみちびきのような衛星測位システムです。以降のセクションでは、それぞれの領域で日本企業がどのような役割を果たしているかを見ていきます。

市場規模——世界で年率11%超の成長

商業衛星コンステレーションの世界市場規模は、The Business Research Companyの推計によると2025年の約163億ドルから、2030年には約282億ドルへ拡大する見通しです(年平均成長率11.5%、2026年9月版)。成長の牽引役はStarlinkなどの衛星ブロードバンド需要ですが、SAR衛星による地球観測や安全保障向けの画像データ需要も急速に伸びています。

商業衛星コンステレーション 世界市場規模推移(推計)

出典:The Business Research Company「Commercial Satellite Constellations Global Market Report」(2026年9月版)よりKabuGraph作成。同社が公表した2025年・2026年・2030年の値のみ掲載。2026年以降は予測値

日本国内でも、宇宙基本計画(2023年6月閣議決定)と毎年改訂される工程表で、安全保障分野での衛星の利用拡大が掲げられ、防衛省の衛星コンステレーション事業(2,831億円)が2026年4月から運用段階に入りました。さらにみちびき7号機の打ち上げや、QPS研究所・Synspectiveの相次ぐ衛星の打ち上げなど、国産コンステレーションは実用段階に入りつつあります。

一方で、H3ロケット8号機の失敗によるみちびき5号機の喪失(2025年12月)や、アクセルスペースが7月に打ち上げたGRUS-3の不具合(2026年9月)のように、打ち上げと運用のリスクも表面化しています。

通信衛星コンステレーション——Starlinkの衝撃と日本の対応

海外3強の構図

衛星通信コンステレーションの世界市場は、3大プレーヤーが覇権を争う構図です。

事業者

衛星数

計画総数

ビジネスモデル

日本のパートナー

Starlink(SpaceX)

約11,000機

42,000機

個人・法人直販

KDDI・ソフトバンク・NTTドコモ(スマホとの直接通信)

Eutelsat OneWeb

600機超

後継440機を発注済み

パートナー経由B2B

ソフトバンク

Amazon Leo(旧Kuiper)

約400機(打ち上げ累計)

3,236機

AWS連携B2B

NTTグループ・スカパーJSAT

出典:SpaceX・Eutelsat・Amazon・国内通信各社の発表、Jonathan McDowell氏の衛星集計よりKabuGraph作成(2026年9月時点)。Amazon Leoは2025年11月にProject Kuiperから改称

Starlinkは機数・加入者数・収益のすべてで圧倒的なリードを持ちます。OneWebは法人向けB2Bに特化し、航空機や船舶向けの帯域保証型サービスで差別化を図っています。Amazon Leoは2026年中の商用サービス開始を目指していますが、2026年9月時点では一部の企業による試験利用の段階です。AWSとのクラウド連携を最大の武器とし、日本では2023年にNTTグループとスカパーJSATが協業に合意しています。

日本の通信キャリア——衛星直接通信の時代へ

衛星とスマートフォンの直接通信(Direct-to-Cell)は、KDDI・ソフトバンク・NTTドコモの大手3社がそろってStarlinkの衛星を使う形で始まっています。携帯の「圏外」をなくすこの技術は、山間部・海上・離島を含む国土全域のカバレッジを実現します。

  • 2025年4月:KDDIが「au Starlink Direct」を開始(KDDI)

  • 2026年4月:ソフトバンクが10日に「SoftBank Starlink Direct」、NTTドコモが27日に「docomo Starlink Direct」を開始(ソフトバンク、NTTドコモ)

  • 2026年10〜12月(予定):楽天モバイルが、Starlinkではなく米AST SpaceMobileの衛星でサービスを始める予定(ITmedia Mobile、2026年3月4日)

キャリア

衛星パートナー

主なサービス

KDDI(9433)

Starlink(SpaceX)

au Starlink Direct(スマホ直接通信、2025年4月〜)、Starlink Business(法人衛星回線)、閉域網接続

ソフトバンク(9434)

Starlink / Eutelsat OneWeb

SoftBank Starlink Direct(スマホ直接通信、2026年4月〜)、Eutelsat OneWeb(法人向け帯域保証型)、HAPS(成層圏通信)

NTTドコモ/NTT(9432)

Starlink / Amazon Leo / Space Compass

docomo Starlink Direct(スマホ直接通信、2026年4月〜)、Amazon Leo(法人向け、スカパーJSATとともに協業)、NTN(非地上系ネットワーク)、HAPS商用化(2026年〜)、光データリレー

出典:各社公式発表よりKabuGraph作成(2026年9月時点)
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K
9433情報通信・サービスその他

KDDI

「au」「UQ mobile」「povo」ブランドで5G・4G通信サービスを提供する国内大手通信キャリア。個人向けモバイル通信を軸に「auじぶん銀行」「au PAY」等の金融サービスやエネルギー小売も展開する「パーソナル事業」と、法人向けに…

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ソ
9434情報通信・サービスその他

ソフトバンク

ソフトバンクグループの中核事業会社。「ソフトバンク」「ワイモバイル」「LINEMO」モバイルブランド、「SoftBank光」「Yahoo! BB」ブロードバンド、「おうちでんき」「自然でんき」電力を展開。LINEヤフー傘下で「Yahoo! …

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N
9432情報通信・サービスその他

NTT

日本最大の通信グループ。NTTドコモによる携帯電話・5G・ブロードバンドの「総合ICT事業」、NTTデータグループによるシステムインテグレーション・データセンターの「グローバル・ソリューション事業」、NTT東日本・西日本による固定電話・「フ…

SAR衛星コンステレーション——日本が世界をリードする領域

SAR(合成開口レーダー)衛星は、マイクロ波を地表に照射して反射波を捉えるため、昼夜・天候を問わず24時間観測できるのが最大の特徴です。光学衛星が雲に遮られるのに対し、SARは災害時の初動把握や安全保障用途に不可欠な技術として、世界的に需要が急拡大しています。日本にはQPS研究所とSynspectiveという世界有数の小型SAR衛星メーカーが2社あり、防衛省の大型事業の中核を担っています。

QPSホールディングス(464A)——36機体制で準リアルタイム観測へ

QPS研究所は福岡に本社を置く小型SAR衛星の専業企業で、2023年12月に東証グロースに上場しました。2025年12月に持株会社のQPSホールディングスを設立し、上場はQPSホールディングス(464A)が引き継いでいます。同社のQPS-SARシリーズは質量100kg台と従来のSAR衛星(数トン級)に比べ桁違いに小型で、分解能46cm以下の高精細画像を取得できます。

  • 運用衛星数:商用運用中9機(2026年9月時点)。8月に打ち上げた13号機・18号機も初期運用中で、軌道上の衛星は11機。機体の番号は打ち上げに失敗した機体なども含めて振られており、機数とは一致しない(QPS研究所公式)

  • 目標:大規模コンステレーションを構築し、「地球のほぼどこでも平均10分間隔で観測」する準リアルタイムの観測態勢を目指す

  • 防衛省事業:売上見込み約697億円(税抜・5年間)(トライサット・コンステレーション経由)

  • 米Rocket Lab(ロケット・ラボ)とは累計18機分の専用打ち上げを契約(2026年7月時点、打ち上げ済みを含む)

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Q
464A情報通信・サービスその他

QPSホールディングス

QPSホールディングスは九州大学発の宇宙ベンチャーであるQPS研究所を中核子会社とする持株会社。小型SAR(合成開口レーダー)衛星の研究開発・製造・運用から観測データの販売までを一貫して手がける。SAR衛星は電波で地表を観測するため夜間や悪…

Synspective(290A)——30機体制で変化検知に特化

Synspectiveは東京に本社を置き、2024年12月に東証グロースに上場。小型SAR衛星「StriX」シリーズを開発・運用し、都市開発・インフラ管理・災害対応向けのデータ解析サービスを提供しています。

  • 運用衛星数:7機(2026年8月14日時点)。9月に11〜13号機を打ち上げ、2026年の打ち上げ計画(6機)を終えた。会社は運用機数10機前後で収益化が見えてくるとしている(Synspective公式)

  • 目標:2020年代後半に30機体制。2024年に量産施設を新設済み

  • 防衛省事業:約961億円(税抜、税込1,056億円)で受注(3社中最大額。トライサット・コンステレーション経由)

  • 傾斜回帰軌道と太陽同期回帰軌道を組み合わせ、東西南北4方向からの撮像で死角を回避する独自の軌道戦略

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S
290A情報通信・サービスその他

Synspective

小型SAR(合成開口レーダー)衛星「StriX」の開発・製造・運用と、取得した衛星データの解析・ソリューション提供を一貫して手がける宇宙ベンチャー。SAR衛星は天候や昼夜を問わずデータ取得が可能で、地表の変化を高精度に検出できる。政府の革新…

QPS研究所 vs Synspective——2社の比較

項目

QPSホールディングス(464A)

Synspective(290A)

本社

福岡県

東京都

衛星シリーズ

QPS-SAR

StriX

運用機数

9機(ほかに初期運用中2機)

7機(8月時点。9月に3機打ち上げ)

目標機数

大規模コンステレーション

30機

防衛省受注額(税抜)

約697億円

約961億円

時価総額

約936億円

約1,893億円

PER

72.0倍(営業赤字、最終黒字)

—(赤字)

特徴

高精細(46cm以下)、独自傾斜軌道

4方向撮像、変化検知解析サービス

出典:各社公式発表・決算短信・東証株価よりKabuGraph作成。衛星の機数は2026年9月時点、時価総額・PERは2026年10月1日終値時点。QPSホールディングスは営業赤字だが、補助金などの営業外収益で最終黒字のためPERを算出

両社はともに防衛省の衛星コンステレーション事業に参加しており、競合というよりも日本のSAR衛星能力を両輪で担う関係にあります。QPS研究所は高分解能と機数のスケールに強みがあり、Synspectiveは時系列データの解析サービスに注力しています。

光学衛星コンステレーションとアクセルスペース

SAR衛星と並んで地球観測のもう一つの柱が光学衛星です。可視光で高解像度のカラー画像を取得でき、用途は農業・都市計画・環境監視など多岐にわたります。

アクセルスペース(402A)——防衛省事業で光学衛星を担う唯一の企業

アクセルスペースホールディングスは2025年8月に東証グロースに上場しました。超小型の光学観測衛星「GRUS」によるコンステレーション「AxelGlobe」を運用しており、2026年7月に次世代機GRUS-3の7機をSpaceXのFalcon 9で打ち上げました。

ところが2026年9月29日、GRUS-3の7機中4機で、撮影した画像を地上に送る通信系統に異常が起き、予定していた商用運用は難しくなったと発表しました(アクセルスペース)。業績への影響は精査中で、固定資産の減損損失を計上する可能性があるとしています。株価は9月30日と10月1日の2日続けてストップ安になりました。

  • 商用運用中の衛星:GRUS-1の4機(2026年9月時点。GRUS-1の1機は7月に商用運用を終了)。初期運用を続けるGRUS-3の残り3機が商用運用に入っても、合わせて7機

  • 防衛省事業:約436億円(税抜、税込480.7億円)で受注(光学衛星分野を単独で担当)

  • 今後の焦点は、残る3機の商用運用の開始時期と、GRUS-3の7機の商用運用を前提にした2027年5月期の会社予想の扱い

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ア
402A自動車・輸送機

アクセルスペースホールディングス

アクセルスペースホールディングスは、革新的な小型衛星事業を展開する持株会社です。顧客向けの小型衛星開発・製造・打上げ・運用を行うAxelLiner事業と、自社保有・運用する光学地球観測衛星コンステレーション「GRUS」シリーズが取得した画像…

防衛省2,831億円事業——トライサット・コンステレーションの全体像

2026年2月20日、防衛省は「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」の契約を公表しました(Jディフェンスニュース)。これは日本の宇宙安全保障政策における過去最大級の事業であり、衛星コンステレーション関連銘柄への強力なカタリストとなっています。

事業の概要

項目

内容

契約金額

2,831億円(税込)

契約期間

2026年2月〜2031年3月(約5年間)

受注者

トライサット・コンステレーション(三菱電機・スカパーJSAT・三井物産が設立したSPC)

衛星画像の提供(税抜)

Synspective(SAR、約961億円)、QPS研究所(SAR、約697億円)、アクセルスペース(光学、約436億円)

目的

スタンド・オフ防衛能力の実効性確保に必要な画像情報の高頻度・優先的取得

運用形態

PFI方式(民間保有・運用、防衛省が優先利用権を持つ。民間へのデータ販売も可)

出典:防衛省「衛星コンステレーションの整備・運営等事業 実施方針」・受注各社の開示よりKabuGraph作成

スケジュール

事業は2段階で進みます。2026年4月〜2028年3月が「段階的運用期間」で、衛星の製造・打ち上げとコンステレーションの段階的構築が行われます。2028年3月末〜2031年3月が「本格的運用期間」で、完成した衛星群による継続的な監視・データ取得が実施されます。なお契約期間は2031年3月までですが、防衛省の実施方針では、衛星の寿命が残っており継続使用が有効と認められる場合、事業者との協議・合意のうえ事業期間を延長できると定められています。

受注額の内訳

防衛省衛星コンステレーション事業 受注額の内訳(税抜)

出典:Synspective・QPSホールディングス・アクセルスペースホールディングスの開示(2026年2月20日)よりKabuGraph作成。金額は税抜。総額2,831億円(税込)は税抜で約2,574億円で、その他は3社の合計を差し引いた残りの概算(内訳は非開示)

測位衛星——みちびきは6機、7機体制まであと1機

衛星コンステレーションのもう一つの柱が測位衛星です。日本の準天頂衛星システム「みちびき」(QZSS)は、2026年8月11日にH3ロケット9号機で7号機の打ち上げに成功しました(JAXA)。

ただし2025年12月に、H3ロケット8号機の打ち上げ失敗で5号機を失っています。そのため7号機を加えてもみちびきは6機で、他国の測位衛星に頼らずみちびきだけで測位できる「7機体制」の完成には、もう1機の打ち上げが必要です(内閣府「準天頂衛星システムみちびき7号機の打上げに向けて」)。

7機体制が整うと何が変わるか

  • 独自測位の実現:GPSに依存せず、みちびき単独で日本周辺の連続的な測位が可能になる。7機体制がそろうまでは、測位精度などが7機体制より劣る

  • センチメートル級精度:CLAS(センチメータ級測位補強サービス)により、自動運転やドローン制御に不可欠な高精度測位を提供

  • 衛星間測距:新たに衛星間の距離を計測する機能が加わり、測位精度がさらに向上

  • 将来は11機体制へ拡張が計画されており、アジア太平洋全域への高精度測位の提供を目指す

みちびきの関連企業

みちびきの衛星製造は三菱電機(6503)が主契約者を務め(三菱電機公式)、地上管制システムはNEC(6701)が担当しています(NEC プレスリリース)。打ち上げはJAXAのH3ロケット(製造は三菱重工業)が使用されており、日本の宇宙産業の主力企業が総力を挙げて取り組むナショナルプロジェクトです。

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三
6503電機・精密

三菱電機

日本を代表する総合電機メーカー。FA(ファクトリーオートメーション)機器、空調・家電、電力システム、鉄道車両用電機品、人工衛星、防衛関連機器、パワー半導体など、社会インフラから家庭まで幅広い領域で電機製品を製造販売する。「霧ヶ峰」(ルームエ…

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日
6701電機・精密

日本電気

日本電気(NEC)は、ITサービスと社会インフラを主力とする総合ICT企業です。システム構築、クラウドサービス、コンサルティングなどのITサービス事業と、通信ネットワーク機器、航空宇宙・防衛システムの社会インフラ事業の2セグメントで展開して…

衛星インフラを支える大手企業——スカパーJSAT・三菱重工

スカパーJSAT(9412)——アジア最大級の衛星通信事業者

スカパーJSATはアジア最大級の衛星通信事業者で、静止軌道上の通信衛星17機を運用しています。近年は従来の放送・通信衛星に加え、地球観測分野へ本格参入する「宇宙ソリューションプロバイダー」への転換を進めています。

  • 防衛省事業のSPC(トライサット)に参画:三菱電機・三井物産と共同でトライサット・コンステレーションを設立

  • 自社コンステレーション構築へ約400億円を投資:Planet Labsの光学衛星「Pelican」10機を調達し、2026年度後半から順次打ち上げ予定(宙畑)

  • 将来100機規模を構想:自社衛星とパートナー衛星を合わせた「バーチャルコンステレーション」で多様なセンシングデータを提供

  • NTTとの合弁会社Space Compassを通じて光データリレー・HAPS事業も展開

  • 2026年5月に低軌道衛星通信「Amazon Leo」の認定再販事業者の契約を結び、同月にはアストロスケールとの資本業務提携も発表

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ス
9412情報通信・サービスその他

スカパーJSAT

通信衛星を活用した宇宙事業と有料多チャンネル放送「スカパー!」のメディア事業を二本柱とする企業。静止軌道上の通信衛星を運用し、広域性・柔軟性・耐災害性を活かして政府機関・公共団体・国内外企業・移動体向けにデータ通信サービスを提供するほか、有…

三菱重工業(7011)——H3ロケットで打ち上げを担う

コンステレーションの構築には衛星だけでなくロケットが不可欠です。三菱重工業はJAXAの基幹ロケットH3の製造・打ち上げを担い、2026年8月のみちびき7号機の打ち上げにも使われました。一方、2025年12月の8号機はみちびき5号機を予定の軌道に投入できず、打ち上げの信頼性も問われています。衛星コンステレーションの普及は継続的な打ち上げ需要を生むため、ロケット製造事業の安定化に寄与します。ただし、SpaceXのFalcon 9やRocket Labの低コスト打ち上げとの価格競争は課題です。

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三
7011機械

三菱重工業

三菱重工業は火力・原子力・風力発電システム、航空機用エンジン、製鉄機械、商船・交通システム、エアコン・ターボチャージャ、防衛航空機・ロケットなど幅広い重工業製品を4つのセグメントで展開する日本最大級の重工業メーカー。

その他の関連企業

衛星コンステレーションのエコシステムには、衛星そのものを造る企業だけでなく、宇宙空間の持続可能性を担う企業も含まれます。

アストロスケール(186A)は、低軌道に急増するスペースデブリ(宇宙ごみ)の除去サービスを手がけるスタートアップです。衛星コンステレーションの拡大はデブリリスクの増大と表裏一体であり、コンステレーション運用者が将来的にデブリ除去を義務化される可能性も議論されています。2026年5月にはスカパーJSATとの資本業務提携と総額306億円の資金調達を決め、6月に払い込みを終えています。

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ア
186A情報通信・サービスその他

アストロスケールホールディングス

宇宙空間における軌道上サービス企業。コア技術のRPO技術(Rendezvous and Proximity Operations)で人工衛星やデブリに安全に接近・捕獲・操作。観測・点検(ISSA)、寿命延長・燃料補給(LEX)、修理・改修、…

関連12銘柄の投資指標一覧

以下は、衛星コンステレーション関連の上場12銘柄の投資指標を2026年10月1日終値でまとめた一覧です。大手インフラ企業とスタートアップで時価総額・バリュエーションに大きな差があり、投資アプローチも異なります。

銘柄

コード

セクター

時価総額

株価

PER

PBR

配当利回り

コンステレーション関連事業

NTT

9432

情報・通信業

15.4兆円

170.3円

13.5倍

1.43倍

3.11%

Space Compass(JV)、Amazon Leo提携、ドコモのStarlink直接通信

三菱重工業

7011

機械

13.0兆円

3,842円

38.9倍

4.18倍

0.65%

H3ロケット製造・打ち上げ

KDDI

9433

情報・通信業

11.7兆円

2,931円

16.0倍

2.20倍

2.73%

Starlinkパートナー(スマホ直接通信・法人回線)

ソフトバンク

9434

情報・通信業

11.6兆円

240.8円

21.2倍

4.37倍

3.57%

Starlink(スマホ直接通信)・OneWebパートナー

三菱電機

6503

電気機器

11.2兆円

5,312円

26.8倍

2.42倍

1.04%

みちびき衛星製造、トライサットSPC

NEC

6701

電気機器

6.6兆円

4,820円

23.7倍

2.91倍

0.79%

みちびき地上管制、衛星システム

IHI

7013

機械

2.9兆円

2,711.5円

17.9倍

4.41倍

0.74%

H3のLE-9ターボポンプ、固体ロケットブースタ

スカパーJSAT

9412

情報・通信業

5,960億円

2,002円

24.3倍

1.87倍

2.10%

トライサットSPC、自社・パートナー衛星で100機構想

Synspective

290A

情報・通信業

1,893億円

1,409円

—

4.93倍

—

SAR衛星StriX 30機計画

アストロスケール

186A

サービス業

1,704億円

1,199円

—

約13.3倍

—

スペースデブリ除去

QPSホールディングス

464A

情報・通信業

936億円

1,673円

72.0倍

2.95倍

—

SAR衛星QPS-SAR(商用運用9機)

アクセルスペース

402A

輸送用機器

227億円

341円

—

3.26倍

—

光学衛星GRUS(GRUS-3の4機が商用運用困難)

出典:東証株価・決算短信よりKabuGraph算出(2026年10月1日終値時点)。PER・PBRは直近の通期実績ベース。「—」は赤字または無配のため算出不可。NTTの時価総額は発行済株式総数(約905億株)で算出。QPSホールディングスは営業赤字だが、補助金などの営業外収益で最終黒字のためPERを算出。アストロスケールのPBRは2026年6月の資金調達後の7月末の純資産で算出(4月末の純資産では21.3倍)

投資家が注目すべき3つのポイント

1. 防衛需要という「底堅い受注残」

防衛省の衛星コンステレーション事業は5年間で2,831億円の確定受注です。宇宙スタートアップにとって最大の経営課題である「売上の不確実性」を大幅に緩和するもので、商業衛星ビジネスの不振をカバーする安全網にもなります。契約は2031年3月までですが、衛星を使い続けるのが有効と認められれば、防衛省と事業者の協議で期間を延長できる規定があります。

2. 衛星データの民生市場はこれから

防衛省事業がPFI方式(余剰データの民間販売可能)を採用したことで、防衛と民生の両市場を開拓できるビジネスモデルが整いました。ただし民生(商用)向けの画像販売はまだ小さく、各社の売上は防衛省などの官公庁向けが中心です。

官公庁向けでは、内閣府の「小型SAR衛星コンステレーションの利用拡大に向けた実証」を2024年度にQPS研究所が約15億円で受注しました(Synspectiveも採択、宙畑)。2026年度はQPS研究所が3.7億円(税抜)で受注しており(QPS研究所)、QPSは内閣府の実証による売上が縮小傾向にあると説明しています。災害対応・農業・インフラ監視などの民生用途がどこまで広がるかは、企業向けの販売の伸びを見て判断する段階です。

3. 通信キャリアの「衛星シフト」

衛星とスマートフォンの直接通信は、KDDI・ソフトバンク・NTTドコモの3社ともStarlinkを使っており、この分野では差がつきにくくなっています。各社の違いが出るのは、法人向けの衛星回線(ソフトバンクのOneWeb、NTTグループのAmazon Leo)や、HAPS・光データリレー(NTTとスカパーJSATのSpace Compass)です。

それでも、日本の通信大手3社がそろって衛星通信を次世代の成長領域に位置付けているのは見逃せない動きです。通信インフラとしての衛星コンステレーションが定着すれば、関連する地上局やデータ処理の需要も長期にわたって拡大します。


衛星コンステレーションは、防衛・通信・地球観測という国家の基幹インフラに直結するテーマです。2026年は防衛省の大型事業の始動、みちびき7号機の打ち上げ、国産SAR衛星の相次ぐ打ち上げと、日本の衛星コンステレーションが「研究開発」から「実用・量産」へ移りつつある年です。

一方で、みちびき5号機の喪失やGRUS-3の不具合のように、打ち上げと運用のつまずきが事業計画や株価を大きく左右します。各社が公表する運用機数(商用運用に入った衛星の数)を確かめながら、計画どおりに衛星群が整っていくかを見ていくことが大切です。

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コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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