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ファーストリテイリング(9983)の企業分析|売上3.4兆円・海外ユニクロ1.9兆円、4期連続最高益のグローバルSPA

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ファーストリテイリング(9983)は、「ユニクロ」「ジーユー」を展開する日本最大のアパレル企業です。2025年8月期の売上収益は3兆4,005億円(前期比+9.6%)、事業利益5,511億円(同+13.6%)と4期連続で過去最高益を更新しました。

成長のエンジンは海外ユニクロ事業です。売上1兆9,102億円と過去最高を記録し、韓国・東南アジア・北米・欧州が二桁成長を達成。時価総額は約21.2兆円(2026年9月15日時点)で、日経平均株価の構成ウエートがアドバンテストに次いで2番目に大きい銘柄としても注目されています。

会社概要 — 「LifeWear」で世界を席巻するSPA

項目

内容

会社名

株式会社ファーストリテイリング

証券コード

9983(東証プライム)

決算期

8月

時価総額

約21.2兆円(2026年9月15日時点)

事業別売上構成(2025年8月期)

出典:ファーストリテイリング 2025年8月期決算短信 セグメント情報よりKabuGraph作成。その他はグローバルブランド事業(1,315億円)+その他(不動産賃貸業等、19億円)。億円未満切り捨て

セグメント別売上収益推移

出典:ファーストリテイリング 決算短信 セグメント情報(各期)よりKabuGraph作成。億円未満切り捨て。2026年8月期のセグメント別予想は会社が数値で開示していないため掲載していない

海外ユニクロが全体売上の約56%を占め、国内ユニクロ(約30%)を大きく上回っています。「LifeWear(究極の普段着)」コンセプトのもと、ヒートテック・エアリズム・フリースなどの機能性衣料が世界中で支持されています(出典:ファーストリテイリング IR)。

成長戦略と事業構造

出典:ファーストリテイリング 公式サイト

海外ユニクロ — 北米・欧州が新たな成長極に

海外ユニクロ事業は2025年8月期に売上1兆9,102億円(前期比+11.6%)、事業利益3,053億円(同+10.6%)と過去最高を更新しました。地域別では韓国、東南アジア・インド・豪州、北米、欧州が大幅な増収増益を達成。特に北米と欧州は出店加速で高成長を維持しており、グレーターチャイナへの依存度を下げつつあります。2026年8月期は第3四半期累計(9ヶ月)で売上収益1兆8,340億円(前年同期比+25.9%)、事業利益3,453億円(同+45.4%)とさらに加速しています。

一方、最大市場であるグレーターチャイナは減収・大幅減益(売上収益6,502億円 ▲4.0%、事業利益899億円 ▲12.5%)となりました。中国大陸は現地通貨ベースで約4%の減収、香港は商品構成の課題と消費意欲の低下で減収・大幅減益と会社は説明しています。市場ではSHEIN・TEMUなどの低価格ネット通販との競争激化を指摘する見方もあります。ただし2026年8月期第3四半期(2026年3〜5月の3ヶ月)では中国大陸が現地通貨ベースで増収・2桁増益、香港・台湾も増収増益と回復に転じ、会社はグレーターチャイナの通期を増収・2桁増益と見込んでいます。

国内ユニクロ — 初の1兆円超、足元は天候で振れ

国内ユニクロは売上収益1兆260億円(前期比+10.1%)と初めて1兆円を突破し過去最高を更新、事業利益も1,813億円(同+17.5%)と大幅増益でした。既存店売上高(Eコマース含む)は通期で+8.1%。気温に合わせて商品を準備しマーケティングと連動させて実需を捉えたことに加え、コア商品にトレンドのシルエットを反映して新しい需要も喚起しました。売上総利益率はほぼ前年並みでしたが、販売好調で賃借料・人件費比率が下がり、販管費比率は1.2ポイント改善しています。

足元の2026年8月期は天候で振れています。月次の既存店+Eコマース売上(前年比)は6月が85.9%と落ち込み、7月104.3%で持ち直したものの、8月は低い気温と天候不順で夏物が伸びず98.7%でした。通期累計では105.1%と増収を保っています。

2026年8月期

売上高

客数

客単価

6月

85.9%

85.0%

101.1%

7月

104.3%

99.8%

104.5%

8月

98.7%

90.9%

108.6%

通期累計(2025年9月〜2026年8月)

105.1%

100.2%

104.8%

出典:ファーストリテイリング 国内ユニクロ事業 売上推移速報 2026年8月期(2026年9月2日更新)よりKabuGraph作成。既存店+Eコマース、前年比

会社は第3四半期決算(2026年7月9日)の時点で、国内ユニクロの第4四半期3ヶ月(6〜8月)を若干の減収、事業利益は2桁の減益と見込んでいます。前年・前々年の高いハードルに加え、円安による原価率の上昇と6月の売上未達による販管費比率の上昇が理由です。通期では増収増益の見込みで、2026年8月期の通期決算は10月8日に発表予定です。

ジーユー — 第2の柱へ、商品力の回復が課題

低価格帯のトレンドファッションブランド「ジーユー」は、2025年8月期の売上収益が3,307億円(前期比+3.6%)と増収でした。ただしマストレンドを捉えたヒット商品が十分でなかったことや売れ筋商品の欠品により既存店売上高は前年並みにとどまり、事業利益は283億円(同▲12.6%)と大幅な減益となりました。ユニクロが「機能×ベーシック」を担い、ジーユーが「トレンド×低価格」を担うブランドポートフォリオの棲み分けは機能していますが、第2の柱へ育てるには商品力の回復が課題です。2026年8月期は第3四半期累計(9ヶ月)で売上収益2,656億円(前年同期比+3.7%)、事業利益321億円(同+28.0%)と利益は持ち直し、会社は通期で増収・2桁増益を見込んでいます。

業績推移と財務分析

通期業績推移(売上収益・事業利益・事業利益率)

出典:ファーストリテイリング 決算短信(各期)・2026年8月期第3四半期決算短信よりKabuGraph作成。2026/8(予)は第3四半期時点(2026年7月9日)の会社予想(事業利益7,100億円/営業利益7,300億円)。事業利益=売上収益-売上原価-販売費及び一般管理費で、会社が開示するのは2025年8月期から。2024年8月期以前は各期の決算短信の売上総利益と販管費からKabuGraph算出。億円未満切り捨て

2026年8月期は第3四半期累計(2025年9月〜2026年5月の9ヶ月)で売上収益3兆651億円(前年同期比+17.1%)、事業利益5,927億円(同+33.6%)、親会社帰属四半期利益4,260億円(同+25.6%)となり、事業利益は9ヶ月累計ですでに前期通期(5,511億円)を上回っています。通期予想も2026年4月時点の計画から売上収益(+700億円)・事業利益(+200億円)ともに上方修正されました(出典:ファーストリテイリング 2026年8月期第3四半期決算サマリー)。

EPS・配当金の推移

EPS・1株配当金の推移

出典:決算短信・有価証券報告書・IR資料よりKabuGraph作成。2026/8(予)は会社予想(2026年7月9日時点)。EPS・配当金は株式分割(2023年3月1日、1:3)調整済み

ファーストリテイリングは利益成長に連動した増配を続けており、配当性向は近年30〜35%程度で推移しています。2026年8月期の会社予想配当は640円(前期比+28%)で予想配当性向は39.3%に上昇。予想配当利回りは約1.0%(640円÷2026年9月15日終値66,620円)と低水準ですが、株価の値上がり益(キャピタルゲイン)主体の銘柄として位置付けられます。

投資家が注目すべきポイント

強み① 海外ユニクロの持続的成長

北米・欧州での出店加速と既存店の成長により、海外ユニクロはグレーターチャイナの減速を吸収して過去最高売上を達成しました。世界のアパレル市場で「機能性×高品質×手頃な価格」のLifeWearポジションを確立しており、ZARAやH&Mとは差別化された成長余地があります。

強み② 利益率の改善トレンド

事業利益率はコロナ期の8.5%(2020/8)から16.2%(2025/8)へ大幅に改善。国内ユニクロでは販売好調による販管費比率の低下(賃借料・人件費比率の改善)、海外ユニクロでは新規出店の成功と店舗が認知度を高めてEコマースも伸びる好循環が寄与しています。2026/8期の会社予想では事業利益率17.9%(営業利益率では18.4%)とさらなる改善を見込んでいます。


リスク① グレーターチャイナの回復の持続性

海外ユニクロ最大市場であるグレーターチャイナは、2026年8月期第3四半期(3〜5月の3ヶ月)に中国大陸が現地通貨ベースで増収・2桁増益、香港・台湾も増収増益と回復に転じました。ただし2025年8月期に会社が減益要因に挙げた消費意欲の低下や商品構成の課題に加え、SHEINやTEMUなど低価格ネット通販との競争激化を指摘する見方もあり、回復の持続性は引き続き注視が必要です。

リスク② 為替変動

海外ユニクロ比率56%かつ仕入は主にドル建てのため、為替は円高・円安のどちらに動いても別のかたちで業績に効きます。

  • 円高:売上の56%を占める海外ユニクロの売上・利益が円換算で目減りします。

  • 円安:ドル建て仕入の原価率が上昇し、国内ユニクロの粗利益率を押し下げます。会社も2026年8月期第4四半期の国内ユニクロについて「円安の影響による原価率の上昇」を減益要因に挙げています。

調達分は為替予約でヘッジしているものの、予約レートの水準次第で四半期ごとの原価率は変わり、急激な変動はどちらの方向でも業績を振らします。

リスク③ 高バリュエーション

株価66,620円(2026年9月15日終値)ベースの実績PERは47.2倍(会社予想EPS 1,629.54円ベースでは40.9倍)で、ZARAのインディテックス(約26倍)やH&M(約22倍)と比較しても大幅なプレミアムがついています(いずれも2026年9月15日終値と直近通期EPSよりKabuGraph算出)。日経平均の構成ウエートが約9%と大きいことによる指数買い需要が株価を支えている面もあり、ファンダメンタルズ以外の要因で株価が支えられているリスクには留意が必要です。

まとめ

ファーストリテイリングは、LifeWearコンセプトのもとユニクロを世界的ブランドに育て上げ、売上3.4兆円・4期連続最高益を達成しています。北米・欧州を中心とした海外ユニクロの成長が全体を牽引しており、利益率の改善トレンドも続いています。

グレーターチャイナの減速と高バリュエーションがリスクですが、グローバルSPAとしてのブランド力と日経平均への大きな寄与度(構成ウエートはアドバンテストに次ぐ2位)は独自のポジションです。成長性を重視するグロース投資家にとって、中長期的な注目銘柄であり続けるでしょう。

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9983小売

ファーストリテイリング

ファーストリテイリングは、カジュアル衣料品チェーン「ユニクロ(UNIQLO)」を世界で展開するグローバルアパレル企業です。高機能素材「ヒートテック」「エアリズム」「ウルトラライトダウン」などの独自開発商品をSPA(製造小売)モデルで提供。低…

コラム著者・編集者

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KabuGraph編集部

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