メドレー(4480)の企業分析|事業内容・業績・将来性を投資家目線で解説

メドレー(4480)は、医療・介護領域に特化した求人プラットフォーム「ジョブメドレー」と、オンライン診療・クラウド診療支援「CLINICS」を中核とする医療DX企業です。
2025年12月期は売上高367.9億円(前期比+25.5%)と7期連続の増収を達成。人材プラットフォーム事業が売上の約74%を占める収益の柱である一方、医療プラットフォーム事業の成長加速が中長期の注目テーマです。
この記事では、メドレーの2つの事業の仕組み、業績推移、医療DX戦略、投資判断のポイントを、個人投資家の視点からわかりやすく解説します。
この記事の内容(目次)
会社概要 — 「医療ヘルスケアの未来をつくる」プラットフォーム企業
メドレーは、代表取締役社長の瀧口浩平氏が2009年に創業した医療DX企業です。「医療ヘルスケアの未来をつくる」というミッションのもと、医療従事者の人材不足と医療機関のIT化という2つの社会課題に取り組んでいます。
項目 | 内容 |
|---|---|
会社名 | 株式会社メドレー(Medley, Inc.) |
証券コード | 4480(東証プライム) |
設立 | 2009年6月 |
上場 | 2019年12月(東証マザーズ)→ 現在 東証プライム |
代表取締役社長 | 瀧口 浩平 |
従業員数 | 719名(連結、2025年12月時点) |
本社 | 東京都港区六本木 |
セクター | 情報・通信業(情報通信・サービスその他) |
「人材」と「テクノロジー」の両輪で医療を支える
メドレーの特徴は、医療・介護業界の「人手不足」と「IT化の遅れ」という2つの構造的課題に同時にアプローチしている点にあります。
2009年 — メドレーを創業。医療情報サービスからスタート
2015年 — 医療介護特化型の求人サイト「ジョブメドレー」を本格展開。成果報酬型モデルで急成長
2016年 — オンライン診療プラットフォーム「CLINICS」を提供開始。国内オンライン診療のパイオニアに
2019年 — 東証マザーズに上場。NTTドコモとの協業でCLINICSの普及を加速
2025年12月期の売上構成比は、人材プラットフォーム事業が約74%、医療プラットフォーム事業が約26%。人材事業のキャッシュフローを医療プラットフォームの成長投資に充てる戦略で事業を拡大しています。
セグメント別売上構成比(2025年12月期)
セグメント別売上推移
2つの事業を理解する
人材プラットフォーム事業 — 医療介護人材をダイレクトにつなぐ
人材プラットフォーム事業の中核は、医療・介護・福祉に特化した求人サイト「ジョブメドレー」です。従来の医療系人材紹介(エージェント型)とは異なり、求職者と事業所が直接やり取りするダイレクトリクルーティング型のモデルを採用しています。

収益モデルは成果報酬型で、求職者が採用された時点で事業所から報酬を受け取ります。掲載自体は無料のため、事業所にとっては採用コストを抑えながら必要な人材を探せる仕組みです。
指標 | 数値(2026年6月時点) |
|---|---|
求職者登録数 | 314万人 |
月間新規登録 | 約5万人 |
利用事業所数 | 約45.5万 |
掲載求人数 | 約54万件 |
ジョブメドレーの強みは、医療・介護領域に特化した圧倒的な求人掲載数と求職者数にあります。看護師、薬剤師、介護職、歯科衛生士など40以上の職種をカバーしており、医療介護業界においてNo.1の求人サイトとなっています。
さらに、M&Aで取得した「グッピー求人」やオンライン研修システム「ジョブメドレーアカデミー」を通じて、採用だけでなく人材の定着・育成までを包括的にサポートする体制を構築しています。
医療プラットフォーム事業 — 医療現場のDXを推進
医療プラットフォーム事業は、医療機関のIT化・DXを支援するSaaSプロダクト群で構成されています。

CLINICS(クリニクス) — オンライン診療・服薬指導に対応したクラウド診療支援システム。患者向けアプリと医療機関向けシステムの両面を提供。オンライン診療システムでシェアNo.1
MALL(モール) — クラウド型電子カルテ。CLINICSと連携し、診療業務を一気通貫でデジタル化
MEDIXS(メディクス) — 調剤薬局向けシステム。薬局のオンライン服薬指導に対応
DENTIS(デンティス) — 歯科医院向けのクラウド型業務支援システム。予約・診療・会計を一体管理
この事業はまだ先行投資フェーズにあり、セグメント利益はマイナスが続いています。しかし、2020年のコロナ禍を機にオンライン診療が解禁されたことで市場が一気に拡大。政府の医療DX推進施策も追い風となり、中長期的には「人材事業に並ぶ収益の柱」に育てることが経営の最重要テーマです。
業績推移と財務分析
メドレーの業績は、売上高は7期連続で過去最高を更新し続けている一方、直近2期は営業利益率が低下しています。成長投資と収益性のバランスを読み解くことが、この銘柄を理解する鍵です。
通期業績推移(売上高・営業利益・営業利益率)
なぜ増収なのに営業利益率が低下しているのか
2023年12月期にピーク(13.0%)をつけた営業利益率が、2024年12月期(7.9%)、2025年12月期(5.8%)と低下しています。この背景には大きく2つの要因があります。
医療プラットフォーム事業への先行投資 — CLINICSやMALLなどのSaaSプロダクトの開発・営業体制強化に積極投資。セグメント利益はマイナスが続いていますが、売上は年率20〜40%の高成長を継続しています
M&Aによる事業領域の拡大 — グッピーズ(求人アプリ)の買収など、戦略的なM&Aに伴うのれん償却やPMIコストが利益を圧迫
勤続支援金の廃止と規制対応コスト — 職業安定法施行規則の改正(2025年4月施行)により、求人サイトにも「就職お祝い金」の提供が禁止されました。ジョブメドレーでは従来、入職後60日以上勤続した求職者に「勤続支援金」を支給しており、求職者の応募動機と採用報告の仕組みを兼ねていましたが、規制に先行して2024年12月末で終了。勤続支援金がなくなったことで事業所が採用を報告しない「採用隠蔽」のリスクが高まり、その抑止対応として2025年4月応募分からサービス単価を10%超値上げしました。2024年12月期の決算説明会では「想定外の対応コストで成長施策の一部を諦めざるを得なかった」と説明されています
ただし、人材プラットフォーム事業単体の利益率は34.6%(2025年12月期)と非常に高く、安定的に利益を稼ぐ力は健在です。全社の利益率低下は、稼いだ利益を医療プラットフォームの成長に再投資している結果であり、一時的なものと会社側は説明しています。
セグメント別利益の推移
セグメント別利益推移
人材PF事業の利益は2021年の31.9億円から2025年の90.9億円へと4年間で約2.8倍に拡大しています。一方、医療PFは2024年12月期に黒字化目前(-0.2億円)まで改善したものの、2025年12月期は新たな投資により再び損失が拡大しました。
医療PF事業の赤字が許容されているのは、人材PF事業が生み出す安定的なキャッシュフローが十分にカバーしているからです。この「稼ぐ事業」と「育てる事業」の組み合わせは、SaaS企業の典型的な成長パターンです。
投資家が注目すべきポイント
3つの強み
1. 構造的に縮まない市場
日本の医療・介護市場は少子高齢化に伴い拡大が続く一方、医療従事者の人手不足は年々深刻化しています。厚生労働省の推計では2040年に約69万人の介護人材が不足するとされており、人材マッチングへのニーズは構造的に拡大し続けます。景気変動に左右されにくいディフェンシブな市場特性は、投資対象として大きな魅力です。
2. ネットワーク効果による高い参入障壁
ジョブメドレーは求職者314万人・事業所45.5万という両面ネットワークを構築しています。求職者が多いから事業所が集まり、事業所が多いから求職者が集まるという好循環が生まれており、後発がゼロからこの規模を構築するのは極めて困難です。加えて成果報酬型の低コストモデルは、中小規模の医療機関に支持されています。
3. 医療DXという巨大な成長余地
日本の医療機関のIT化率は先進国の中でも低水準です。政府は「医療DX推進本部」を設置し、電子カルテの普及やオンライン診療の恒久化を推進しています。CLINICSがオンライン診療でシェアNo.1を確保している現在、規制緩和と市場拡大の恩恵を最も受けやすいポジションにあります。
注意すべきリスク
1. 医療プラットフォーム事業の黒字化時期の不透明さ
医療PF事業は5年以上赤字が続いており、2024年12月期に黒字化目前まで迫ったものの再び赤字に転じました。投資フェーズが長引けば、全社の利益成長が抑制されるリスクがあります。
2. 人材事業への依存度の高さ
売上の約74%、利益のほぼ全額を人材PF事業に依存しています。ジョブメドレーの成長が鈍化した場合、全社業績への影響は大きくなります。求人市場は医療介護分野でも大手人材会社(リクルート、マイナビ等)が参入しており、競争環境の変化には注意が必要です。
3. 診療報酬制度の影響
医療機関の経営は診療報酬制度に大きく左右されます。オンライン診療の診療報酬が引き下げられた場合、CLINICSの導入メリットが薄れ、医療PF事業の成長シナリオが遅延するリスクがあります。逆に言えば、2026年度の診療報酬改定でオンライン診療の点数が引き上げられれば、大きなカタリスト(株価材料)となる可能性もあります。
まとめ
メドレー(4480)は、「人材プラットフォーム」と「医療プラットフォーム」の2本柱で、医療ヘルスケア領域のDXを推進する企業です。
投資の観点からのポイントを整理すると、以下の通りです。
事業の強さ: ジョブメドレーの314万人・45.5万事業所というネットワーク効果。オンライン診療のCLINICSがシェアNo.1。少子高齢化に伴う構造的な需要拡大
成長性: 売上高は4年間で3.4倍に拡大(108.6億円→367.9億円)。人材PFは安定成長、医療PFは年率20〜40%の高成長フェーズ
収益構造: 人材PFの高い利益率(34.6%)が全社を支える。医療PFへの先行投資により全社利益率は一時的に低下中
注意点: 医療PFの黒字化時期が不透明。人材事業への依存度の高さ。診療報酬制度の変更リスク
医療・介護の人手不足は、日本が直面する最大級の社会課題の一つです。メドレーは「人材の確保」と「業務のIT化」という両面からこの課題に取り組む、数少ない上場企業です。現在は成長投資による一時的な利益率低下の局面ですが、医療PF事業が軌道に乗れば、事業ポートフォリオの厚みが増す展開が期待できるでしょう。
メドレー
医療ヘルスケア領域のインターネットプラットフォーム企業。医療・介護・歯科分野の人材採用プラットフォーム「ジョブメドレー」を中核事業とし、成功報酬型の求人サービスで業界最大級の求人数を持つ。もう一つの柱として、クラウド診療支援システム「CLI…
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。記事中の数値は2026年8月22日時点の情報に基づいています。







