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一般信用取引とは|逆日歩なし・無期限保有のメリットと制度信用との使い分け

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一般信用取引(いっぱんしんようとりひき)とは、証券会社と投資家が個別に取引条件を定める信用取引です。信用取引は証券会社から資金や株式を借りて売買する仕組みで、自己資金以上の取引(レバレッジ)や空売り(株を借りて売ること)ができる点が現物取引との大きな違いです。信用取引には「制度信用」と「一般信用」の2種類があります。制度信用が返済期限・逆日歩(品貸料)・権利処理を取引所のルールで決めるのに対し、一般信用はそれらを各証券会社が独自に設定します(金利・貸株料はどちらも証券会社が決めます)。

一般信用取引の最大の特徴は逆日歩が発生しないことです。返済期限も無期限に設定できる証券会社が多く、優待クロス取引(つなぎ売り)や長期保有に活用されています。一方で、売建は証券会社の在庫がある銘柄・数量に限られ、優待クロス向けの短期売建は貸株料が高めです。金利・貸株料は証券会社ごとに設定され、制度信用と同率の会社もあれば差がある会社もあります。この記事では、一般信用取引の仕組み・コスト・制度信用との具体的な使い分けを解説します。

一般信用取引の仕組み

一般信用取引は、証券会社と投資家が1対1で取引条件(返済期限・金利・貸株料など)を定める信用取引です。制度信用取引では返済期限(6ヶ月)・逆日歩(品貸料)・権利処理を証券取引所のルールで決めるのに対し、一般信用取引ではそれらを各証券会社が独自に設計しています。なお、買方金利や貸株料は制度信用でも各証券会社が独自に決めており、取引所が定めているわけではありません。

制度信用取引では、証券会社が日証金(日本証券金融)を通じて資金や株式を調達します。一方、一般信用取引では証券会社が自社の資金と株式在庫で取引を成立させるため、日証金の貸借取引を使いません。逆日歩が発生しないのはこのためです。ただし、委託保証金(約定代金の30%以上・最低30万円)や増担保規制といった取引所のルールは、一般信用取引にも適用されます。

返済期限の3つのタイプ

一般信用取引の返済期限は証券会社が独自に設定しており、大きく3つのタイプに分かれます。

  • 無期限 — 返済期限の定めがなく、追証(追加保証金)が発生しない限り無期限で保有できます。SBI証券・楽天証券など多くの証券会社が提供しており、長期保有やスイングトレードに適しています。ただし、株式分割・株式併合・上場廃止などのコーポレートアクションが発生した場合は、証券会社のルールにより強制的に返済期日が設定されることがあります。

  • 短期(14日〜15営業日) — 証券会社が定めた短い期限で返済する必要があります(SBI証券・マネックス証券は15営業日、GMOクリック証券は最大15営業日、楽天証券・松井証券は14日)。主に優待クロス取引(つなぎ売り)で利用され、権利付最終日をまたいで短期間だけ売建を行う用途に向いています。

  • 日計り(デイトレ) — 当日中に返済が必要な日計り専用の信用取引です。証券会社によっては買建金利・売建貸株料がともに0円に設定されており、デイトレーダーにとってコスト面で最も有利な選択肢となります。

制度信用取引との違い【比較表】

一般信用取引と制度信用取引は、ルールの決め方・返済期限・コスト構造が根本的に異なります。以下の比較表で整理します。

項目

制度信用取引

一般信用取引

取引ルール

証券取引所が規定

各証券会社が独自に設定

返済期限

最長6ヶ月

無期限・短期(14日〜15営業日)・日計り等

対象銘柄

取引所が選定した制度信用銘柄

買建は原則上場全銘柄、売建は証券会社が指定した銘柄(在庫のある範囲)

買建金利(目安)

証券会社ごとに設定(2026年9月時点で年2.3〜3.5%程度)

証券会社ごとに設定(年2.0〜4.1%程度)。制度と同率の会社(SBI証券・楽天証券は年2.80%)や制度より安い会社(GMOクリック証券は年2.00%)もあれば、高い会社(松井証券は年4.1%、SMBC日興証券は年4.04%)もある

売建貸株料(目安)

年1.10〜1.15%程度

無期限は制度と同率の会社が多い(SBI証券・楽天証券は年1.10%、GMOクリック証券は年0.80%)。短期(優待クロス向け)は年3.85〜3.90%と高い

逆日歩(品貸料)

発生する可能性あり

発生しない

株式の調達

日証金が仲介

証券会社が自社調達

在庫制限

貸借銘柄なら日証金が調達(株不足になると逆日歩、深刻化すると売り禁で新規売建停止)

あり(証券会社の在庫次第)

出典:各社公表の金利・貸株料(SBI証券・楽天証券・GMOクリック証券・三菱UFJ eスマート証券・松井証券・SMBC日興証券・SBIネオトレード証券、2026年9月時点)よりKabuGraph作成。料率は変更されるので取引前に各社サイトで確認
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一般信用取引のメリット

逆日歩が発生しない

制度信用取引の空売りでは、市場全体で株式の貸借が不足すると逆日歩(ぎゃくひぶ)が発生します。特に権利付最終日の前後は優待狙いの空売りが集中し、逆日歩の上限(最高料率)が2〜4倍に引き上げられるうえ、水曜日の売建なら3日分がまとめてかかります。1株あたり数十円〜100円超の逆日歩が付くことがあり、100株でも数千円〜1万円超の予想外のコストになりかねません。

一般信用取引では、証券会社が自社の在庫から株式を貸し出すため、日証金を介した貸借は行われず、逆日歩は構造上発生しません。事前にコストが確定するため、取引の損益計算が立てやすいのが大きなメリットです。

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返済期限が長い(無期限)

制度信用取引の返済期限は最長6ヶ月です。期限を過ぎると強制的に反対売買で決済されるため、含み損を抱えたまま決済を迫られるリスクがあります。

一般信用取引(無期限タイプ)は返済期限の定めがなく、追証が発生しない限りポジションを維持できます。中長期でレバレッジをかけた投資をしたい場合や、空売りを長期間維持したい場合に有利です。ただし、保有期間が長くなるほど金利コストが積み上がる点には注意が必要です。

対象銘柄が広い

制度信用取引は、取引所が選定した「制度信用銘柄」のみが対象で、さらに売建(空売り)は「貸借銘柄」に限定されます。貸借銘柄に指定されていない銘柄は、制度信用では空売りできません。

一般信用取引では、証券会社が独自に対象銘柄を選定しており、原則として上場しているほぼすべての銘柄が対象になります(買建の場合)。売建についても、制度信用では空売りできない非貸借銘柄であっても、証券会社が在庫を確保していれば一般信用で空売りが可能です。優待クロス取引で使いたい銘柄が貸借銘柄でない場合、一般信用売建が唯一の選択肢になります。

優待クロス取引に最適

株主優待を低リスクで取得するつなぎ売り(優待クロス取引)では、現物買いと信用売りを同時に行い、株価変動リスクをヘッジします。この場合、逆日歩リスクのない一般信用が第一選択肢となります。

ただし、一般信用売建で権利落ち日をまたぐ(権利付最終日の大引けまで建玉を持つ)と配当落調整金を支払う必要があり、その金額は配当金の100%(一般信用の場合)となります。ただし、特定口座(源泉徴収あり)で配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」に設定していれば、現物配当(配当所得)と売建の配当落調整金(譲渡損失)が口座内で自動的に損益通算され、源泉徴収された税金は還付されます。この設定をしていない場合は確定申告が必要になるため、優待クロスを行う際は事前に受取方法を確認しておきましょう。

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一般信用取引のデメリットと注意点

金利・貸株料は証券会社次第(短期売建は高い)

一般信用の金利・貸株料は証券会社が独自に決めるため、制度信用より高い会社(松井証券・SMBC日興証券)もあれば、同率の会社(SBI証券・楽天証券)や安い会社(GMOクリック証券)もあります。一般信用で明確に高いのは、優待クロス向けの短期売建の貸株料(年3.85〜3.90%)です。また、無期限で長期保有すると料率の高低にかかわらず金利負担が積み上がります。

証券会社によって差が逆転する様子を、100万円の買建玉を1ヶ月(30日)保有した場合の金利コストで比べてみましょう。

証券会社

制度信用(年率/1ヶ月)

一般信用・無期限(年率/1ヶ月)

差額(一般−制度)

SBI証券・楽天証券

2.80%/約2,301円

2.80%/約2,301円

0円(同率)

GMOクリック証券

2.75%/約2,260円

2.00%/約1,644円

−616円(一般が安い)

松井証券

3.10%/約2,548円

4.10%/約3,370円

+822円(一般が高い)

SMBC日興証券

3.54%/約2,910円

4.04%/約3,321円

+411円(一般が高い)

出典:各社公表の買方金利(2026年9月時点、SMBC日興証券は2026年7月現在の公表値)よりKabuGraph算出。金利コスト=100万円×年率×30日÷365日、1円未満四捨五入

SBI証券・楽天証券では制度と一般(無期限)の金利コストは同じで、GMOクリック証券では一般の方が安くなります。一方、松井証券のように1ポイントの差がある会社では、500万円の建玉を6ヶ月保有すると金利差だけで約2.5万円になります。6ヶ月以内の保有で制度と一般を選べる場面では、利用する証券会社の料率を見てから決めましょう。

売建の在庫が限られる

一般信用の売建(空売り)は、証券会社が自社で確保した株式在庫の範囲内でしか取引できません。制度信用のように日証金を通じて株式を調達する仕組みではないため、人気銘柄は在庫がすぐになくなります。

特に株主優待の人気銘柄では、権利確定月の1ヶ月以上前から在庫が枯渇することも珍しくありません。優待クロス目的の場合は、権利付最終日の2〜3週間前から毎日在庫をチェックし、見つけたら早めに確保するのが基本戦略です。在庫の反映・発注可能時刻は証券会社によって異なり、SBI証券・楽天証券では前営業日の19時頃から、GMOクリック証券では19時30分から(在庫の更新は19時20分頃)翌営業日分の売建注文を受け付けます(2026年9月時点)。各社でタイミングが異なるため、利用する証券会社のルールを事前に確認しておきましょう。人気銘柄では在庫追加直後に争奪戦になるため、発注可能時刻に合わせて注文を出す準備が重要です。

証券会社ごとに条件が異なる

一般信用取引の金利・貸株料・返済期限・対象銘柄は証券会社によって大きく異なります。同じ銘柄でもA社では一般信用の売建在庫があるのにB社ではないということが日常的に発生します。

複数の証券会社に口座を開設し、条件を比較できる体制を整えることが、一般信用取引を有利に活用するための基本です。特に優待クロスでは在庫確保の選択肢が広がるため、2〜3社の口座を使い分ける投資家が多くなっています。

一般信用取引と制度信用の使い分け

一般信用と制度信用は「どちらが優れている」というものではなく、用途によって使い分けるのが合理的です。以下の表で整理します。

用途

おすすめ

理由

短期の買い建て(数日〜数週間)

証券会社の料率で決める

SBI証券・楽天証券は同率、GMOクリック証券は一般が安い。松井証券・SMBC日興証券は制度の方が安い

短期の売り建て(空売り)

一般信用(無期限)、在庫がなければ制度信用

無期限の貸株料は制度と同率か安い会社が多く、逆日歩もない。制度信用は貸借銘柄なら在庫を気にせず建てられる(ただし逆日歩リスクあり)

優待クロス取引

一般信用(短期)

逆日歩なし・コストが事前に確定する

6ヶ月超の長期保有

一般信用(無期限)

制度信用は6ヶ月で返済期限が到来する

デイトレード

一般信用(日計り)

証券会社によっては金利・貸株料ともに0円

制度信用銘柄でない銘柄の取引

一般信用

制度信用では取引できない

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まとめ

一般信用取引の要点を整理します。

  • 一般信用取引は証券会社と投資家間の相対取引。返済期限・対象銘柄・金利・貸株料を証券会社が独自に設定する

  • 最大のメリットは逆日歩が発生しないこと。優待クロス取引(つなぎ売り)では一般信用が定番の選択肢

  • 金利・貸株料は証券会社次第で、制度信用と同率の会社もある。明確に高いのは優待クロス向けの短期売建の貸株料(年3.85〜3.90%)

  • 返済期限は無期限・短期・日計りの3タイプ。投資目的に応じたタイプを選ぶ

  • 売建は在庫制。人気銘柄は早めの確保が必要で、複数の証券会社を使い分けるのが有効

  • 用途に応じて制度信用と使い分けるのが基本。利用する証券会社の料率を比べ、同率なら逆日歩のない一般信用(無期限)、料率差がある会社や逆日歩を受け取りたい買建では制度信用を使う

コラム著者・編集者

K

KabuGraph編集部

KabuGraph編集部は、投資情報の発信と株式分析ツールの開発に携わるチームです。日本株・米国株の事業分析から、投資に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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