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逆指値・寄成・寄指・引指・不成注文とは|9つの執行条件を図解で整理

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株式を売買するとき、「指値」と「成行」の2つだけで済ませていないでしょうか。東証には逆指値・寄成・寄指・引成・引指・不成・IOCといった執行条件が用意されており、うまく使えば損切りの自動化や約定タイミングの指定ができます。この記事では、東証の取引時間を踏まえながら各注文方法の仕組みと使いどころを整理します。

指値と成行──2つの基本注文

すべての注文方法の土台となるのが「指値(さしね)」と「成行(なりゆき)」です。

指値注文

「この価格以下なら買う」「この価格以上なら売る」と値段を指定する注文です。希望価格に届かなければ約定しません。

  • メリット:想定外の価格で約定するリスクがない

  • デメリット:約定しないまま注文期限切れになることがある

成行注文

値段を指定せず、そのとき出ている最も有利な相手注文と即座に約定させる注文です。板に出ている注文がある限りほぼ確実に約定しますが、価格は市場任せになります。

  • メリット:約定のスピードと確実性が高い

  • デメリット:出来高の少ない銘柄では、想定より不利な価格で約定する場合がある

東証の取引時間と売買方式

執行条件付き注文は「いつ約定させるか」を指定するものです。仕組みを理解するには、東証の取引時間を把握しておく必要があります。

2024年11月5日の取引時間延伸により、現在の取引時間は次のとおりです。

時間帯

時刻

売買方式

前場寄付

9:00

板寄せ(オープニング・オークション)

前場ザラバ

9:00〜11:30

ザラバ方式(オークション)

前場引け

11:30

板寄せ

昼休み

11:30〜12:30

取引なし(注文受付のみ)

後場寄付

12:30

板寄せ

後場ザラバ

12:30〜15:25

ザラバ方式(オークション)

プレ・クロージング

15:25〜15:30

注文受付のみ(売買不成立)

大引け

15:30

板寄せ(クロージング・オークション)

出典:日本取引所グループ(JPX)「内国株の売買制度」
出典:KabuGraph作成

板寄せ方式とザラバ方式

板寄せ方式は、それまでに受け付けた売り注文と買い注文を突き合わせ、売買数量が一致する価格で一斉に約定させる方法です。寄付(始値)と引け(終値)の価格決定に使われます。

ザラバ方式は、取引時間中に注文が入るたびに価格優先・時間優先の原則に従って個別に約定させる方法です。寄付と引けの間の時間帯はすべてザラバ方式で売買されます。

逆指値注文──損切りと利食いの自動化

逆指値注文は、指定した価格に達したら自動的に発注される「トリガー型」の注文です。通常の指値注文と名前が似ていますが、仕組みが異なります。

仕組み

  • 売り逆指値:株価が指定価格「以下」になったら売り注文を発注する

  • 買い逆指値:株価が指定価格「以上」になったら買い注文を発注する

通常の指値注文が「安くなったら買う・高くなったら売る」であるのに対し、逆指値は「高くなったら買う・安くなったら売る」という逆の発想です。トリガー価格に達した時点で、成行注文(逆指値成行)または指値注文(逆指値指値)として発注されます。

使い方① 損切り(ストップロス)

最も一般的な使い方です。たとえば1,000円で購入した株に対し「900円以下になったら成行で売る」と逆指値を設定しておけば、日中に相場を見られなくても自動的に損切りが執行されます。

使い方② トレンドフォロー(順張り買い)

「ある抵抗線を上抜けたら上昇トレンド入りと判断して買いたい」というケースで使います。たとえば株価が1,500円前後で推移している銘柄に「1,550円以上になったら買い」と設定しておけば、ブレイクアウト時に自動で買い注文が出ます。

使い方③ 利益確定のトレーリングストップ

含み益が出ている株に逆指値を設定し、株価の上昇に合わせてトリガー価格を引き上げていくことで、利益を確保しながら上昇についていく手法です。証券会社によっては自動でトリガー価格を追従させる「トレーリングストップ注文」を用意しています。

6つの執行条件付き注文

指値・成行注文に「いつ執行するか」を加えたのが執行条件付き注文です。東証では以下の条件を指定できます。

執行条件

注文の型

約定タイミング

未約定時

寄成(よりなり)

成行

寄付(始値)のみ

失効

寄指(よりさし)

指値

寄付(始値)のみ

失効

引成(ひきなり)

成行

引け(終値)のみ

失効

引指(ひきさし)

指値

引け(終値)のみ

失効

不成(ふなり)

指値→成行

ザラバ中は指値、引けで成行に変更

引けの成行として約定

IOC

指値/成行

即時

未約定分は即キャンセル

出典:日本取引所グループ(JPX)「内国株の売買制度」、各証券会社の注文方法ガイドをもとにKabuGraph作成

以下、それぞれの特徴と具体的な使い方を見ていきます。

寄成・寄指──寄付で約定させたいとき

寄成(よりなり)

寄付の板寄せでのみ有効な成行注文です。前場に出せば前場の寄付(始値決定)のとき、後場に出せば後場の寄付のときに成行として参加します。寄付で約定しなかった場合は失効し、ザラバには残りません。

使い方の例:決算発表後の翌営業日の寄付で確実にポジションを取りたい(または手仕舞いたい)場合。ザラバに注文が持ち越されないため、寄付後の値動きに巻き込まれる心配がありません。

寄指(よりさし)

寄付の板寄せでのみ有効な指値注文です。寄付の板寄せで決まった始値が指値の範囲内であれば約定し、範囲外なら失効します。

使い方の例:「寄付で買いたいが、前日比大幅高の寄付だったら見送りたい」という場合。寄成だとどんな値段でも約定しますが、寄指なら上限を決められます。

引成・引指──引けで約定させたいとき

引成(ひきなり)

引けの板寄せでのみ有効な成行注文です。前場の引け(11:30)または大引け(15:30のクロージング・オークション)の板寄せに成行として参加します。ザラバ中は約定しません。

使い方の例:投資信託のベンチマークとなる終値に近い価格で売買したい場合。デイトレードで当日中にポジションを閉じたいが、引けまでの値動きを見てからザラバで成行を出す手間を省きたい場合にも使えます。

引指(ひきさし)

引けの板寄せでのみ有効な指値注文です。引けの板寄せで決まった終値が指値の範囲内なら約定し、範囲外なら失効します。

使い方の例:「終値が前日比マイナスなら拾いたいが、プラス圏なら買わない」という押し目買い戦略。引成のように無条件で約定するのを避けつつ、引けという流動性の高いタイミングに絞れます。

不成注文──指値で狙いつつ引けで確保

不成(ふなり)注文は、ザラバ中は指値注文として機能し、引けまでに約定しなければ自動的に成行注文に切り替わる注文です。正式名称は「不出来引成注文(ふできひきなりちゅうもん)」で、「指値が不出来(約定しない)なら引けで成行」という意味です。

動き方

  1. ザラバ中は指定した指値で板に並ぶ

  2. ザラバ中に指値で約定すれば、そこで完了

  3. 引けまで約定しなかった場合、引けの板寄せで成行注文に自動切替

前場と後場で異なる挙動

不成注文の「引け」は発注時点の場の引けを指す点に注意が必要です。

  • 前場中に発注 → 前場引け(11:30)で成行に切り替わる

  • 後場中に発注 → 大引け(15:30のクロージング・オークション)で成行に切り替わる

使い方の例:「1,000円以下で買えれば理想だが、今日中にどうしてもポジションを持ちたい」という場合。ザラバ中に1,000円以下に下がれば指値で約定し、下がらなくても引けの成行で必ず買えます。

IOC注文──即時約定・残りキャンセル

IOC(Immediate or Cancel)注文は、発注した瞬間に約定可能な分だけ即座に約定し、残りは自動的にキャンセルされる注文です。

特徴

  • 板に注文が残らないため、「見せ玉」(約定の意思のない注文)にならない

  • 指値(IOC指値)と成行(IOC成行)の両方で使える

  • 一部だけ約定する「部分約定」が起こりうる

使い方の例:大口の売買を板に晒さず、そのとき取れる分だけ取りたい場合。アルゴリズム取引やデイトレードで、板の状況を見ながら何度も小分けに発注するスタイルで使われます。個人投資家でも「今の板の厚みで取れるだけ取りたい」という場面で便利です。

注文方法の選び方チャート

どの注文方法を選べばよいか迷ったときは、以下のフローで判断できます。

目的別の選び方

やりたいこと

おすすめの注文方法

理由

今すぐ約定させたい

成行

最も確実に約定する

希望価格で買いたい(売りたい)

指値

不利な価格での約定を防げる

損失を限定したい(損切り)

逆指値(成行)

相場を見られないときも自動で損切り

寄付の始値で売買したい

寄成 / 寄指

ザラバに注文が残らず意図が明確

終値で売買したい

引成 / 引指

クロージング・オークションで約定

指値で狙うが当日中に確実に約定させたい

不成

指値で取れなければ引けで成行に自動切替

大量の注文を板に晒したくない

IOC

即約定+残りキャンセルで板に残らない

注文時の注意点

証券会社による対応の違い

東証の制度上は上記の執行条件がすべて用意されていますが、証券会社によって対応している注文方法が異なります。たとえば、IOC注文やトレーリングストップに対応していない証券会社もあります。口座開設前に、自分が使いたい注文方法に対応しているかを確認しましょう。

注文受付時間と有効期間

証券会社では東証の取引時間外にも注文を受け付けています。一般的に17:00頃から翌営業日の注文を受付しており、受け付けた注文は翌営業日の寄付から有効になります。ただし受付時間は証券会社によって異なります。

注文の有効期間は「当日限り」「今週中」「指定日まで」などが選べます。執行条件付き注文(寄成・引成など)は基本的に当日限りの注文で、その日に約定しなければ失効します。

出来高が少ない銘柄での注意

出来高の少ない銘柄では、成行注文や逆指値(成行)が思わぬ価格で約定するリスクが高まります。板が薄い銘柄では指値系の注文を使い、約定価格をコントロールすることが重要です。

まとめ

注文方法の使い分けをまとめます。

  • 指値・成行 ── すべての基本。価格重視なら指値、約定重視なら成行

  • 逆指値 ── 損切り・トレンドフォローの自動化に不可欠

  • 寄成・寄指 ── 寄付(始値)で確実に売買したいとき

  • 引成・引指 ── 引け(終値)で売買したいとき。クロージング・オークションに参加

  • 不成 ── 指値で狙いつつ当日中の約定を保証したいとき

  • IOC ── 板に注文を残さず瞬時に取引したいとき

取引に慣れてきたら、逆指値による損切りの自動化や、不成注文による「指値+引け保証」の組み合わせを試してみてください。注文方法を使いこなすことで、リスク管理と約定のコントロール力が大きく向上します。

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コラム著者・編集者

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KabuGraph編集部

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